Z世代にフォーカスを当てたコスメブランド「ロッティー・ロンドン(Lottie London)」が、ウォルマート(Walmart)での販売を開始した。同ブランドは昨年12月、米国でのローンチに先駆けてTikTokでのプロモーションを展開していた。
Z世代にフォーカスを当てたコスメブランド「ロッティー・ロンドン(Lottie London)」が、ウォルマート(Walmart)での販売を開始した。同ブランドは昨年12月、米国でのローンチに先駆けてTikTokでのプロモーションを展開していた。
シアテ・ロンドン(Ciaté London)傘下であるロッティー・ロンドンの製品は、6~15ドル(約650〜1650円)の価格帯で、ウォルマートの598店舗(6月1日時点)とWalmart.comにて発売される。シアテ・ロンドンの設立者兼CEOであるシャーロット・ナイト氏によると、ロッティー・ロンドンとウォルマートの提携は、店頭での「没入感のある体験」の創出を目指したものだという。美容コーナーでエンゲージメントを高める施策の例として、同氏はバーチャルメイク用のQRコードや、ブランデッドソーシャルメディアを挙げる。
注目を集めるZ世代カルチャー
ファッションや美容の分野では昨年、Z世代のカルチャーが非常に注目を集めた。太めのブロウラミネート(眉の毛流れを整えること)、そばかす風メイク、カラフルな髪、さらにはフレアジーンズといった流行は、Z世代がTikTokによって広めたものだ。だが新しいトレンドが生み出されるスピードが速いため、消費者との関係を維持することが、ブランドも小売業も難しくなってきている。ロッティー・ロンドン、シアテ・ロンドン、そしてその姉妹ブランドであるスキン・プラウド(Skin Proud)の2020年度の売上は、COVID-19により前年比で20%減少したが、それでも黒字を維持できたとナイト氏は語る。同氏は以前、これらのブランドの年間売上高は25%減、2021年には30%増(前年比)になると予測していた。
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「消費者の購買行動のあらゆる変化を受けて、ウォルマートはZ世代に一極集中している」とナイト氏。「売り場の棚をもっと頻繁にアップデートし、トレンドに敏感な美容コーナーを作るにはどうすればよいかという点で、ウォルマートと緊密に連携している。これは、かなり早い段階から計画を立てる大規模なリテーラーが長年苦労してきたことだが、ウォルマートは受け入れてくれている」。
Z世代への販売戦略を強化している小売業は、ウォルマートだけではない。ターゲット(Target)も、ファストコスメブランド「ウィンキー・ラックス(Winky Lux)」が1月にスキンケア製品を発売した際には、店頭にイマーシブなディスプレイを展開している。
ナイト氏によると、ロッティー・ロンドンの米国での売上のうち、6割をウォルマートが占めると予想されている。
再考を迫られている顧客体験
世界的なパンデミックは、米国における買い物の習慣や店頭体験に、多かれ少なかれ影響を及ぼした。セフォラ(Sephora)やアルタ(Ulta)など小売業の店頭でテスターを手に取ることはできなくなり、カーブサイド・ピックアップ(店先での商品受け取り)は今も配送のオプションであり続けている。新しい世代の消費者は、バーやレストランでメニュー表に触らずに注文するため、QRコードを活用するようになった。このような変化によってブランドと小売業は、お店での買い物から消費者が得るものは何か、そしてそれをより良いものへと高めるにはどうすればよいか、再考を迫られている。
「QRコードによって交流や、啓発的なメッセージや動画コンテンツを届けることが可能になり、マーケティングをより快適に実施できるようになる」と、ナイト氏は語る。「購入へのコンバージョンはより簡単で高確率になるはずだ」。
過去にはアナスタシア・ビバリー・ヒルズ(Anastasia Beverly Hills)やライム・クライム(Lime Crime)などのブランドも、QRコードを使ったバーチャルメイクやAR(仮想現実)を提供していた。ロッティー・ロンドンが6月に発売するLGBTQコレクションにも、インスタグラムやTikTokのチュートリアル動画にアクセスできるQRコードが、製品のパッケージに印字される予定だ。
「ブランドの柱を、はっきり示す」
ロッティー・ロンドンのグローバルマーケティング責任者、ノラ・ズカウスカイテ氏によると、ウォルマートでの発売をプロモートするため、TikTokで(現在実施中の#LottieLinerHackのような)ハッシュタグチャレンジへの参加を促す予定だという。同ブランドはこのパートナーシップを告知するため、4~6月にTikTok、Twitch(ツイッチ)、インスタグラムを用いたデジタルキャンペーンをグローバルで展開している。4月は手ごろなメイクアップのハック、5月はクリエイティブなメイクアップ、6月はLGBTQプライドがテーマだった。
「我々にとって比較的新しい市場である米国で、このブランドが何を支持しているのかを、多くの消費者が知るだろう」と、ズカウスカイテ氏は話す。「今回のケースでいえば、メイクアップのハック、価格の手ごろさ、コミュニティといったブランドの柱を、はっきり示すこととなるだろう」。
[原文:Lottie London brings experiential retail to Walmart]
EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子/編集:長田真)