ケイト・スペード、「インスタ」ファーストの動画戦略 へ:リファイナリー29との提携で

2014年からずっと、マーケティングに対して動画ファーストのアプローチを貫いてきたケイト・スペード(Kate Spade)が、新しい取り組みをはじめようとしている。

ケイト・スペードは、マーケティングシナリオに新戦略を追加した。リファイナリー29(Refinery29)とパートナーシップを締結し、インスタグラム(Instagram)向けの60秒動画シリーズを制作し、ケイト・スペードではなくリファイナリー29のインスタグラムで公開する。動画はリファイナリー29とケイト・スペードの短編のブランデッドコンテンツシリーズ「パイロット・シーズン(Pilot Season)」の一部で、カイラ・ベネス・トラップ、フランチェスカ・ミラベラ、ダニエル・カンプ、サラ・サロバアーラ、ケイティ・ボーランド、アンナ・ケリガンなど女性監督が作った5つの動画を特集している。

リファイナリー29は2019年6月最終週に毎日、インスタグラムページに新しい動画を公開してきた。そのうちの1本はすでに10万ビューを獲得している(原文記事掲載は6月28日)。ケイト・スペードはYouTubeに8万2000人以上の購読者を抱え、インスタグラムには260万のフォロワーがいる。リファイナリー29にはYouTubeの購読者が200万人、インスタグラムのフォロワーが230万人いる。

リファイナリー29の選択理由

ケイト・スペードが自社のページではなくリファイナリー29のページで動画を公開したいと考えた主な理由は、ケイト・スペードというブランドを新しいオーディエンス、そして潜在的な新たな顧客にさらすことにあった。

リファイナリー29の北米担当プレジデントを務めるエイミー・エメリッヒ氏は、「プロジェクト全体を通じて、特に顧客獲得や新しいオーディエンスを見つけることを考慮し、衣類や製品の見え方を変える。我々は、『うわぁ、ケイト・スペードで買い物しなくちゃ。ここにこんな製品があるなんて知らなかった』と人々がいうところに遭遇すると思う」と話す。リファイナリー29はこれまで、短編シリーズ「シャッターボックス(Shatterbox)」など、すでに市場に出した16プロジェクトのほかに、開発中の28プロジェクトでオリジナル動画に注力してきた。リファイナリー29は2018年に前年比で110%成長し、その理由のひとつとして女性を前面に押し出した動画戦略をあげている。

買い物客が見る昔ながらの商品画像とは違う形で衣類を紹介し、ドッグウォーカー(犬の散歩代行業者)ベビーシッターが着るような、現実世界で身につけられている状況に焦点を当てる、という発想だ。リファイナリー29は、ウェブサイトへの投稿にあげた短編動画で扱われたケイト・スペードの全商品を特集する予定だ。ケイト・スペードは動画以外に、紙媒体やソーシャルメディアでの広告にも予算を割り当てている。


ミレニアル世代を掴むため

ケイト・スペードは5月に、予想を上回る第3四半期の業績を発表した。純売上高は前年の13.2億ドル(約1428億円)から13.3億ドル(約1439億円)に増加したが、同ブランドは、何年にも渡る割引と数四半期の販売不振からまだ完全には立ち直れていない。ケイト・スペードはリファイナリー29とパートナーになることで、リファイナリー29をフォローし、そのコンテンツを消費している若いミレニアル世代やZ世代の消費者の目に触れる機会を手に入れる。グローバルブランドコンサルタント、ランダー(Landor)の消費者ブランド部門グローバルプレジデントであるメアリー・ザラ氏は、エンターテインメントに着目したマーケティング戦略を継続的に推し進めることは、より若い世代の購買客の心を掴むカギになるだろう、と話す。

「ミレニアル世代はブランドを信用せず、伝統について考え直し、本物であるものを受け入れる」とザラ氏。「(ケイト・スペードは)気高さよりもエンターテインメント性のあるコンテンツの作り方を考え、若い消費者が探しているコンテンツにオーガニックに到達するのに役立つ刺激的なコラボレーションを検討している。Z世代が市場に参入し始め、エンターテインメント性よりブランドを押し出していると感じられるものから離れていくなかで、こうしたことはより一層重要になるだろう」とザラ氏は語る。

ケイト・スペードは、2014年のホリデーシーズン頃からアナ・ケンドリックとともにデジタル動画シリーズを作成、ブランドのYouTubeページで公開した。それとともにデジタル支出を増やし、プレロール広告をまず出した。その翌年、ケイト・スペードは同様の戦略を取り、カット・デニングスやアンナ・ファリスのようなセレブリティを起用して、機知に富んだ、ときには滑稽なストーリーラインのより長い動画を作り、当然ながら、そのなかに製品を多数登場させた。

エンタメを作るのはなぜか?

もちろん、特にインスタグラムが買い物に及ぼす影響を考えると、このインスタグラムを通じた動画ファーストの戦略には販売上の大きな意味合いがある。ケイト・スペードを新しい顧客(リファイナリー29の読者)に紹介することで、販売につながる可能性が高くなる。事実、ケイト・スペードのナイマン氏によると、販売の促進という点に関しては、動画は今週だけでも成功を証明しているとのことだが、同氏はさらなる情報の共有はしなかった。しかし、先述のアナ・ケンドリックの(なかにはYouTubeで200万回以上視聴されているものもある)「#Missadventure」シリーズなど、ケイト・スペードが、ブランドとしてエンターテインメントを制作する際に考慮するのは販売だけではないと説明する。

「確かに我々が制作するブランデッドエンターテインメントからもたらされる売上はあるだろう。そこから今後得るだろう売上や、すでに得たものもある。だが、実際のところ、ブランデッドエンターテインメントはハロー効果であり、顧客獲得のためのツールだ。ブランドがどういうものかを人々に示す方法でもある」と、ナイマン氏はいう。ケイト・スペードが2018年にマーケティングや広告にどれだけ費やしたかは不明だが、ケイト・スペードの親会社でコーチ(Coach)やスチュワート・ワイツマン(Stuart Weitzman)を擁するタペストリー(Tapestry)は、最近の業績報告のなかで、2018年のマーケティング支出は2億2840万ドル(約247億円)で、2017年の1億7830万ドル(約192億円)から増加したと書いている。

Katie Richards(原文 / 訳:ガリレオ)