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「これはニュータイプの成長だ。一部企業は準備もできていない」: TikTok の中小企業担当者が語る、成功の秘訣

この3年間、TikTokは米国の小売業界に旋風を巻き起こしている。

TikTokはその短い歴史のなかで、買い物客が商品を発見する方法を様変わりさせた。TikTokの「おすすめ(For You)」ページは動画のエンゲージメントを重視しており、フォロワー数をあまり重視していない。つまり、たとえ無名の企業でも、目を引く動画を制作すれば、売上が急増する可能性があるということだ。

オーシャン・スプレー(Ocean Spray)からジ・オーディナリー(The Ordinary)まで、TikTokには特定の商品を口コミで広める力がある。そのため、大手ブランドが関心を寄せており、最近ではAmazonもその恩恵を受けようとしている。しかし、TikTokの商品発見モデルには独特の課題がある。TikTokがつくり出す予想外の繁忙期に中小企業がどう備えるかなどだ。

米DIGIDAYの姉妹サイトであるモダンリテール(Modern Retail)は、TikTokで中小企業向けの業務責任者を務めるベッカ・ソーヤー氏に取材を申し込み、TikTokがどのように中小企業に売り込んでいるかについて話を聞いた。2020年5月からTikTokで働くソーヤー氏はニールセン(Nielsen)と提携し、高度にターゲティングされた広告機会を提供するなど、TikTokのサービスを実業界に浸透させる取り組みを主導している。なお、読みやすさを考慮し、以下のインタビューには若干の編集を加えている。

──TikTokのアカウントをつくる価値があるかどうか迷っている企業には何を伝えているのか? 具体的な売り込み方法は?

現在、TikTokの月間アクティブユーザー数は1億人を超えている。ユーザーとコンテンツに多様性があるため、あらゆる種類、規模の企業が参加、活用できる素晴らしいコミュニティが生まれている。

TikTokはまったく異なるプラットフォームだと我々は考えており、企業も同様の認識を持っている。(TikTokは)企業がこれまでと違う方法で発見される機会を提供しており、企業は動画が口コミで広がる機会を得ることになる。

ビジネスの内容やプラットフォームの利用期間にかかわらず、コミュニティやトレンドを理解している企業が成功、発見、口コミを手に入れ、それをきっかけに多くの企業が飛躍していると思う。

──中小企業がTikTokをもっとも効果的に利用するための推奨事項は?

ユーザーのように関わることが一番の推奨事項だ。具体的には、ブランドとして登場し、会話に加わり、コミュニティを理解し、本当の意味でコミュニティが会話の主役になる機会を与えることだ。

「別のプラットフォームでしていることをここに移植する」のではなく、本物の存在、リアルな存在として、ユーザーが何を好んでいるか、何と関わっているかを理解し、反復によって成功を見いだす。それがこのプラットフォームで成功を収めている企業のやり方だと思う。

私が気に入っている中小企業の話に、テキサス州オースティンの女性の話がある。養蜂家の女性で、テキサス・ビーワークス(Texas Beeworks)という会社を営んでいる。彼女の動画は、養蜂家として日々行っていることをただ紹介するというものだ。文字通り、素手で巣箱を取り出し、女王バチを見つけて運ぶ。オースティンでは知られている養蜂家だったが、今や全米で高く評価されている養蜂家だ。

彼女の物語やコンテンツにユーザーが集まるのは、それがリアルだからだ。高価な機材もなければ、マーケティング用の演出も行っていない。まさに彼女のリアルな日常だ。多くの企業がそこに行き着いているように思う。

──どのようなカテゴリーの企業がTikTokの中心になると考えているのか? 個人的には、美容をはじめとする特定業界の企業がTikTokに集中しているという印象を持っている。実際、TikTokをもっとも採用している業界はあるのか?

具体的なデータを教えることはできないが、もちろん、あなたが感じているように、先頭を走っている業界はいくつかある。つまり、コミュニティに素早く入り込んでいる業界だ。

たとえば、オモロラ・ジュエリー(Omolola Jewelry)という宝飾品メーカーは2020年、売上が初めて6桁(10万ドル[約1000万円])に到達した。TikTokに参入する前の年から1000%以上も成長している。また、ゴールド・ラッシュ・ビニル(Gold Rush Vinyl)というB2Bのレコードプレス会社は、TikTokへの参入がB2Cビジネスの展開につながった。実際、TikTokは彼らのウェブサイトを何度も停止させた。TikTokから大量のトラフィックが流れ込んだためだ。

──TikTokに関する報道の多くは、TikTokをきっかけに、商品が口コミで広まったという内容だと思う。しかし、私が知りたいのは、口コミの余波について企業にどのような話をしているかだ。商品が爆発的に売れた後、企業はどうすればより安定した成長を維持できるのか? それとも、TikTokの性質上、注目度と売上に浮き沈みがあるのは当然なのか?

我々が目にしている最大の課題のひとつは、これは新しいタイプの成長で、一部の企業は準備さえできていないということだ。ゴールド・ラッシュ・ビニルの例を挙げると、彼らはレコードを再利用して花束をつくり、消費者向けの新商品として売り出したのだが、想像を超える需要があり、突然、ウェブサイトが停止するようになった。

@goldrushvinyl

Vinyl Record Bouquets are officially back! Preorder yours for the holidays! Link in bio. ##recordcollection ##vinylrecord ##vinylart ##harrystyles ##Austin

♬ Sunflower, Vol. 6 – Harry Styles

多くの企業は突然、どうすれば需要に対応できるのかという状況に陥り、顧客サービスや在庫の観点からどのように管理すべきかを考えることになると思う。企業はそのようなことをいくつも経験し、慣れていくのだと思う。

そして、自らがつくり出した口コミから、獲得した顧客をつなぎ止めるための戦略を見つけ出す。そこまで行けば、長期的な関係を構築できる素晴らしいオーディエンスを手に入れている。多くのブランドにとって、これは新しいタイプの関係構築だ。すべての企業が適応するために学んでいることだと思う。

──在庫という言葉が出てきたが、突然予想外の口コミが発生した場合、企業は在庫に対してどのようなアプローチを取るべきか? たとえば、Amazonなど、在庫切れに罰則を科しているプラットフォームもあるようだ。企業にはそうしたリスクについてどのように伝えているのか?

顧客との率直なコミュニケーション、期待値の設定に尽きると思う。透明性を確保し、再入荷に少し時間がかかることや出荷に遅れが出る可能性があることを顧客に理解してもらうことが重要だ。

──TikTokでの成功はどれくらい安定しているのか? ひとつの商品が大流行したあと、注目度が下がってしまうケースはないのか? その場合、どうすれば乗り切ることができるのか?

私自身はあまり詳しくないが、ほとんどのケースでは、ビジネスは拡大を続けている。

──インドネシア英国のTikTokでは、アプリ内購入の機能がテストされているようだが、中小企業への売り込みにおいて、いずれTikTokで直接購入できるようになるというアイデアはどれくらい盛り込まれているのか?

我々が重視しているのは、中小企業が我々のプラットフォームで容易にビジネスできるようにすること、成功の助けになるツールや製品を用意することだ。ビジネスを行ううえで、我々のプラットフォームがアクセスしやすいか、使いやすいかを考える際、それらすべてが重要な検討事項になる。

──近い将来、アプリ内購入はより多くの企業に広がると思うか?

それについてはコメントできない。製品開発の仕事をしているわけではないためだ。しかし、もちろん今後も注視し続けるつもりだ。周知の通り、ここTikTokでは記録的なペースでイノベーションが起きている。

[原文:‘It’s a new type of growth that some companies haven’t even been prepared for’: TikTok’s Becca Sawyer on how to engage small businesses

MICHAEL WATERS(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:長田真)