MARKETING ON PLATFORMS

デジタル広告施策の振り返りで、後悔にじませる米民主党:「ねじれ」状態を生んだ原因はどこに?

​大統領選挙、上下両院選挙を含む2020年の選挙がほぼ終了したことを受けて、アメリカの政治家や政府機関の幹部は、今年の選挙結果におけるFacebookやその他プラットフォームのデジタル広告の役割を考察している。

​昨年秋、メディアバイヤーとデジタルアナリストたちは米DIGIDAYに対し、デジタル広告は2020年の大統領選挙で「実証実験」として使われるだろうと語った。​同時にカンター(Kantar)は、有料広告に費やされると予想される60億ドル(約6250億円)の約20%がデジタル広告に使われると予測した。​Kantarによると、デジタル広告は今年の政治広告の「20%以上」を占めたが、民主党と広告代理店の幹部のなかには、デジタル広告に十分に焦点が置かれたかどうか、特に上下両院で議席を失った民主党に関して疑問を呈する者もいる。

SNSで選挙に勝つわけではない

​11月第1週の週末、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)とのインタビューで、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員は、選挙で落選した民主党議員の一部は、Facebookのようなプラットフォームでの広告に十分な費用をかけずにテレビや郵便でメッセージを伝えることに頼り過ぎていたため、「エンジン全開」ではなかったと語った。​そのため、候補者たちはオンライン上での共和党の攻撃に対して脆弱であった、とオカシオ=コルテス下院議員は指摘した。​それ以来、民主党議員のなかには、選挙運動に勝つためには「家を訪問するのか、Facebookを使うのか」といったことよりも、政治家のメッセージ自体の方がより重要だと反論するラム下院議員のような議員も出てきている。

​「民主党が期待していたほどの勢いが議会側では生まれなかった」と語るのは、デジタルコンテンツの制作会社ポータルA(Portal A)の共同創立者でマネージングパートナーを務めるザック・ブルーム氏だ。​同社は、現在次期大統領に選ばれたジョー・バイデン氏のインフルエンサーキャンペーンにこの秋の初めに協力した。​「(選挙前は)全員が努力して団結し、お互いに思いやりを持った言動をしていたが、今は誰しもが答えを求めており、抑えられていた思いが解放された」。

バイデン氏のキャンペーンで働いていたブルーム氏は、同キャンペーンにおいてセレブがメッセージを読み上げるサービス「カメオ(Cameo)」や『あつまれ どうぶつの森(Animal Crossing: New Horizons)』のような新しいソーシャルメディア戦略をよく理解した投資が行われたと述べたが、民主党全国委員会(Democratic National Committee)のデジタル戦略のすべてに通じていたわけではない。そのうえで、選挙運動は複雑で、民主党の議席を失った原因を正確に語るには時期尚早だと指摘した。​「ソーシャルメディアが選挙に勝つのではなく、選挙に勝つことの一部として(ソーシャルメディアが)ある」と、ブルーム氏は語った。

民主党には「焦点の欠如」がある

​それでも、エージェンシーの幹部たちは今後、デジタル広告に、特に若い有権者がますます多くの時間を費やしているTwitch(ツイッチ)のような新しいプラットフォームでの広告にもっと注意を払うべきだという。​あるデジタルメディア幹部は、民主党は今でも主に伝統的なメディアに集中しており、デジタルに関しては全般的に「焦点の欠如」があると指摘した。

​「商業ブランドたちは長いあいだ、『デジタルファースト』のコンテンツと支出を採用してきたが、政党たちはまだ同じレベルに達していないことは明らかだ」とコンテンツ代理店インダストリアル・カラー(Industrial Color)の最高経営責任者であるマシュー・ションピニー氏は述べる。​「プロダクトであれ、国の将来であれ、何を人に売り込もうとしていても、デジタルプラットフォームとその正確なターゲティング性能は、信じられないほど強力な説得ツールである。この重要な洞察に今、ようやく選挙キャンペーンのブレーンたちが気付き始めている」。

​フレー・エージェンシー(Hooray Agency)のマーケティング担当ディレクターであるケイトリン・ラマン氏によると、一部の政治家は、単にプラットフォーム上にアカウントを作成してオーガニックなコンテンツを投稿するだけで十分なデジタル戦略だと考えているという。​「人々は、ソーシャル上で投稿すれば人が見てくれると勝手に思い込むが、これは事実ではないと我々は知っている」とラマン氏は述べる。​「強力なコンテンツ戦略と非常に強力な有料広告戦略を組み合わせなければ、多くのチャンスを逃してしまうことになる。これらを連携して活用したときに、(ソーシャル)チャンネルはそのポテンシャルを発揮する」。

​「あらゆることをしなければならない」

エージェンシー幹部たちは、デジタル戦略を修正するためにFacebookだけに焦点を当ててしまうことに注意を促した。​デジタル戦略は複数のプラットフォームを対象とする必要があるからだ。

​「現時点では、戦略は何もない」と、ブルーム氏は述べた。​「あらゆることをしなければならない。人々のメディア消費方法は完全に細分化されている。私たちは皆、さまざまな場所からメディアを消費している。今では有権者がいる(デジタル上の)場所にリーチして彼らに会わなければならないため、選挙運動におけるコミュニケーションの性質は変わってしまった。Facebookにお金を注ぎ込むだけではなく、できる限り多くの場所にいることが大切だ」。

[原文:‘Just now catching up’: Why the level – and sophistication – of digital ad spending in the ’20 election is being debated by Democrats

KRISTINA MONLLOS(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU