BMW は eスポーツ に資金をつぎ込んでいる:「主要なマーケティングを担うことになるだろう」

メジャーなスポーツが保留状態のなか、BMWはeスポーツへの支出を増やしている。

eスポーツ・トーナメントのスポンサーとしてデビューしてから3年が経過したいま、BMWは5つのもっとも人気があるゲーミング団体に対するスポンサーとして業界を牽引する存在となった。英国のファナティック(Fnatic)、米国のクラウド9(Cloud9)、中国のファンプラス・フェニックス(FunPlus Phoenix)、韓国のT1、ドイツのG2 Eスポーツが5つの団体だ。eスポーツに対する明らかな接点を持っていない広告主がこの規模の契約を交わすのは珍しい。BMWのような、eスポーツ関連ではないものの、関係性を着実に構築してきた広告主たちにとっては、複数のマーケットで同時に信頼を勝ち取るための方法として複数のスポンサーシップ契約が存在している。

「現時点で我々に興味を持っていないZ世代にリーチするための方法がeスポーツだ。しかし、彼らも自動車を購入する準備が整う時期が来るだろう。そのときに我々のことが頭に浮かんでもらう必要がある」と、BMWブランド体験部門ショー・イベント責任者であるステファン・ポニクヴァ氏は言う。

「戦略的なコミュニケーションツール」

しかし、eスポーツをフォローする若い子どもたちは将来、テレビを見る時間を増やしたりはしないだろうと、ポニクヴァ氏は言う。その理由だけでも、eスポーツに入ってくるマーケティング支出は今後増えるはずだと、彼は付け加えた。モータースポーツとゴルフはBMWのスポーツマーケティング出費の大部分を占める2つの分野だが、eスポーツは最終的にはこの2つに匹敵する額になる可能性があると、ポニクヴァ氏は語った。

「一歩ずつ注意して進めているものの、長期的に見たときの我々のマーケティング戦略においてeスポーツは大きな支出を占めることになるだろう。eスポーツのことはスポンサーシップアクティベーションだとは考えていない。戦略的なコミュニケーションツールに近い」。

別の言い方をすれば、BMWがeスポーツにフォーカスを据えているこの予算は、より小規模になりがちなスポンサーシップではなくマーケティング予算から取られているわけだ。しかし現時点では、eスポーツに関しては従来の広告を購入するというよりは、コンテンツを作るのに、このマーケティング資金が使われるだろう。従来の広告では、eスポーツのオーディエンスたちは広告に対する嫌悪や敏感な反応を見せることで知られており、広告主たちもその怒りに触れてしまうリスクがある。コンテンツの場合は、より文脈に適したものとして見られると、ポニクヴァ氏は言う。

エンゲージメントは増加している

BMWのコンテンツは、チーム間のライバル関係を扱ったもので、Twitter、インスタグラム、Facebook、そしてTwitch(ツイッチ)上で#ユナイテッドインライバルリー(#UnitedInRivalry)のハッシュタグを使って流される。ライブストリーミングとゲーミングメディアが持つソーシャルの側面は、eスポーツにとってソーシャルネットワークが重要な要素となった理由だ。ポニクヴァ氏はBMWの成功は、チームのファンにそれがどれだけ上手く伝わるかで決まるだろうと考える。現状では5つのチームは合わせて810万人のフォロワーを、Twitter、YouTube、そしてインスタグラム上で抱えている。これはBMWが同プラットフォーム群で持つフォロワー数の11倍になる。

「KPIに関して我々は注視していく。我々が持っているチャンネルとチームが持っているチャンネルのソーシャルメディアリーチは我々がフォーカスする分野となるだろう。BMWとeスポーツのあいだでファンが重なる部分はそれほど大きくならないと、我々は考えている」と、ポニクヴァ氏は述べる。

このようなギャップはあるものの、今後1年のあいだでギャップが埋められると言えるほどのレベルまではここ数週間で到達したと、ポニクヴァ氏は考えている。リアルのスポーツが存在しないなか、他人がビデオゲームをプレイする様子を観戦するという考えを受け入れる自宅に滞在する消費者たちの数は増えている。と同時に、BMWの既存のパートナーシップとアクティベーションは、エンゲージメントの増加を見せているとのことだ。

「チームと契約したのは昨年だ。なので今回の契約とパンデミックのあいだに直接の相関関係は存在しない。社内で、そしてeスポーツのチームたちと、現状の変動しやすい状況のなかで、いつパートナーシップを発表するのが適切か話し合った。eスポーツが消費者の観点から成長していることからも、いまが正しい時期だと感じた」と、彼は語る。

ほかの広告主たちの考えていること

今後、数カ月において、ほかの広告主たちも同様の動きを見せるかはこれから分かるだろう。自宅で滞在せざるを得ない子供たちが他人のゲームを観戦することを受け入れるなか、eスポーツの視聴は高まってきている。しかし、広告支出はそうではない。広告予算は都市と同様にロックダウンを受けており、広告主たちはコストを抑制している。ニューズー(Newzoo)によると、パンデミック以前であれば、eスポーツはメディア権利とスポンサーシップから8億2240万ドル(約882億円)の収益を生み出す予測であった。これは今年のマーケット全体の11億ドル(約1179億円)の75%にあたる。

セブンリーグ(Seven League)のコンサルティングパートナーであるジョン・フォード氏は、「スポンサーシップの役割が進化するにつれて、eスポーツと関連して連想されること、その価値のみに対するブランドたちの満足度が下がってきている」と語った。

Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)