高級ファッションブランドたちが、Facebookのインスタントメッセージサービス「Messenger(メッセンジャー)」を現代版のコンシェルジュとして利用しはじめている。
去る4月12日に開催されたFacebookのF8開発者会議では、同社の「Messenger」アプリ向けに開発されたチャットボット機能「ボット・フォー・メッセンジャー(Bots for Messenger)」が発表された。これにより、ブランドや企業は人工知能(AI)を使って顧客とつながれるようになる。オンラインやモバイルでの購買促進や顧客の質問対応など、ブランドや小売企業による利用例として、モバイルファッション通販サービス「スプリング(Spring)」の「スプリングボット(Spring Bot)」が壇上では紹介された。
高級ファッションブランドたちが、Facebookのインスタントメッセージサービス「Messenger(メッセンジャー)」を現代版のコンシェルジュとして利用しはじめている。
去る4月12日に開催されたFacebookのF8開発者会議では、同社の「Messenger」アプリ向けに開発されたチャットボット機能「ボット・フォー・メッセンジャー(Bots for Messenger)」が発表された。これにより、ブランドや企業は人工知能(AI)を使って顧客とつながれるようになる。オンラインやモバイルでの購買促進や顧客の質問対応など、ブランドや小売企業による利用例として、モバイルファッション通販サービス「スプリング(Spring)」の「スプリングボット(Spring Bot)」が壇上では紹介された。
「増えすぎているアプリひとつひとつに、消費者たちは時間をかけていられない」と、「スプリング」の創設者であるアラン・ティシュ氏は語る。「しかし、Facebookの『Messenger』は高いエンゲージメント率を獲得している。なので私たちは、それに自然とフィットするエクスペリエンスを作った」。
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ティシュ氏によると、その自然なエクスペリエンスとは「会話型コマース」だという。
「新しいものではない。これまでと同じように、スタッフと話してアドバイスをもらい、販売スタッフに接客の研修を受けてもらう」と、彼は話す。
「会話型コマース」とは何か?
これまでと違う点は、消費者のアドバイスの求め方だ。ティシュ氏によると、洗練されたチャットサービスは、実店舗でのスタッフによる暖かな対応を補うという。高級ブランドが高価な商品を販売し、消費者と長期的な関係性を築くためには重要なポイントだ。小売企業がオンラインでプレミアムなエクスペリエンスを提供するなか、バーチャルコンシェルジュは高価な商品を販売するための重要な鍵なのだ。
「高級感を出すために、ブランドがデジタルでできることはたくさんある」と、デジタルエージェンシーであるR/GAのグループアカウントマネージャー、ネダ・ホイットニー氏は語る。「重要な機能のひとつがオンラインコンシェルジュライブチャットだ。高級ブランドの顧客たちは実店舗に来店すると、高級感のあるエクスペリエンスを期待している。これはオンラインでも同様のことが言える。問題は、いかにオンラインで実店舗と同様の高級感を出すのかということだ」。
「スプリング」のパーソナルショッピングアシスタントである「スプリングボット」は、顧客にいくつかの質問を行って商品を提案する。質問では、「本日はどんなものをお探しですか?」(女性物か男性物か)や「ご予算はいかほどですか?」(75ドル以下、75ドルから250ドルの間、250ドル以上)などが聞かれる。「スプリングボット」とのやりとりは、あまり機械っぽさがなく、人間味が感じられる。
だが、唯一の欠点は買い物が終わったことを理解してくれないところだ。「スプリングボット」からログオフしても、1時間後にFacebookのMessengerで買い物を続けるか再度聞いてくるのだ。
「スプリングボット」の未来
また、顧客が商品を購入した後は、このボットは顧客の窓口にもなる。領収書や配送情報を顧客に送ったり、注文に関する質問に回答してくれる。「スプリング」ではバレンシアガ(Balenciaga)、ジバンシィ(Givenchy)やランバン(Lanvin)などのブランドを取り扱っているため、このストリームライン化されたチャットサービスは独自のコマースサイトを保有していない高級ブランドたちに愛されはじめている。
今後の目標は、「スプリングボット」をテンプレートとして使い、コマースサイトを保有しないブランドたちが将来的にFacebookの「Messenger」で、独自のショッピングアシスタントボットを運用することだと、ティシュ氏は話している。
「もっとも優先されることは、私たちのブランドとパートナーを組み、ボットを作成することだ。そうすれば彼らの仕事量も減らせる」と、ティシュ氏は指摘する。「ブランドたちは、彼らの商品を何百万もの人たちに見せたいと考えている。そういったブランドたちとパートナーを組み、ボットを作成することが私たちの最大の楽しみであり喜びだ」。
顧客に刺激を与えることが大事
ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やエバーレーン(Everlane)などの高級ブランドではすでにFacebook「Messenger」が顧客の窓口となっていて、質問に回答したり、オンライン注文情報を共有したり、商品探しを手助けしたりしている。
Facebookがボットストアのスケールを拡大させた現在、生花通信販売企業1-800-フラワーズ(1-800-Flowers)や米大手銀行バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)などもチャットボットを使用しはじめているため、高級ブランドたちは自らを目立たせるためにもチャットサービスをより充実させる必要がある。
「顧客が高級ブランドの店舗に入るとき、そこには相談できる販売スタッフがいて、商品などから刺激や新たなアイデアを得られる。そして、顧客はなりたい理想像も抱いている」と、大手デジタルエージェンシーであるサピエントニトロ(Sapient Nitro)のバイスプレジデント、デイビッド・ヒューイット氏は話す。
「チャットボットのペースや運用では、顧客に刺激や新たなアイデアを与え、ブランドストーリーを顧客に伝えたうえで販売するべきだ。売買取引を重要視しても、まずは顧客にインスピレーションを与えることが重要だろう」。
「早いスピードで成長するだろう」
顧客とのFacebook「Messenger」での会話は、実店舗で販売スタッフと行う会話と同じになるよう似せるべきだ。そして、顧客がなりたい姿になるために、ブランドが手助けできることを伝えるのも重要だ。ヒューイット氏は、生花通信販売の1-800-フラワーズは配達速度や利便性を重視した方が良いが、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドは注目商品の情報を共有することに注力した方が良いと話す。
「会話のペース、早急な対応、eコマースサイトでの案内やおすすめ商品の提案など、これらの機能すべてがチャットボットを成長させる」と、ヒューイット氏はコメントする。カルーセルやスワイプ機能が付け加えられたことには驚いたと話している。「チャットボットは私たちが想像するよりも早いスピードで成長するだろう」と、彼は最後に語ってくれた。
Hilary Milnes(原文 / 訳:BIG ROMAN)