現在、多くのアメリカ人が自由裁量支出をどこに向けるのかを見直しているが、ファストフードチェーンやファストカジュアルレストランに使う予算はまだ残っているようだ。
チポトレ(Chipotle)やマクドナルド(McDonald’s)などのチェーン店が決算を発表したのに続き、スターバックス(Starbucks)も8月1日、増収増益を報告した。同社は第3四半期の決算発表で、既存店売上高が10%増と好調な結果を見せた。全世界での既存店売上高は10%増加したが、これはおもに、トランザクション数が5%増加し、来店1回あたりの顧客の平均消費額4%増加したことによるものだ。
この業績は、スターバックスの全体的な利益率改善に伴うものだ。同社は前の四半期に、店舗の効率的な運営によって純利益が前年同期比で35%増加したと述べた。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
多くのアメリカ人が自由裁量支出を見直しつつあるいま、ファストフードチェーンやファストカジュアルレストランを予算内に入れる余地はまだ残っている。
チポトレ(Chipotle)やマクドナルド(McDonald’s)などのチェーン店が決算を発表したのに続き、スターバックス(Starbucks)も8月1日、増収増益を報告した。同社は第3四半期の決算発表で、既存店売上高が10%増と好調な結果を見せた。全世界での既存店売上高は10%増加したが、これはおもに、トランザクション数が5%増加し、来店1回あたりの顧客の平均消費額4%増加したことによるものだ。
Advertisement
この業績は、スターバックスの全体的な利益率改善に伴うものだ。同社は前の四半期に、店舗の効率的な運営によって純利益が前年同期比で35%増加したと述べた。
スターバックスは中国を中心とした海外事業が好調
コーヒーチェーン店である同社の成長は、海外、特に中国で顕著だ。北米以外では、前年同期と比べて既存店売上高が24%急増したと報告した。当四半期末の時点で、米国および中国の店舗数は、それぞれ1万6144店舗と6480店舗で、全世界の61%を占めている。
同社は、ドライブスルーとピックアップ事業の成長に投資し続けており、デジタル上の「サードプレイス」の創造をめざし、物理的な環境の規模を縮小しつつある。この「改革計画(Reinvention Plan)」は1年前に公表されたもので、しだいに実を結びつつある。
スターバックスの最高財務責任者を務めるレイチェル・ルッジェーリ氏は次のように述べている。「第3四半期の業績は海外部門も含めて予測を上回ったことに満足している。この業績は、当社の戦略、具体的には改革計画の進展に支えられており、具体的な財務結果として表れつつある。収益の増加率は12%だが、利益はそれを上回り19%も成長した」。
チポトレはパンデミック後も堅調な業績を確保
チポトレもまた、パンデミックのあいだにデジタルでの売上を伸ばし、成長を維持しているファストカジュアルチェーン店だ。同社は7月26日に行われた四半期決算発表で、運営コストが安定したため利益を増やし続けられるようになったと述べた。たとえば、アボカドの価格が2022年第2四半期に比べて下落していることを指摘した。既存店売上高は前年同期比7.4%増で、デジタル注文は四半期の収益の38%を占めた。
しかし、チポトレは現在、メニューの値上げを再び検討している。「第4四半期を控え、価格をどうするかを具体的に決定することになるだろう」とCEOのブランアン・ニコル氏は直近の決算発表で述べた。
値上げや安定した運営コストが好調を支える
マクドナルドも7月27日、第2四半期の既存店売上高が11.7%増加したと報告した。同社は、リピート客の増加や、6月にソーシャルメディアでバイラル化したマスコット、グリマスの「バースデーセット(Birthday Meal)」のような人気商品が売上増加の理由だとしている。また、マクドナルドの古くからのマスコット、コスマックス(CosMc’s)にちなんだスピンオフレストランのコンセプトを立ち上げることを発表した。これは、1980年代から1990年代にかけて人気だったエイリアンのキャラクターをテーマとしたものだ。
ガートナー(Gartner)のディレクターアナリスト、ブラッド・ジャシンスキー氏は、外食チェーンは引き続き業績が良好だと語る。「概して、この1年間は成熟したチェーン店の方が成長している」と同氏は説明し、その要因として、メニューの値上げや、食材費や人件費などの運営コストの安定化など、いくつかの理由があるとしている。「これらは利益率の改善を支えている。しかし同時に、人々は価値あるプロモーションを求めるようになっている」と、同氏は述べている。
ジャシンスキー氏は、スターバックスやチポトレなどのようにデジタルビジネスが確立されているチェーン店は、顧客の注文頻度を高めるために、パーソナライズされたお得な情報や割引を提供するようになってきていると付け加えた。そのほかに、オフィス回帰が続いていることなど習慣の変化も、成長を後押ししている。
一方、スイートグリーン(Sweetgreen)のような新興のチェーン店は予測を下回る売上を発表した。ファストカジュアルのサラダチェーン店である同社は、第2四半期の損失が昨年の4050万ドル(約57億9000万円)から、2730万ドル(約39億円)に減少したことを報告した。CEOのジョナサン・ネマン氏は、2024年の黒字化を目指していると述べた
新学期やホリデーシーズンも追い風に
今年、アパレルや家庭用品など自由裁量の商品への支出は減少したが、ファストカジュアルやコーヒーに支出した人々は十分に多い。
「価格が高騰するなか、消費者は自由裁量支出の一部を抑えながらも、特定のカテゴリーは死守しようとしている」と、ジャシンスキー氏は語る。2023年のガートナー社による消費者インフレ・価格感受性調査(2023 Gartner Consumer Inflation and Price Sensitivity Survey)では、大半の消費者にとって、食料品や外食への支出は依然として優先事項であることが示されていると同氏は指摘した。
また、学校の新学期やホリデーシーズンが近づいていることで、外食チェーン店は現在の勢いを維持することが予想される。「今年いっぱい好調が続く兆候が見える」と、ジャシンスキー氏は述べる。
[原文: Latest Starbucks and Chipotle earnings show fast casual to be inflation-proof]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)