CBE(大英帝国勲章)を受章しているジョー・マローン氏は、特別な能力を持って生まれた。 マローン氏には生まれつき共感覚がある。これは、ある感覚刺激が、無意識に別の感覚刺激を生み出す知覚現象である。彼女にとって、これは匂い […]
CBE(大英帝国勲章)を受章しているジョー・マローン氏は、特別な能力を持って生まれた。
マローン氏には生まれつき共感覚がある。これは、ある感覚刺激が、無意識に別の感覚刺激を生み出す知覚現象である。彼女にとって、これは匂いを視覚的に体験できることを意味する。マローン氏はこの個性を利用して、グローバルブランドのジョー マローン ロンドン(Jo Malone London)を生み出した。同ブランドは、1999年、エスティ ローダー カンパニーズ(Estée Lauder Companies)に非公開の金額で買収された。マローン氏は2006年に乳がんの診断を受け、当時は嗅覚を失ったためにジョー マローン ロンドンを去った。5年間フレグランス業界から離れていたマローン氏だったが、ジョーラブズ(Jo Loves)でフレグランスカテゴリーに再び参入した。
マローン氏は、Glossyビューティポッドキャストの最新エピソードで「ここ数年で、フレグランスはビジネスやキャリアではないことを知った。私にとって、それは親友であり、世界中でもっとも好きなこと」と語った。
Advertisement
ジョーラブズはZ世代のお気に入りだ。また、2017年に発売された同社のフレグランスペイントブラシと、遊び心のある方法で顧客に香りを紹介する店内のタパスバーのコンセプトも注目に値する。ジョーラブズは着実に国際展開しており、シャングリ・ラ ザ・シャード ロンドン(Shangri-La The Shard in London)やパークレーン ニューヨーク(Park Lane New York)をはじめとするホスピタリティパートナーシップも増えている。マローン氏にとっての目標は香りを通じて世界を変えることである。
マローン氏は、ブランドをゼロから再スタートした経緯、ドバイがクリエイティブなインスピレーションを与えてくれる理由、クリーンビューティなフレグランスについての意見、101種類のフレグランスを作りたいという意欲の理由についてGlossyに語った。以下に、読みやすさのために若干編集・要約した抜粋を紹介する。
Subscribe: Apple Podcasts • Stitcher • Google Play • Spotify
ジョーラブズのローンチについて
「(ジョー マローン ロンドンを)去ってから2週間後、ある朝目覚めると、突然すべて匂えるようになった。私は起業家であり、小売業者であり、クリエイティブな人間だ。そして、(フレグランスに)戻りたいと思った。そこで、ある夜、キッチンのテーブルを囲んで夕食を食べながら、我々はジョーラブズで再び始めることにした。
自分の名前のついた事業を売却するとき、その人は常にその事業の一部であり、その事業は常にその人の一部だ。だが、そこからどうやって先に進むのか?自分はまだその人でいていいのだろうか?答えはもちろんイエスだ。やることがすでにやったことの繰り返しなら、誰も先に進んではいないし、世界は決して変わらない。だが、私はジョー・マローンなのに、ジョー マローンを使うことはできなかった。(ジョー マローン ロンドンの)クリーム色と黒の箱のままではいたくなかった。もうそれはすでにやったことだから。何か新しいこと、違うことをしたかった。ビジネスの機会を追求するのが大好きだ。自分の名前は変えられない。だが、最初のフレグランスを売る前に(ジョーラブズという)名を知的財産として登録して、世界中で商標登録して保護しなければならなかった。通常、そんなことは起こらない。すべて自分たちで資金調達した。ビジネスパートナーはいなかった。小さなスタジオを借りており、初めは店はなかった。奇妙な経験だった。とてもつらくて大変だったので、1年ほど辞めたいと思った時期もあった」。
ストーリーテリングの形式としてのフレグランス
「私は香りのストーリーテラー、香りの記憶の門番だ。それぞれの香りはストーリーだ。私はこれまでとはまったく異なる方法で消費者とつながりたいと思っていた。シルク・ドゥ・ソレイユをフレグランスに持ち込みたかった。タパスバーによってそれが可能になった。ロンドンのエリザベスストリート42番地に最初に移ったとき、店に入ったらタパスバーを思いついた。大きな赤いボトルの『J』のタパスバーがある。食べ物ではなく、鼻のためのタパスを提供する。コロンはタジンで蒸した香りを箸で楽しんでもらう。来店者を香りで彩る。無料だ。我々はそれをファーストキスと呼んでいる。つまり、ブランドから初めてキスされる瞬間ということ」。
ホスピタリティ市場への参入
「この発想については確信がなかったが、実に素晴らしい経験をしている。自分の五感すべてをホスピタリティ業界に投じたかった。ザ・シャードでは、カクテルを飲みながら(ローンチを祝い)スタートした。その後、オマーンのシャングリ・ラに拡大して、スパ、バー、レストランを担当した。…これは、ホスピタリティ、香り、消費者との感動的なストーリーを結びつけるものだ」。
[原文:Jo Malone on her second act, Jo Loves: ‘I wanted to sit at the banquet of opportunity.’]
EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)