クラフト(Kraft)が、デジタル屋外広告(DOOH)に重点を置いたデジタルメディアミックスの強化に乗り出している。また買い物習慣の変化に合わせ、ミレニアル世代の親たちが時間を過ごす場所で彼らの注意を引こうとしている。 […]
クラフト(Kraft)が、デジタル屋外広告(DOOH)に重点を置いたデジタルメディアミックスの強化に乗り出している。また買い物習慣の変化に合わせ、ミレニアル世代の親たちが時間を過ごす場所で彼らの注意を引こうとしている。
この戦略は、ラクタリス・ヘリテージ・デイリー(Lactalis Heritage Dairy)が2021年に、クラフトハインツ(Kraft Heinz)からクラフトブランドのチーズ事業部門を買収したことを受けてのものだ。
クラフトにとって買収後初の数百万ドル規模のキャンペーンであり、特に春から夏にかけての時期に、子育て中のミレニアル世代とのあいだに強固なつながりを構築することを目指す。
Advertisement
「消費者にとって信頼できるパートナーになりたい」
ラクタリス・ヘリテージ・デイリーでマーケティングディレクターを務めるケン・パジェット氏によると、クラフトのマーケティング戦略は14カ月前から計画していたものだ。テレビ広告やスポンサー広告の準備に加え、消費者の買い物習慣の変化を考慮して、DOOHやソーシャルメディア広告にも関心を寄せている。
たとえば、ミレニアル世代やZ世代は現在、インスタカート(Instacart)やウーバーイーツ(Uber Eats)などのアプリや、Facebook、インスタグラム、TikTokなどのソーシャルメディアプラットフォームでのショッパブル体験を通じて買い物をすることが増えている。
「特に世界的なパンデミックを経て我々が直面している情勢のなかで、消費者の感情的なつながりをひとつにまとめる存在でありたい」とパジェット氏は話す。「消費者が日々経験しているインフレの拡大を受け、我々は食事の時間や特別な機会に、消費者にとって信頼できるパートナーになりたいと考えている」
パジェット氏によると、クラフトのキャンペーンでは、家族が一緒に食事を作っていた90年代の情景をヒントに、ノスタルジーをテーマにしたテレビとデジタルディスプレイ用広告を制作し、ミレニアル世代の親たちとのつながり構築を目指す。そのためにクラフトは、DOOH広告をさまざまなサイズと戦略的な配置で米国中に展開する。またキャンペーンの一環として、Facebook、Pinterest(ピンタレスト)、インスタグラム上でソーシャルメディア広告も展開し、ブランドのオンラインストアへのトラフィック増加を促す。
消費者が献立を考えるためのソーシャルチャネルを活用
プログラマティックDOOH広告は総じて、デジタル広告業界の急速な成長により、マーケターが実世界でターゲットオーディエンスにリーチするための、より革新的な方法となっている。リサーチアンドマーケッツ(Research and Markets)によると、DOOH市場は2026年までに330億ドル(約4兆6350億円)規模に達すると予想されている。
アスパイア(Aspire)のマーケティング戦略ディレクター、マグダ・フーアラ氏は、「マルチメディアキャンペーンは、クラフトが異なるターゲット消費者に響くさまざまな方法でメッセージを伝えることができるため、非常に重要だ」と話す。「すべての消費者がすべての広告を見るわけではないため、利用できるタッチポイントが多いほどリーチが広がり、ターゲット消費者に届く可能性が高くなる」
クラフトは今回のキャンペーンで、DOOHに加え、ソーシャルプラットフォームにも注力するが、Twitterには広告を出さない。パジェット氏はその理由について、インスタグラムやPinterestと違い、Twitterというプラットフォームは、食品やレシピを発見するための主要な場所とはいえないからだと述べている。
「我々は、最もインパクトが大きく、消費者が献立を考えるためにメディアを消費していると判断されるソーシャルチャネルを活用している」とパジェット氏はいう。
ブランドのメディアミックスにおけるスタンダードに
クラフトだけでなく、今年に入って複数のブランドが屋外広告をメディアミックスに取り入れている。ボディアーマー(BodyArmor)、NBA、リキッドIV(Liquid I.V.)なども、DOOHによる屋外広告を展開している。
パジェット氏が予算全体の詳細を明かさなかったため、クラフトが今回のキャンペーンにいくら投じているかは不明だ。なお、センサータワー(Sensor Tower)のデータによると、クラフトの2023年1~5月のデジタル広告費は、2022年の同時期を82%上回っていた。パジェット氏は、今回のキャンペーンにおけるマーケティング予算は4分の1がコネクテッドTVに、残りはデジタルディスプレイとソーシャルメディアに費やされたと述べている。
[原文:Kraft increases investment in its digital media mix with a focus on nostalgia and millennial parents]
Julian Cannon(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:分島翔平)