K18はすでに今年の収益と売上目標を達成し、有利な立場にある。ブランド刷新のために、K18は2021年末にセフォラにローンチ、その後、2022年1月にはTikTokキャンペーンを開始、その結果、ユビキタスと110億ビューを達成した。予算があり自由にクリエイティブを行う余裕があるK18の今年最後のキャンペーンは?
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy」の記事です。
K18(ケイエイティーン)は、すでに今年の収益と売上目標を達成し、有利な立場にある。ブランド刷新のために、K18は2021年末にセフォラ(Sephora)にローンチ、その後、2022年1月にはTikTokキャンペーンを開始、その結果、ユビキタスと110億ビューを達成した。ハッシュタグ#K18hairは4億4500万ビューとなっている。予算があり自由にクリエイティブを行う余裕があるK18は、今年最後のキャンペーンとして、TikTokerのアンナ・シタール氏(フォロワー数1210万人)を起用してコネクテッドTVコマーシャルを監督させるという思い切った行動に出ることを決断した。このCMは10月29日に公開され、少なくとも11月末までは放映される予定だ。
K18はTikTokでもトップフィードプログラムを通じて、コアオーディエンスをターゲットにした広告を掲載する。トップフィードプログラムでは、ユーザーがFor Youページを開いた際の4番目の動画として、ブランドの広告を表示する。K18は、TikTokによる調査に基づいたリサーチからこの決定を下した。アドエイジ(AdAge)によると、その研究では「参加者がTikTokでブランドを見てからテレビでもブランドを見た場合、ブランドのキュー(手がかり)に対する視覚的な注意が4%上昇、ブランド想起は6%上昇しており、つまり広告露出後に行ったアンケートで、複数の選択肢から参加者が正しいブランドを選んでいる」ことがわかった。
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この広告は、セフォラのビューティインサイダー(Beauty Insider)セールとタイミングを合わせている。セールは会員ランクにもよるが、10月28日頃から11月7日まで開催され、会員はK18のヒーロー商品であるリーブイン・モレキュラーリペアマスク(Leave-in Molecular Repair Mask)が10~20%オフで購入できる。また、2種類のシャンプーをそれぞれ36ドル(約5300円)で販売する。同ブランドはセールをほとんど行わないため、今回のキャンペーンは新規顧客に製品を試してもらうという意図がある。
TikTok特有のものを従来のコマーシャルに採用
「2020年に彼女がTikTokに登場し、みんなの心を和ませて以来、私たちはアンナ・シタール氏の大ファンだ」と語ったのは、K18のグローバルマーケティング・シニアバイスプレジデントのミシェル・ミラー氏だ。ミラー氏は、シタール氏がフォロワーに与える影響力にヘア製品があることに気づいた。そして8月、シタール氏はK18について有機的に投稿、イタリア旅行中に髪を救ってくれたのがリペアマスクだと力説した。そこでミラー氏とチームは、パートナーシップの話をシタール氏にもちかけたのだ。「彼女は有償でのパートナーシップをあまり行わないクリエイターのひとりだ。彼女はコメントで(なぜもっとやらないのかと)人に聞かれるたびに、『そのブランドが本当に好きでなければならない』と答えている」とミラー氏は語る。
「自分たちがいつも行っているストーリーテリングとは異なるアプローチだった」とK18のクリエイティブ・バイスプレジデントのジェン・ハー氏は言う。「通常、私たちはコンセプトを作り、それからタレントをキャスティングする。今回は、それを逆転させた。アンナはクリエイティブな才能にあふれ、コンセプトやトランジション、編集についてたくさんのアイデアを持っていた。TikTok特有のものを、より従来のコマーシャル制作の枠組みに取り入れるのは、とても楽しかった」。シタール氏は、ロヨラ・メリーマウント大学で映画撮影術と映画・ビデオ制作の修士号を取得している。
TikTokで有名になったフレーズをCMに
シタール氏は「I don’t want it(そんなの要らない)」というキャッチフレーズと動画で知られており、彼女のTikTokのバイオには『「I don’t want it」のCEO』と書かれている。基本的に、彼女は理想のシナリオに関連してこのフレーズを使い、そのシナリオに当てはまらないなら、そんなものは要らないと発言する。
K18のキャンペーンでは、シタール氏が次のように話す。「ヘアマスクが、4分でダメージを内側から回復させないなら〜ブリーチやブロー、ストレートヘアアイロンを強くかけすぎた髪を実際に修復してくれないなら、ほんのわずかな量だけが必要で、洗い流しが不要で、私の髪をなめらかで柔らかく弾むようにすることが科学的に証明されていないなら、そして私のヘアスタイリストがおすすめしないなら〜私はそんなの要らない!」。
シタール氏の「そんなの要らない」というTikTokは、鏡の前でスマホを片手に撮影されている。ブランドとシタール氏はともに、その(さらに)高度なプロダクションバージョンを作ることにした。
このキャンペーンには6桁の費用がかかったが、ミラー氏は総額50万ドル(約7360万円)以下だったと言う。シタール氏は「撮影現場に着いた日、『うわー、まさに想像していた通りだ』と思った」と話す。彼女はK18のチームとZoomで打ち合わせをしたあと、セットが「完璧」に仕上がっているのを見て、クリエイターとしてとても嬉しかったという。「頭のなかで見たものを口で説明するのはとても難しい」とシタール氏は説明した。彼女はまた、11月にロサンゼルスのジ・アメリカーナ(The Americana)にあるセフォラで、K18と交流イベントを行う予定だ。
目標はブランド愛を築き、製品を広めること
ミラー氏は「これまで成長する企業に在籍してきたが、これほど速く成長する企業は見たことがない」と語る。彼女は以前、コーサス(Kosas)やトゥーフェイスド(Too Faced)などのブランドで働いた経験がある。K18はすでに2022年の目標を超えているため、マーケティングキャンペーンが直面する典型的な制約に縛られることはない。
「このブランドはかなり注目されているので、いくらの売上を確実に上げなければならないという多大なプレッシャーはなく、このキャンペーンは指標で測られるような類のものではない」とミラー氏は述べた。「派手でありながら本物らしいものを作りたかったし、このアイデアには皆、ゾクゾクした。目標は単純に、引き続きブランド愛を築いていくこと、K18を世界に知らしめていくことだ」。
[原文:K18 taps TikTok influencer Anna Sitar to direct its new campaign]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)