ロウズ(Lowe’s)は、ペットを含むホームカテゴリのあらゆる部分で市場シェアを獲得するため、一部の店舗ではじめてペトコ(Petco)の店舗内ストアをオープンする。同社は、2月初頭に最初のペトコの店舗内ストアをテキサス州アラモランチの店舗にオープンさせ、3月末までにさらに14店舗を開設予定だと発表した。
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ロウズ(Lowe’s)は、ペットを含むホームカテゴリのあらゆる部分で、市場シェアを獲得しようとしている。その理想に向けたの挑戦として、一部の店舗ではじめてペトコ(Petco)の店舗内ストアをオープンした。
小売業者である同社は、2月初頭に最初のペトコの店舗内ストアをテキサス州アラモランチの店舗にオープン。3月末までにはテキサス、ノースカロライナ、サウスカロライナに、さらに14店舗を開設予定だと発表した。
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ロウズは過去数年間にわたって、家庭生活のあらゆる部分に対応した小売業者となり、ギフト、フィットネス、室内装飾などのカテゴリーにおいて自社の品揃えを拡充させてきた。同社はパンデミックのあいだに大幅な成長を見せ、第3四半期の純売上高は2019年の同時期よりも31.8%も増加。新しいカテゴリーへの参入は、ホームセンター業者である同社が、売上成長を維持するための戦略の一環だ。
「トータルホーム戦略」の一環
それぞれの店舗内ストアは、国内ブランドと、ペトコの保有するホールハーテッド(WholeHearted)、エブリイエイ(EveryYay)、ユーリ(Youly)などのブランドの両方から選ばれたペットフードや商品を扱う。また、これらの店舗は出張グルーミングサービスや、ワクチン接種、マイクロチッピング、害虫予防を指定の日時と場所で行うベトコ(Vetco)モバイルクリニックなど、ペトコの一部のサービスも提供する。
ロウズのマーチャンダイジング担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるビル・ボルツ氏は、メールで次のように語った。「当社は、ホームとペットの分野の専門技術を求めている消費者に対して、それらの消費者がよく知り信頼している商品とサービスをひとつの店舗で提供することで、消費者へのサービスを向上することを望んでいる。当社は過去数年間にわたってペット関連を拡大し、この分野における成長に満足している。これからロウズとペトコの店舗内ストアのコンセプトに対して顧客がどのように反応するかを見るのが楽しみだ」。
ロウズとペトコの店舗内ストアでのパートナーシップにより、同社は真に消費者が必要とするものをすべて提供できる店舗に近づくことができると、ボルツ氏は語る。ペトコとのタイアップは同社の「トータルホーム戦略」の一部で、同社はこの戦略で、消費者が自宅のあらゆる部分について必要とするすべての商品を提供することをめざしていると、同氏は述べている。
ますます盛んな店舗内ストア
ボルツ氏によれば、ロウズ内のペトコの店舗は、ほとんどの場所において約1100平方フィート(約102平方メートル)を占有する。ペトコの従業員は店舗内ストア拠点の最初のタッチポイントとなり、ピーク時間帯にはペットに関するガイドを行う。また今回の契約により、ロウズの既存のペット商品の品揃えやペットに優しい環境も拡充される。
「過去2年間にわたって、当社はペット優先のライフスタイル市場とハウジング市場が急成長し、DIYを行う人々がホームプロジェクトを計画するとき、自分たちのペットのニーズを最優先にするのを見てきた」とボルツ氏は語る。会社が委託した調査から、過去12カ月間にペット用のDIYプロジェクトに投資するペット所有者の増加が示されていることに言及して、ボルツ氏は次のように付け加えている。「当社がペトコと提携し、これらのDIYを行う人々に対して、自宅とペットのニーズの両方にひとつの場所で対応できる便利なソリューションを提供するには、今が最適だ」。
店舗内ストアはここ数年に、大手小売業者のあいだでますます盛んになってきている。たとえばターゲット(Target)は、アルタ(Ulta)、Apple、ディズニー(Disney)とのあいだに、同様な店舗内ストアのパートナーシップを締結した。一方でコールズ(Kohl’s)は、2023年に少なくとも850のセフォラ(Sephora)店舗内ストアの開設を計画している。
「相乗効果が得られることになる」
しかし、店舗内ストアのコンセプトは新しいものではないと、ジョージタウン大学で運用および情報管理の准教授を務めるジョン・クイ氏は述べる。このコンセプトはメイシーズ(Macy’s)などのデパートのマーチャンダイジング戦略と類似性があり、ある部分ではAmazonの仮想ストアフロントとも類似している。
クイ氏は、店舗内ストアが増えつつあるのは、多くの実店舗型小売業者が消費者に対して、店内でのショッピングを続ける気にさせるのに苦慮してきたためだという。「実店舗小売店は生き残りをかけ、店内でより多くの体験を得られるようにしようと試みている」。
これらのミニ店舗を持つ専門小売業者もまた、大手小売業者の優良な拠点から恩恵を受けられる可能性があり、このような恩恵は多くの場合に得がたいものだと、ヒューズクリエイト(Fuse Create)でカスタマーエクスペリエンス担当ディレクターを務めるラニー・ゲフィン氏は語る。これらの小売業者は、大手小売業者と配送、受領、倉庫などのバックエンドリソースを共有することで物流コストを相殺できることもあると、同氏は付け加えている。
ゲフィン氏は次のように述べている。「小売で働いているとき、もっとも困難なのは、訪問客を獲得して利益を得ることだ。両方のブランドが一緒にマーケティングを行い、それぞれのプロモーション活動が人々を呼び込めば、相乗効果が得られることになる」。
ロウズとペトコのパートナーシップは双方に利益があると、ゲフィン氏は語る。この契約によりペトコは、通常ならペット向け小売業者で買い物をしないような消費者を迎えることができる。ロウズはペトコとの提携により、新しい小売カテゴリーに参入するかどうかを決定するため必要な、ペットカテゴリーに関する消費者データを収集できる。ロウズは新しいカテゴリーに事業を拡大するなか、ほかの種類のパートナーシップも行ってきた。たとえば、インフルエンサーとの協力により、自社の店舗で買い物客が装飾品やデザインの着想を見つけられるということをプロモーションしてきた。
店舗に「新しい命を吹き込む」
多くのビジネスの契約と同様に、店舗内ストアのパートナーシップにも、欠陥商品や企業のスキャンダルなど多少のリスクは存在すると、ゲフィン氏は述べる。
それでも、店舗内ストアを提供することで消費者に対して店舗を訪問する十分な理由を与え、本質的に店舗に「新しい命を吹き込む」ことができると、同氏は述べている。
「販売の観点からは、新しい層のサービスを追加すると考えることができる。これらの企業は商品のことをよく知っている。単に商品を棚に置いているだけではない。店舗内ストアによって、より深い関係と消費者のエクスペリエンスを実現できると考えている」。
[原文:Lowe’s to open Petco shop-in-shops in select locations]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:猿渡さとみ)