競技ゲーミングのキャンペーンは現在、ケロッグ(Kellogg’s)のほとんどのブランド向けメディアプランで、テストではなく重要な要素になっている。 ケロッグは、より多くの広告費をeスポーツにシフト。所得の高い […]
競技ゲーミングのキャンペーンは現在、ケロッグ(Kellogg’s)のほとんどのブランド向けメディアプランで、テストではなく重要な要素になっている。
ケロッグは、より多くの広告費をeスポーツにシフト。所得の高い21~34歳の若者層へのほぼ前例のないアクセスという、大半の伝統的スポーツがもたらせないものをeスポーツがもたらすからだ。2年前にeスポーツの流行に乗って以来、ケロッグは着実に食い込み、トーナメントでの実験的なアクティベーションからトーナメントの主要スポンサーへと移行してきた。ケロッグにとって、eスポーツは、実験的な投資から継続的な投資の対象に変わってきたと、同社の北欧法人のスナック担当マーケティングマネージャーであるドミニク・シャハウプト氏は語る。
変化してきた出資方法
そうした投資の規模は、ブランドやターゲットとなるオーディエンス、足場となる市場に応じて柔軟に変化する。シャハウプト氏はそう述べ、eスポーツがメディアプランの柱になったため、eスポーツ関連への出資方法を変えつつあることを明らかにした。以前は、ケロッグのような広告主は、スポンサーシップ予算で、競技ゲーミングの世界への早期進出に資金を出した。だが、そうしたアクティベーションを機能させるための費用が大きくなり、それに対する予算も膨れあがって、デジタルやもっと幅広いマーケティング予算に目を向けるようになった。
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「eスポーツは、数あるコミュニケーション手段の一要素であり、主な出資対象はひとつではない」と、シャハウプト氏はいう。
おそらく、それがもっとも明白なケロッグのブランドはプリングルスだろう。
プリングルスは、主催者のライアットゲームズ(Riot Games)との契約で、今夏開催されるリーグ・オブ・レジェンド・ヨーロピアン・チャンピオンシップ(League of Legends European Championships)のスポンサーになった。このパートナーシップが実現する7カ月前には、ケロッグは、独自のトーナメントを運営するゲームコミュニティ、Nサード・ストリート・ゲーマーズ(N3rd Street Gamers)と契約を結んでいる。
同時視聴は30万人超
このようなマーケティングでのパートナーシップは、平均すると年に約200万~400万ドル(約2.1億〜4.2億円)規模になる傾向があり、複数年契約で行われることが多いと、スポーツメディア企業ミニッツメディア(Minute Media)のプレジデント、 リッチ・ルートマン氏は指摘する。一般に、ケロッグとライアットゲームズのあいだで結ばれたような契約は、たいていの場合、放送局の広告枠がある標準的なスポーツリーグに似たマーケティングの権利や、イベントマーケティング資産、自社の事業にとってきわめて重要なバーティカルでのマーケティングパートナーシップの権利からなるという。とはいえ、そうした資産すべてがコマーシャル料金にどのような形で見合うかは、売り手次第だ。eスポーツ団体間で成熟度にこうした面の差があるため、スポンサーシップに関する費用や資産は大きく異なる場合があり、市場にはこれまで、費用を決めるために成熟する時間がなかった。
たとえば、ケロッグとライアットゲームズとの契約は、ライアットゲームズが販売する数段階のパッケージのひとつに基づく。各パッケージは、メディアでの露出か実験的アクティベーションのどちらかに偏っており、そのことは、利用できるさまざまな資産のメディアインプレッションとレートカード(標準料金表)に裏付けられている。各パッケージ間にそうした幅を持たせているので、広告主の要求に応じて特別なスポンサーシップを用意できると、ライアットゲームズの事業開発・スポンサーシップ担当責任者であるアルバン・デシュロッテ氏は語る。
プリングルスのロゴは、プレイヤーがゲームを始めるとき、CTA(行動喚起)とともにトーナメントのストリームに表示される。ライアットゲームズによると、そうしたストリーム(および、それに続くプリングルスのブランド)は、YouTubeとTwitch(ツイッチ)の両方で配信され、リーグ・オブ・レジェンドの試合が行われる通常のシーズンには、1日に平均160万人に視聴される。毎週同時に試合を視聴する人々の数は、2018年と比べて40%増えて、30万人超に達したという。
「ゲームやeスポーツは、我々がターゲットにしている中心的な層であり、いまは、競技ゲーミングのコミュニティに入り込むべきときだ」とシャハウプト氏は語る。
今後は売上測定も視野に
メディアへの露出だけでなく、ケロッグはゲーム内のアクティベーションも検討している。ヨーロッパ中にある大量のプリングルスの缶には、ゲーム中に使用するレアなキャラクターを勝ち取るための抽選に参加するのに必要な固有のコードが記載される。人目を引くことを狙ったように感じられる同様のアクティベーションと違って、人々がコードを利用して、リタイアしたキャラクター取り返せるようにするという決定によって、広告嫌いで有名なゲーム分野のオーディエンスの目を引けることを、ケロッグは願っている。
「スポンサーシップとは切り離して売上高を測定したいが、我々と消費者のあいだに配信パートナーがいるので、それができない」と、シャハウプト氏は語る。「いまのところ業界は、メディアとしての価値という観点からeスポーツでの測定に目を向けている。我々のブランドに対するコミュニティの反応と、コードの引き換え率にも注目することによって、スポンサーシップで構築している分野のひとつだ」。
Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)
Image courtesy of Riot Games.