偽造品が横行する Amazon に、高級ブランドが「待った」: 「対処の取り組みは不十分」

高級路線のプラットフォームを準備していると噂されるAmazonだが、すでに参加しないと明言している高級ブランドも存在する。LVMHのCEOバーナード・アーノルト氏は、1月28日に行われた第4四半期の業績報告で過去にAmazonからのアプローチがあったことを明かした。そしてAmazonとの提携は今後も絶対に行わないと明言した。その理由として、同氏はAmazonによる偽ブランド品への対策が不十分なだけでなく、同社が偽ブランド品で利益を得ていることをあげている。

「Amazonはデータベースを通じてカスタマーと販売業者を結びつけ、売上の数パーセントを取り分としている。当社はAmazonに限らず、いかなるサイトでも偽ブランド品の販売と戦っていく」と、アーノルド氏は表明した。

偽ブランドビジネスの実態

Amazonが偽ブランド品への対策を取る兆候は見られない。理由はシンプルで、偽ブランド品はよく売れて、カスタマーも気に留めていないからだ。

高級ブランドの認証を行うAI関連技術企業のエントルピー(Entrupy)でCEOを務めるヴィデュース・スリニヴァサン氏は次のように指摘する。「偽ブランド品の市場規模は世界で9000億ドル(約99兆円)近くにもなる。ブランドの希釈化だけでなく、犯罪組織の資金源や児童労働、人の安全に対するリスクなどにもつながっている」。

Amazonは偽ブランド品の問題を公に認めており、その対処も行うと表明している。だが、実際にはほとんど対策を取っておらず、偽ブランド品の販売で利益をあげ続けている。いまやAmazonは、ワシントン・ポスト(The Washington Post)から「偽ブランド品の蚤の市(flea market of fakes)」と表現され、トランプ政権はAmazonの偽ブランド品に断固とした対処を行う計画まで発表している。

それでも、ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)の昨年の記事によれば、高級品の安価なコピーを大量に売りさばくことでAmazonのトラフィックは増加しているという。デジタル広告で収益の大半をあげるAmazonにとって、トラフィックは重要な指標だ。

「取り組みは全然足りてない」

「消費者の動向は多くの要因に左右されるが、なかでも価格は大きな影響力を持つ」と、ブランド保護のソフトウェアを提供するインコプロ(Incopro)で上級法律顧問を務めるマイケル・スウィーニー氏は語る。「たとえば高級ブランドの時計と似た商品があるとする。ロゴやマークなど、何もかも同じでたったの120ドル(1万3000円)だったら、おそらく買う消費者も出てくるだろう」。

Amazonは提携ブランドが商品を追跡するためのプログラム、ブランドレジストリー(Brand Registry)を導入。このプログラムに参加したブランドの商品について、プロジェクト・ゼロ(Project Zero)が自動的にマーケットプレイスをスキャンする仕組みだ。だが、このプログラムも懸念の払拭には、ほとんどつながっていない。スウィーニー氏はネッタポルテ(Net-a-Porter)などの高級ブランドをクライアントとして偽ブランド品の問題解決に努めてきたが、これまでAmazonの取り組みに満足しているブランドは1社たりともなかったという。

「Amazonはさまざまな取り組みを発表してきた。確かにニュースの見出しにもなったし、良いPRにはなっている」と、同氏は語る。「だが、高級ブランドからすればまったく十分ではない。高級ブランドは知的財産の保護に莫大な投資を行っている。この知的財産にこそ高級ブランドの価値があるのだが、Amazonの対処は不十分だ。ナイキ(Nike)をはじめ、Amazonからなるべく距離を置こうとしているブランドもいる。高級ブランドでないにも関わらずだ」。

対策を根本から見直すべき

Amazonが高級ブランドの参加を望むのであれば、偽ブランド品への対策を根本から見直す必要があるだろう。そうでなければ、同社の偽ブランド品への関与は、「不本意な関与」や「意図しない関与」にとどまらず、「積極的な関与」と見なされるリスクもある。

「Amazonはブランドのために意味のある対策はできていない。もはや何もしていないに等しい」と、スウィーニー氏は語る。「実際にデータに基づく数字として結果が表れない限り、どの高級ブランドもAmazonには絶対に近づこうとしないだろう」。

DANNY PARISI(原文 / 訳:SI Japan)