老舗リテーラーが直面する、オンオフ統合する役職の必要性:ノードストロームの英断

ノードストローム(Nordstrom)の新しいCOOは、戦略的な先導者になり得るだろう。

米・大手リテーラーのノードストロームは、ケン・ウォーゼル氏を最高オペレーティング責任者に昇進させる計画を9月中旬に発表。これまでは、ウォーゼル氏は、同社のデジタル戦略の責任者だった。ノードストロームはプレスリリースで「正規価格、セール価格の両方の顧客に対するエンドツーエンドの体験を作るためにノードストロームが抱えているデジタルのアセット、そして実物的なアセットを統合し、監督する役割をウォーゼルが担う」と述べている。

ノードストロームがCOOを採用するのはこれがはじめてだ。これはほかのリテーラーたちが今後採用する役職についての示唆するものがある。ノードストロームはコア・ビジネスの再活性化に取り組んできた一方で、エグゼクティブ職を巡る構造は、レガシー的なビジネスの構造を反映したものである。ノードストローム家出身の人々がビジネスの上層に長く就いており、役割はチャンネルと部署によって分断されている。今回の動きによって「ノードストロームはタッチポイントを横断する形で、顧客がどのようにショッピングを行い、ノードストロームとエンゲージメントを持つか、という全体的な視点から顧客により良いサービスを提供する助けとなるだろう」と説明している。

ノードストロームの直近の収支報告書では、戦略を統合する必要性を示している。全体収益はウォールストリートが予測した39億3000万ドル(約4200億円)に対して、38億700万ドル(約4060億円)と、予想を下回った。と同時にデジタルでの売上は7%上昇しており、ビジネス全体売上の25%を占めている。

「オンかオフかは問題でない」

彼らの目標はビジネス全体のストリームライン化すること、そして戦略を統合することであると、これまでも何度も述べてきている。これはまた、ほかの不調なリテーラーたちにとっても、新しいビジネスの成長のために必要な項目として議題に挙げられるポイントである。「リテーラーたちはこれまで、ビジネスを異なる部門ごとに縦割で認識する、ということをしてきた」と、グローバルデータ・リテール(GlobalData Retail)のマネージング・ディレクターであるニール・ソーンダーズ氏は言う。しばしば、それぞれの部門のバイスプレジデントがCEOにだけ部門について報告するだけで、ほかの部門とのやりとりはない。

JCペニー(JC Penney)を例にとって見てみると、彼らのエグゼクティブたちは7人存在する。店舗監督、デジタルの責任者、マーチャンダイズの責任、といった具合だ。この構造は、実店舗というひとつのチャンネルでのみビジネスの大部分が行われていた時代に機能したものだ。ソーンダーズ氏は「過去においては理に適っていた。しかし、もはや合理性を持っていない」と語る。

ノードストロームのようなレガシー・ビジネスが全体戦略を再検討する事態に追い込まれていることが問題だと、ソーンダーズ氏は言う。消費者は現在、オンラインと実店舗でのショッピングに有意義な違いを見出していない。そのためデジタルと実店舗における目標が調整される必要がある。「オンラインか実店舗かは問題ではない。消費者たちはひとつのブランドだと思っている。(ショッピング体験が)統合されて欲しい、と思っているのが消費者たちだ」と、彼は言う。

戦略リーダーシップの人材

さらに重要なことに、ひとつのデパートメントストア実店舗が、その影響を完全に理解できていない可能性もある。たとえば、とあるロケーションには客足が足りていないので、実店舗を統括する責任者はそこを閉店したいと思うかもしれない。しかし、デジタル部署が、この店舗のおかげでオンラインのトラフィックが増えている、というデータを見つけるかもしれない。

そのため、リテーラーたちが今後利益を生むためには、こういった異なる部署をまとめてうまく統合させるトップレベルの役割の必要性がより高まるのだ。「組織にいる、リテール分野の人物が、ビジネス全体を見て、適切に機能しているかを確認しなければいけない。誰かが、会社が下している判断が合理的なものであることを確実にしないといけない」と、ソーンダーズ氏は言う。

「ノードストロームの長期的なビジョンを見たとき、彼らのビジョンはデジタルを駆動力にする、というものだ。これはほかのリテーラーと同じだ」とCFRAのエクイティ・リサーチ・アナリストであるカミラ・ヤヌシェブスキー氏は言う。Amazonといったプレイヤーの脅威を感じている歴史の長いリテーラーたちは特に、いまでは戦略リーダーシップの人材を追い求めている。多くの会社が、人材獲得のための競争が高まっている。PVHはラルフ・ローレン(Ralph Lauren)の元CEOを、PVH初のプレジデントとして起用した。彼の役割はファッション・ブランド群を戦略的に導くことだ。

「日々のオペレーションのために」

これらの役職にはさまざまな名前が付けられているが、複数の部門を横断する、という共通の性質を持っている。「部門の上に横断する形で存在する役職が必要だ」と、ソーンダーズ氏は言う。

「日々のオペレーションのためには、すべてを統合する人物が必要だ」と、彼は語った。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:塚本 紺)