画一的なソーシャルメディアアプローチの時代は終わったようだ。ソーシャルメディアの使い方が変化しており、ブランドは広範なキャンペーンをやめて、個々のプラットフォームに合わせたコンテンツをつくる必要に迫られていると広告主は口をそろえる。
画一的なソーシャルメディアアプローチの時代は終わったようだ。ソーシャルメディアの使い方が変化しており、ブランドは広範なキャンペーンをやめて、個々のプラットフォームに合わせたコンテンツをつくる必要に迫られていると広告主は口をそろえる。
デジタルエージェンシー、グロー(Grow)の戦略担当ディレクター、カレン・パイパー氏は「ソーシャルだから、ソーシャルと呼ばれているから、どれも同じだと考えられているが、決してどれも同じではない」と話す。「この10年あるいは15年、私たちはこのような間違った認識を持ち続けてきた。デジタルのおかげで、我々はすべての人にリーチできると勘違いしていた」。
広告主によれば、ソーシャルメディアの競争が激しくなるにつれて、微妙な差異が際立ってきたという。ユーザーの注目とメディア支出を巡る競争が激化した結果、プラットフォームはユーザーと広告主に対し、より個別化した製品機能を提供するようになった。しかも、デジタル時代に突入してから、人々は広告を見せられることを嫌がるようになっている。つまり、広告主が望み通りのオーディエンスにリーチするには、それぞれのプラットフォームに、クリエイティブをよりシームレスに適合させなければならないということだ。
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「ブランドとそのメッセージだけでなく、(顧客が)広告を体験するプラットフォームに焦点を合わせなければならない」とパイパー氏は説明する。
「人々は無理強いを望んでいない」
ソーシャルエージェンシー、モディフライ(Modifly)の有料メディア責任者であるブランドン・ビアンカラニ氏がいうように、プラットフォーム固有の広告体験が必要だ。つまり、ユーザーは広告にソーシャルメディア体験の控えめな一部であることを求めており、広告主は各プラットフォームでどのように広告を表示するかをもっと意識する必要があるということだ。
「インターネットマーケティングが始まったときから、そのような要求はあった。人々は無理強いされることを望んでいない」とビアンカラニ氏は話す。「むしろユーザー生成コンテンツ(UGC)のスニペット、製品の価値を面白く伝える動画、関連するトレンドの活用などが成功を収めている」。
ソーシャルメディアは多くの広告主にとって、広告を嫌がる世代の消費者に真正面からアプローチできる主要なプラットフォームだ。ビアンカラニ氏によれば、ブランドはこれまで、一度セットしたら終わりのアプローチを取ってきた。ソーシャルメディアビジネスマネージャーを任命し、さまざまなプラットフォームに広告を出すだけだ。しかし、人々のソーシャルメディア習慣は変化しており、今後はもっときめ細かい手法が必要になるだろう。だからこそ、インフルエンサーマーケティングが流行しているのだとビアンカラニ氏は言い添える。
「現在、これらのプラットフォームにはさまざまなビジネスインテグレーション機能があるが、多くのブランドがフル活用していないように感じる」とビアンカラニ氏は話す。「具体的にいうと、彼らはビジネスマネージャーを任命し、広告掲載を始めたいだけだ。これらのプラットフォームは今、企業が文字通りオーガニックに見せるためのインテグレーション機能を充実させている」。
ピンタレストやTikTokは共鳴できる
ビアンカラニ氏によれば、ピンタレスト(Pinterest)やTikTokはそれをとてもうまくやっているという。TikTokユーザーはプラットフォーム固有のリアルな広告クリエイティブに共鳴する可能性が高い。一方、コンバージョンを目的とした押しの強い動画はFacebookのオーディエンスに響くかもしれないとビアンカラニ氏は補足する。
アパレル企業ジムシャーク(Gymshark)でブランドマーケティング担当バイスプレジデントを務めるセナイ・アツベハ氏は「ピーナッツバターを塗るような(画一的な)アプローチではない」と話す。「すべてのコミュニティに同じ戦略でアプローチするのは無理だ」。
9年前に創業したジムシャークは現在、規模を拡大し、新たなオーディエンスにリーチしようとしている。アツベハ氏によれば、ソーシャルファーストの企業として、それぞれのインフルエンサーが選択したプラットフォームで本物のパートナーシップを構築しているという。
「そのコンテンツは、ほかのプラットフォームのものとは、まったく異なるものだ」とアツベハ氏は話す。「そのため、何がそのコンテンツの特徴なのか、何がそのアスリートや個人をその空間で特別な存在にしているかを理解することが重要だ」。
ステート・バッグス(STATE Bags)も状況は似ている。CMOのメーガン・ホルツハウアー氏によれば、多くのコンテンツクリエイターやインフルエンサーと連携し、広告クリエイティブがプラットフォーム固有のものになるよう心掛けているという。
ホルツハウアー氏はメール取材に対し、「このUGCスタイルのクリエイターコンテンツは一貫して、もっともパフォーマンスが高いクリエイティブのひとつだった。そのため、私たちはこの戦略を強化することにした」と語っている。
「考え抜くことが極めて重要だ」
クリエイティブデジタルエージェンシー、バーバリアン(Barbarian)のマネージングディレクターであるコートニー・ベリー氏によれば、世代の移り変わりとともに、消費者はより賢くなり、どこでどのようにブランドと関わるかについてのこだわりが強くなっているという。広告主はそうした変化に後押しされ、複数の要素を持つフルファネルマーケティング戦略の文脈でソーシャルメディア広告を考えることになるとベリー氏は予言する。
「キャンペーンの最初に、その複雑さやニュアンスについて考え抜くことが極めて重要だ」と、ベリー氏は語った。
KIMEKO MCCOY(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:長田真)