9月17日から24日までニューヨークでは気候ウィークが開催されるが、世界的な化粧品会社ロレアル(L’Oréal)は、9月15日、同社独自の気候緊急基金(Climate Emergency Fund)の設立を発表した。1500万ユーロ(約23.7億円)を拠出するこの基金の目的は、気候災害への備えと環境修復プログラムを通じて気候災害に直面した際の回復力を高めることで、低所得者やマイノリティのコミュニティを積極的に支援するというものである。この基金は、消費財メーカーとしては初の試みとなる。
ロレアルは、現地のパートナー団体や国際的な人道支援団体に助成金を提供する。それらの団体は、人道支援活動会社スタートネットワーク(Start Network)のように、災害への備えと迅速な対応について幅広い専門知識を持っている。選ばれた団体の資金額は、もっとも緊急性の高い気候非常事態を支援する能力に基づいて選ばれる。
ロレアルで企業の社会的責任とサステナビリティ担当のグローバルチーフオフィサーを務めるアレクサンドラ・パルト氏は次のように述べている。「私たちは、社会的または環境的な解決策を支援するために、資金調達も含めて新しい革新的な方法を見つけようとしている。ここ数年、この気候基金とともに、当社は気候変動と社会的危機に対する新たな対応策を開発すべく、約2億ユーロ(約315.5億円)を投資してきた」。
世界中で発生した災害の年間件数は、気候変動の影響もあって過去50年間で5倍に増加している。また、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)は、33億人が気候災害に対して脆弱であることを明らかにした。
9月17日から24日までニューヨークでは気候ウィークが開催されるが、世界的な化粧品会社ロレアル(L’Oréal)は、9月15日、同社独自の気候緊急基金(Climate Emergency Fund)の設立を発表した。1500万ユーロ(約23.7億円)を拠出するこの基金の目的は、気候災害への備えと環境修復プログラムを通じて気候災害に直面した際の回復力を高めることで、低所得者やマイノリティのコミュニティを積極的に支援するというものである。この基金は、消費財メーカーとしては初の試みとなる。
ロレアルは、現地のパートナー団体や国際的な人道支援団体に助成金を提供する。それらの団体は、人道支援活動会社スタートネットワーク(Start Network)のように、災害への備えと迅速な対応について幅広い専門知識を持っている。選ばれた団体の資金額は、もっとも緊急性の高い気候非常事態を支援する能力に基づいて選ばれる。
ロレアルで企業の社会的責任とサステナビリティ担当のグローバルチーフオフィサーを務めるアレクサンドラ・パルト氏は次のように述べている。「私たちは、社会的または環境的な解決策を支援するために、資金調達も含めて新しい革新的な方法を見つけようとしている。ここ数年、この気候基金とともに、当社は気候変動と社会的危機に対する新たな対応策を開発すべく、約2億ユーロ(約315.5億円)を投資してきた」。
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世界中で発生した災害の年間件数は、気候変動の影響もあって過去50年間で5倍に増加している。また、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)は、33億人が気候災害に対して脆弱であることを明らかにした。
小規模な組織に資金援助する企業としての初の試み
ロレアルはすでに、女性のための基金(the Fund for Women)、自然再生のためのロレアル基金(the L’Oreal Fund for Nature Regeneration)、サーキュラーエコノミーのための基金(the Fund for the Circular Economy)など、複数の社会的・気候的サステナビリティプロジェクトを実施している。2020年に開始してから240もの最前線の非営利団体を支援してきた女性のための基金プロジェクトから同社が得た学びは、広範な寄付を行うよりも現場のNGOと協力する方が多くの影響があることが証明されているという事実だ。
「災害の影響を受けた人々への『ラストワンマイル』にいるこうした小規模なコミュニティ組織こそ、私たちが支援したい組織だ」とパルト氏は言う。「そのような団体は非常に効率的だが、資金を得るのが非常に難しい。というのも今日、企業や大きな財団が求めているのは、迅速に支援ができることよりも、インパクト分析やたくさんの書類作成を必要とする多くの要素だからだ」。
今回の気候緊急基金は、気候危機への備えと、発生した被害の修復という2段階の戦略で運営される。基金の主な目的は災害弱者を支援することだが、パルト氏によれば、企業にしてみても備えに投資することで修復の要素を小さくできるメリットがあるという。
地域社会が災害に備えるための基金には、分析を活用した早期警報システムを運営するスタートネットワークなどがある。
気候緊急基金を通じて資金提供される最初の2つの組織のうちのひとつは、気候災害関連の解決策を専門とする米国内の小規模な黒人・先住民・有色人種主導のコミュニティ組織の支援ネットワークを運営するソリューションズプロジェクト(Solutions Project)である。
「すべての災害を回避することは不可能なので、すでに災害が起きてしまったときに介入し、修復できるようにしなくてはならない」とパルト氏は述べた。ロレアルとパルト氏は、支援された人々の数、被害の軽減、そして同様のプログラムを立ち上げるために他の企業と共有できる知識の量に基づいて、この基金の成功を測定する。
「この種のプログラムを支援する財団はほかにも存在するが、それは主にNGO主導や国際機関主導のプログラムだ。私たちはこの分野で数少ない貢献者の一員である」とパルト氏は述べた。
企業はみずからが引き起こした変化に対して人々を支援する責任がある
このニュースは、マウイ島の土地火災とその壊滅的な影響の後にもたらされた。このような災害が起きるとビジネスへの影響に直面することが多いため、備えという名の下での行動が必要とされることをブランドは認識しつつある。
8月24日に報じられた新たな訴訟で、マウイ郡当局が、少なくとも115人が死亡した山火事についてハワイ最大の電力会社であるハワイアンエレクトリック(Hawaiian Electric)を公に非難したことは注目に値する。9月7日に提出された訴訟では、送電線の「意図的かつ悪意ある」誤った管理が火災を引き起こしたと主張している。
「原材料を保護し、人々に災害への備えをさせるために、同様の基金を立ち上げる企業が増えるだろう」と述べたのは、ESGの実践についてブランドと協力するポジティブラグジュアリー(Positive Luxury)の創業者、ダイアン・ヴェルデ・ニエト氏だ。「しかし、このような基金がそれほど必要ではなくなるように、オープンソースのイノベーションもまた重要だ」。
現時点では、多くのブランドがロレアルのような基金を選択しており、そうした基金は生産による影響を回避することよりも気候問題に関与しやすい支援手段だと考えている。「私たちには、特に自分たちが引き起こした変化に対して、人々を支援する責任がある」とパルト氏は語っている。
[原文:L’Oréal announces Climate Emergency Fund]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)