BRANDS IN CULTURE

eスポーツ イベント、「主催者」を志向するブランドたち:「名前を付けるだけなら簡単」

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eスポーツの世界では、ゲームイベントのスポンサーより主催者を志向する広告主がいる。

バドワイザー(Budweiser)やウェンディーズ(Wendy’s)など、金離れのいいスポンサーの役割に満足できない広告主はますます増えているが、今度はファッション小売のホリスター(Hollister)が名乗りを上げた。広告嫌いで知られるゲームオーディエンスに対し、広告を垂れ流すだけの冷めた企業スポンサーという印象を避けるべく、人気タイトルのミニイベントの主催に取り組む。

トーナメント開催の狙いは?

ホリスターは1カ月に及ぶフォートナイト(Fortnite)のトーナメントを開催中である。トリプルクリックス(Tripleclix)というエージェンシーと提携して企画されたこのトーナメントは、ゲーマー向けファッションの新作プロモーションが狙いだ。新作コレクションにはグラフィックTシャツ、ショートパンツ、ラウンジウェア、ウインドブレーカー、ソックスなどが含まれ、ホリスターの世界各地の店舗やオンラインで購入できる。

トーナメントでは参加者がペアを組み、ホリスターのギフトカード、フォートナイトのゲーム内通貨V-Bucks、新作コレクションからの名入りのゲーミングフーディーなど、さまざまな賞品の獲得に向けて競う。

ホリスターはアプリでトーナメントを運営する。プレイヤーはアプリでチームを編成し、賞品をかけて戦う。プラットフォームはゲーマー用のモバイルアプリ、Mission Control(ミッションコントロール)で、参加者はこのアプリでチームメイトと通信したり、トーナメントでのランキングを確認したりすることができる。

ホリスターのブランドマーケティング戦略ディレクターであるジェイシー・スクーラー氏は「(トーナメントに)ブランドの名前を付けるだけなら簡単だ。あとはなすがままにして、ペイドメディアで盛り上げていけばいい」と語る。「だが、何か違うことがやりたかった。これは自分が1位でないと『勝った』ことにならない類いのアクティベーションではない。自分たちがすでに楽しんでいることをやって、ゲームで1位であっても最下位であっても、賞品を獲得するチャンスをもらえるものだ」。

プレイヤーにも観客にもリーチできる

フォートナイトはいろいろな面で、ハードコアゲーマーだけでなく、幅広いオーディエンスにカジュアルなゲームの楽しみを掘り起こしているタイトルだ。実際、フォートナイトは友人と一緒に遊んだり、自分だけのマップを作ったりとさまざまな楽しみ方ができるため、一般的なゲームより多種多様なプレイヤーが集まる。リアルタイムで最大100人ものプレイヤーが参加できることからほとんどのゲームよりライブ感が高く、それがゲーム観戦者の多さにもつながっている。広告主にとってはめったにない環境だ。うまくやればプレイヤーにも観客にもリーチできるというのは、ほかのゲームではあまりない。

スクーラー氏は「フォートナイトは最大規模の、もっともアクセスしやすいゲームのひとつで、当社がターゲットとするZ世代の人気トップ5に入る」と述べる。「これは、当社にとって理にかなった方法でフォートナイトのようなブランドと提携し、eスポーツに進出する初めての試みだ」。

キャンペーンがまだ続行中ということで、ホリスターから統計情報の提供は得られなかった。それでも、最初に見られる兆候からはファンの評判は良さそうだとスクーラー氏は話す。今回のトーナメントを巡ってコミュニティができたこともあり、当然ながら次のアイデアもすでに出てきている。

トーナメントへの参加を促すためにかなりの労力が必要だったため、今回のキャンペーンが単発で終わる可能性は低い。主催イベントに熱中するコミュニティがアプリ上に形成された今、ホリスターはそれを中心に何かできないかを検討している。

計測環境の整備も要因のひとつ

ゲーム専門アドテク業者アドミックス(Admix)のCEO、サミュエル・ヒューバー氏は「これまでゲームを利用したキャンペーンは、特製のフォーマットが必要であったり、ターゲットが限られたり、ブランドにとって適切かという問題もある上に計測もできず、実践が難しかった」と語る。

「状況は急速に変化している。いくつかの革新的なイノベーターが、ゲームを拡張性と収益性の高いメディアチャンネルにしようと、既存のDSPからのプログラマティック広告の表示、ブランドセーフティ用の分類、第三者による計測などのインフラに取り組んでいる」。

ゲーム関連のブランド主催イベントは、特にゲーマーの世界に深い関わりのない広告主のあいだで、一般的な広がりを見せている。バドワイザーが有するブランドであるバドライト(Bud Light)も、2020年9月にTwitch(ツイッチ)のトップストリーマーやトップパーソナリティが一連のゲームで互いに競い合う、「バトル・オブ・ザ・ベスト」トーナメントを開催している。

[原文:‘It’s easy to put your name on something’: Hollister on why owning, not sponsoring esports events is working for its brand

SEB JOSEPH(翻訳:SI Japan、編集:分島 翔平)