試験運用と初期の成功を経て、ドクタースクォッチ(Dr. Squatch)のメディアミックスにおいて、TikTokへの広告出稿は「あればなお良い」から「なければ困る」要素となった。
試験運用と初期の成功を経て、ドクター・スクワッチ(Dr. Squatch)のメディアミックスにおいて、TikTokへの広告出稿は「あればなお良い」から「なければ困る」要素となった。
男性用自然派パーソナルケア製品を販売するドクター・スクワッチは、昨年からTikTokに多額の広告予算を投入している。最高マーケティング責任者(CMO)のジョッシュ・フリードマン氏によると、現在、同社の広告予算の10%から15%が、TikTokアプリへの広告出稿に充てられているという。TikTokのユーザー数はいまや10億人の大台を突破し、その広告効果は十分に期待できる。ドクター・スクワッチは、TikTokのペイドとオーガニックチャネルの両方を最大限に活用して、若い顧客層の開拓に注力しはじめた。
「TikTokは、若者のあいだで驚異的な成長を遂げた」と、フリードマン氏。「適切な場所を選び、適切なコンテンツを用いて、この若者層にリーチしたいと考えた」。
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オーガニックとペイドの両面で
ドクター・スクワッチは、2019年にTikTokにアカウントを開設して以来、すでに12万人超のフォロワーを獲得している。フリードマン氏によると、同社の新規顧客のうち、TikTok経由の顧客は全体の約15%で、その半数は25歳未満の若者だという。
なお、オーガニックコンテンツの制作は主に社内チームが担当しているが、インフルエンサーやエージェンシーパートナーからの投稿もあるという。さらに同社は、ビデオゲームのハロ(Halo)を含め、ブランドパートナーとの連携にも注力している。ペイドコンテンツに関しては、基本的にTikTokのセルフサービス広告を活用中だ。フリードマン氏によると、オーガニックとペイドに対する戦略的な予算投資が、TikTokでの成功の秘訣だという。
「YouTubeは、我々がバイラルで成功した最初のプラットフォームだった」とフリードマン氏は話す。「ある意味で、我々はTikTokを活用する準備ができていた。機が熟せば、すぐに飛び込む準備ができていた」。
フリードマン氏はドクター・スクワッチがTikTokに投じる広告費について、具体的な金額は明かしていない。調査企業のカンター(Kantar)の調べによると、2021年第1四半期と第2四半期に同社が支出したメディア予算は760万ドル(約8億6800万円)を超えているが、2020年の約3000万ドル(約34億2500万円)に比べれば、大幅減となる(カンターはソーシャルへの支出は追跡していないため、この数字にはSNS関連の支出は含まれていない。また、ネットワークラジオへの支出は第1四半期のみだった)。
ソーシャル予算の主軸に
米DIGIDAYが以前の記事でも報じた通り、ドクター・スクワッチは、TikTokをソーシャル予算の主軸と見なしはじめた多くのブランドのひとつにすぎない。ソーシャルマーケティングエージェンシーのモディフライ(Modifly)で、ペイド広告の責任者を務めるブランドン・ビアンカラニ氏によると、メディア予算の多様化を進めるブランドが増えるなか、TikTokは手堅い選択肢となる可能性があるという。
「TikTokには、広告がワークするための基本的な要素がある。マーケティングのプラットフォームとして、非常に有望だ」とビアンカラニ氏は話す。「ブランドにとっての安全は第一だが、ときには冒険も必要だ」。
TikTokは継続的にショッピング機能を拡充し、広告商品を改善している。広告主としてTikTokに大きな予算を割くのは合理的だと、ビアンカラニ氏は話す。そして同氏も指摘する通り、本格的な広告予算を投じるに先立って、自社のターゲットオーディエンスを正しく理解し、TikTokが形成するニッチなコミュニティとの相性や重なりをよく検討する必要がある。
「自社の顧客の属性をよく理解すること、従来の顧客層に限らず、新たな顧客層を見つけて、そこに向けたコンテンツを開発すること。それはTikTok戦略の重要な一部である」と、ビアンカラニ氏は説く。
「可能性は計り知れない」
新しいチャネルを試してみることについて、ドクター・スクワッチはリスクを恐れない。今年はじめ米DIGIDAYは、ドクター・スクワッチがメディアミックスの多様化の一環として、Snapchatへの広告投資を開始したと報じた。フリードマン氏によると、同社の広告予算の大部分を占めるのは相変わらずFacebookだが、TikTokはそれに代わる「有力な選択肢」として成長しているようだ。
「従来の大手SNSに比肩するソーシャルチャネルは、そうそう見つかるものではない」とフリードマン氏は語る。「その点、TikTokは成長と改善を続けており、その可能性は計り知れない。我々もTikTokとともに成長したいと考えている」。
※追記:この記事が投稿された後、カンターの数字に関して、ドクター・スクワッチから反論がありました。今年のメディア支出は全般的に2020年を上回るとのことでした。ただし、具体的な数字については開示されませんでした。
[原文:‘Looking to grow with it’: How TikTok is becoming a staple in Dr. Squatch’s social spend]
KIMEKO MCCOY(翻訳:英じゅんこ、編集:村上莞)