ランボルギーニ、 暗号通貨 ブームのステータスシンボルに

マンハッタンのミッドタウンで5月第3週に開催された暗号通貨会議「コンセンサス(Consensus)」では、ランボルギーニ(Lamborghini)がヒルトン・ミッドタウン前のいたるところに駐車されていた。だから、暗号通貨仲間がすでに到着したことは、誰にでもわかる。

暗号通貨取引所は、高級スポーツカーのランボルギーニを人目を引くために借り、狂乱した奇妙な暗号通貨の世界における成功の象徴として利用した。この世界では、ランボルギーニ、通称「ランボ(Lambo)」は、暗号通貨界での成功を証明するステータスシンボルになっている。なにしろ、ビットコインを使って世界有数の高級車を買えるなら、何事も冗談では済まない。

大勢の暗号通貨長者がおおっぴらに、ランボルギーニにビットコインを費やしているおかげで、「ランボ」は暗号通貨仲間の文化の外面的象徴になった。以来、「ランボ(を買えるの)はいつ?(When Lambo?)」というのが、暗号通貨での成功を表す省略表現になっている。新しい通貨が登場するたびに、いつになったらランボを買うのに十分な価値になるかを意味して、こうした質問が繰り返される。「イーサリアム(Ethereum)」の考案者ビタリック・ブテリン氏がイエス・キリストのような姿で、赤のランボルギーニを両手で持っている有名なミームもある。だが、ブテリン氏本人は、暗号通貨ファンによる一攫千金計画が業界の主流になったら、イーサリアム・プロジェクト全体を打ち切ると脅している。

新たな金づるを象徴

暗号通貨が需要を煽っていることに疑問の余地はない。ランボルギーニの売上高は着実に増えており、1月には記録的な数字を達成し、7年連続の増加を実現した、と同社は報告している。

「ランボルギーニはこれまで常に、新たな金づるを象徴してきた。誰にとっても必需品ではないので、ランボルギーニは余分で法外な富の象徴だった」と語るのは、ブランディングエージェンシー、レッド・ピーク・ブランディング(Red Peak Branding)のCEOスーザン・カンター氏だ。

ランボルギーニのほぼすべてのモデルが、カニエ・ウェストの「ランボルギーニ・ドアーズ(Lamborghini Doors)」、エイサップ・モブ(A$AP Mob)の「ヤンボルギーニ・はハイ(Yamborghini High)」など、ある種のヒップホップまたはラップミュージック動画に登場している。

ブランド戦略の専門家によると、ランボルギーニには挑発的な傾向があるという。目立ちたい人向きで、成功し、そのことを皆に知ってほしいと思っていることの明確なサインなのだ。

「ランボルギーニには常に、これ見よがしなところや健全な男らしさがあり、周囲に騒がれる。すぐに気づいてほしい人向けのブランドだ」とコンサルタント企業、HLグループ(HL Group)のプレジデントであるエイミー・ハフト氏は語る。

米国での「成功」という意味合いもあるので、多くのアーティストが成功を称える方法として利用してきたと、ハフト氏は指摘する。

高級ブランドの危機

カンター氏は、ブランドが危険にさらされかねないのは確かだと主張している。「社会経済的地位が理由で、個人と特に結びついているブランドの場合は、そういったリスクがある。ランボルギーニは、性能に関する約束や本質にこだわるべきだ」。

問題は明らかだ。暗号通貨は主流になるにつれて、バブルの兆候も示し始めている。多くの投機性が高い草コイン(shitcoin)、暗号通貨取引の詐欺、戦略コンサルタントの「暗号通貨長者になる方法を紹介」といったテレグラム(Telegram)の投稿など、ネットには一攫千金計画が溢れている。それに、ブランドは、混乱と関連づけられることを望んでいない。

ハフト氏によると、ランボルギーニには、「一攫千金を実現して、あっという間に死に絶える」という意味合いもあり、ビットコインによる富の保有期間を大いに物語っていると言ってよい。

過去には、いわゆる高級ブランドも似たような問題を抱えていた。2004年には、英国の労働者階級の粗野な白人の若者「チャブ」のあいだでキャメルチェックが大人気になったあと、 バーバリー(Burberry)は売り上げが急減した。小売店は、そうした関連性のせいで、ほかの者がバーバリーの製品を購入したがらないと嘆いた。

2005年には、プラダ(Prada)にそれより小幅な売り上げ急減があった。チャブやギャングと関連づけられるようになったので、英国のバーにある多くのクラブが、プラダのハイトップスニーカーを履いている者の入店を禁止したのだ。たしかに、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)など多くの高級ブランドは、ブランド認知の問題を理由に、特定の経済層や人種と関連づけられないように努力してきた。だが、このニューヨーカー(The New Yorker)の記事が指摘しているように、ストリートウェアを通じてそうした客層と密接に結びついた過去がある場合が多い。

ランボルギーニの場合

ソーシャルメディア分析のブランドウォッチ(Brandwatch)によれば、ランボルギーニに対する感情は、おおむね好意的だという。また、アナリストのケラン・テリー氏によると、ランボルギーニやビットコイン、暗号通貨についての会話のなかでは、「非常に好意的」(97.3%)らしい。ラッパーのカーディ・Bがランボルギーニをめぐる議論で言及される頻度を示すデータを示し、ランボルギーニはラップの曲のなかでステータスシンボル扱いされることも多いと語った。「こうしたつながりにより、人々は暗号通貨についても同じように考えはじめている。音楽と暗号通貨はいずれも、富裕層になってステータスシンボルを購入するための手段だ」。

ブランドウォッチが米DIGIDAY向けにまとめたデータによれば、「bitcoin(ビットコイン)」や「blockchain(ブロックチェーン)」のハッシュタグは、この1カ月間にランボルギーニに関する会話のなかでもっともよく使用された10のハッシュタグに含まれているという。この期間に発生したインプレッションは、#Bitcoinが1480万超で、#Blockchainが1450万だ。暗号通貨長者が次々と、公にビットコインをランボルギーニに費やしているおかげで、「ランボ」は暗号通貨仲間の文化における外面的象徴になっている。

ランボルギーニは、こうした注目を好ましく思っているようだ。先週のCNBCとのインタビューで、ランボルギーニのCEOであるステファノ・ドメニカリ氏は、ランボルギーニは若者、それも特に、ハイリスク・ハイリターンな状況に満足している若者に愛されていると語った。

「ハイリスクな投資で大金持ちになる意欲がある若者と、ランボルギーニの顧客がとても若いことのあいだに、類似点が見られる」。

カンター氏も同じ意見だ。「ランボルギーニは、若者らしい富の築き方と関連性がある。マイナス面は、生意気で傲慢な仲間文化を連想させる恐れもある点だ。だが、それは悪いことではない」。

暗号通貨マニアの動き

その点については歴史がある。新興企業のCEOであるピーター・サディントン氏は、2011年までに約115ドル(約1万2000円)で45ビットコインを購入し、のちにそれで20万ドル(約2180万円)のランボルギーニ・ウラカン(Huracán)を購入した。

2014年には、4チャン(4chan)ユーザーが、216ビットコインで約20万9995ドルのランボルギーニ・ガヤルド(Gallardo)を購入。書類を流出させたので、レディット(Reddit)で伝説となり、ビットコインを確認するサードパーティのサービスを利用して買った。このニュースは口コミで広がり、購入先の販売特約店ランボルギーニ・ニューポートビーチ店はそれを誇らしげに利用し、ビットコインでの支払いを受け付けた最初の高級車販売店だと宣言した(同店はほぼ同時期に、91ビットコインでテスラ・モデルS[Tesla Model S]も販売した)。

当時はほかにもたくさん似たような販売が行われ、暗号通貨マニアは、新たに得た富を現金化して、高級車を購入した。

1ビットコインの価格は現在8000ドル(約87万円)で、12月の約半分だ。

ドットコムブームとの類似

暗号通貨専門のヘッジファンド、3.0のCEOであるウッドロー・レビン氏によると、ランボは、暗号通貨仲間が屋上から叫んで、自分はここにいると宣言しなくてはならなかった時期のものらしい。暗号通貨による資産をもっと真剣に受け止めている人々にとっては少なくとも、そうした時期は過ぎたという。

「まじめに受け止められたい、これを革新的な技術や新しい資産階級として受け入れてほしい――。そんな場合は、HODL(落胆しても売らずに持っておく)やmoon(価格の高騰)、ランボを避けることだ」。レビン氏は、人々が現金化してヨットやジェット機を購入したドットコムブームになぞらえた。「これは新しいことではない。ある意味で、ランボは業界のめざましい台頭の象徴になっている」。

Shareen Pathak(原文 / 訳:ガリレオ)