2016年2月のニューヨーク・ファッション・ウィークは、いつもとは違った趣きだった。デザイナーたちが伝統のしがらみから抜け出し、ファッションショー終了後、即座に新作コレクションを購入できるようにしたのだ。従来ならば、販売まで半年待たされるのが常であった。
この変化は、別段驚くような戦略のもと実施されたのではない。業界がソーシャルメディアの力によって突き動かされ、生じた変化だ。
2016年2月の初旬、バーバリーのCEO、クリストファー・ベイリー氏が、今後バーバリーは従来のファッションカレンダーの指示には従わないという方針を発表。大手ファッション企業としては初の試みだ。春物コレクションを秋に見せるのではなく、男性服と女性服をひとつにまとめ、季節に縛られずに、1年間でふたつのコレクションを発表するという。米ファッションブランド、トム・フォードとトミー・ヒルフィガーも、即座に同様の内容を発表している。
2016年2月のニューヨーク・ファッション・ウィークは、いつもとは違った趣きだった。デザイナーたちが伝統のしがらみから抜け出し、ファッションショー終了後、即座に新作コレクションを購入できるようにしたのだ。従来ならば、販売まで半年待たされるのが常であった。
この変化は、別段驚くような戦略のもと実施されたのではない。業界がソーシャルメディアの力によって突き動かされ、生じた変化だ。
2016年2月の初旬、バーバリーのCEO、クリストファー・ベイリー氏が、今後バーバリーは従来のファッションカレンダーの指示には従わないという方針を発表。大手ファッション企業としては初の試みだ。春物コレクションを秋に見せるのではなく、男性服と女性服をひとつにまとめ、季節に縛られずに、1年間でふたつのコレクションを発表するという。米ファッションブランド、トム・フォードとトミー・ヒルフィガーも、即座に同様の内容を発表している。
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6カ月も待てない現代
「ファッション企業と、それら企業の新たなオーディエンスである、ソーシャルメディア経由の一般大衆のあいだには溝がある」と、ファッションブログ「メモランダム(Memorandum)」を運営するメアリー・オートン氏は話す。彼女はここ4年間で開催されたファッション・ウィークにはすべて出席している。「私たちは即時性を図り、瞬時に満足感を得る文化に住んでいる。一般の顧客たちは、商品を購入するのに、なぜ6カ月も待たなくてはいけないのか理解できない」。
デザイナーたちは顧客を優先して考えるようになり、eコマース、モバイルやソーシャルプラットフォームからコレクションを購入できるよなサービスを開始しはじめている。
米ファッションブランド、マイケル・コースは、2016年2月18日に秋コレクションを発表したが、2016年終盤まで販売を控えるつもりなど毛頭ない。ファッションショーが終了したと同時に、ショーで発表された実際に着用できる服、靴、アクセサリーなど8点を、即座にマイケル・コースのWebサイトやマディソン街にある店舗で販売した。
他ブランドも同調
マイケル・コースは、この初の試みについて、米女性ファッション誌「ウーマンズウェア・デイリー(Women’s Wear Daily)」のインタビューへ次のように応えている。「私は『顧客は季節なんて気にしていない』と考えている。だから『どうせなら』と、すぐに購入できるようにした」。グレーのカシミアセーター(2月や9月が寒いニューヨークでは必需品)などが、同ブランドの秋コレクションの発表を機に発売された。
この考えには、35歳のデザイナー、レベッカ・ミンコフ氏も共感。インスタグラムやTwitterで#SeeBuyWear(見て買って着る)というハッシュタグを使用し、2016年2月13日から春物コレクション(秋物ではない!)をインターネット販売している。また、ミンコフ氏はファッションスタイルを想起させるプラットフォーム「Polyvore」にもコレクションを紹介し、コンテストを実施。ユーザーは、ミンコフ氏の新作コレクションを組み合わせてスタイルを作るのだが、優勝者はミンコフ氏が直々に選び、ハンドバッグが賞品として贈呈される。
レベッカ・ミンコフやマイケル・コースと同様に、新鋭デザイナーであるラクアン・スミス氏も、先日行われたファッションウィークのイベント中に春物コレクションを購入できるようにした。しかし、スミス氏のファッションイベントではウェブサイトへの案内などは必要なかった。イベント会場内には至る所にiPadが設置されていて、顧客はその場で購入することができたのだ。これらのiPadは、eコマースプラットフォーム「ビッグコマース(BigCommerce)」によって設置された。
「いま見て、いま買う」考え方
「この『いま見て、いま買う』という考え方は、ブランドの表現方法を変えている」と、デジタルーエジェンシー、ROニューヨーク(RO New York)の設立者であるロニー・ゼイダン氏はコメントする。
「ファッションショーを行う意味自体を考え直している。もしファッションショーが重要であるならば、ランウェイで見た物をすぐに買えるような、顧客を中心としたイベントにするべきだ。しかし、それではすべてを変えることになる」。
デザイナーのミシャ・ナヌー氏は、もはやファッションショーが重要だとは考えない。2015年9月のファッション・ウィークは欠席したが、その代わり、彼女のコレクションすべてを緻密な投稿としてインスタグラムにアップした。スマートフォンを横にすると、ファッションスタイルの全体像が表示されるようになっている。
この「インスタグラムショー」は先日行われたファッションウィークでも紹介されている。彼女のコレクションはインスタグラムのショッピングツールである「ライクトゥノウ・ドット・アイティ(LIKEtoKNOW.it)」から購入することができる。
「現在のソーシャルメディアを考えると、『こんなものに時間はない』『信じられない』『理解できない』といった考え方では、もうやっていけない」と、ゼイダン氏は指摘する。「人生において、我々は進化しなくてはならない」。
Hilary Milnes(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Aveda Corporation