インフルエンサーがインスタグラムやほかのプラットフォームでシェアしているショッピングリンクは長いことサードパーティネットワークにとって大きな収益を意味していたが、ついにインスタグラムはその分け前を得ることにした。昨年から複数のインフルエンサーを選び、アプリ内の新たなアフィリエイトプログラムを試してもらっている。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
ファッションおよびビューティインフルエンサーのブレア・イーディ氏にとって、アフィリエイト・リンクは10年以上におよび彼女のビジネスの大部分を占めてきた。2011年にリワードスタイル(RewardStyle)を使い始めた初期のインフルエンサーのひとりであるイーディ氏は、最近はショップスタイル(ShopStyle)に依存している。
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イーディ氏のようなインフルエンサーがインスタグラムやほかのプラットフォームでシェアしているショッピングリンクは、長いことサードパーティネットワークにとって大きな収益を意味していた。10年以上を経たいま、ついにインスタグラムはその分け前を得ることにした。
インフルエンサーが自分のプロフィール内に独自のショップを作成
インスタグラムでは複数のインフルエンサーを選び、ホリデーシーズンにスタートしたアプリ内の新たなアフィリエイトプログラムを実際に試してもらっているが、イーディ氏(@blaireadiebee、フォロワー数170万人)もそのひとりである。2021年6月に初めて発表されたこの機能では、インフルエンサーは参加ブランドの製品リストを使用して自分のプロフィールにキュレーションしたショップを作成することができる。ユーザーが商品をクリックし、インスタグラムでチェックアウトすると、インフルエンサーはコミッションを受けとるという仕組み。インスタグラムの広報担当者によれば、セフォラ(Sephora)、シャーロット・ティルベリー(Charlotte Tilbury)、ベアミネラル(BareMinerals)、ZARA、ローラ・メルシエ(Laura Mercier)、リボルブ(Revolve)など、現在100以上のブランドや小売業者が参加している。
「過去10年間、インフルエンサーのスペースにはアフィリエイトが存在しており、プラットフォーム上でインフルエンサーに変化し続けてもらうためにも、インスタグラムが独自のプログラムを作成しようとしているのは理にかなっている」とイーディ氏は言う。
インスタグラムの試験運用に選ばれたほかのインフルエンサーには、ジーン・ワン氏(@jeanwang、フォロワー数68万4000人、ブレイク・ギフォード氏(@signedblake、フォロワー数16万2000人)、ウェンディ・グエン氏(@wendyslookbook、フォロワー数130万人)などがいる。試験運用では、各インフルエンサーがファッションやビューティ製品をフィーチャーしたホリデーコレクションを編集した。
この新しいアフィリエイトプログラムには、さらに多くのインフルエンサーが参加に興味を持っている。
「私のもとに多くの問い合わせがあり、『とてもクールだ。自分もコレクションを作成するにはどうしたらよいか? 』と聞かれた。だからインフルエンサーのコミュニティ内でかなりバズったのは間違いない」とイーディ氏は述べている。
eコマースの3倍のスピードで拡大するソーシャルコマース
一般的にインフルエンサーのアフィリエイト報酬は、業界関係者によると6〜20%であり、もっとも多いのは9~12%である。
今回のアフィリエイト・ショッピング機能は、2021年のドロップ機能の導入やショッパブルなライブストリームの拡大などを含む、インスタグラムが継続的に行っているソーシャルショッピングの展開における最新の動向である。
「ソーシャルコマースは、ソーシャル体験とeコマース取引を購入にいたるまでひとつの経路でシームレスに融合し、あらゆることを単一プラットフォーム上で行うことを可能にしているので、信じられないほど効果がある」と指摘するのは、プロフェッショナルサービス企業アクセンチュア(Accenture)のグローバルビューティを率いるオードリー・デプレター=モンタセル氏だ。
アクセンチュアによると、ソーシャルコマース業界は従来のeコマースの3倍のスピードで拡大し、2025年には1兆2000億ドル(約137兆円)に達すると予想されている。アクセンチュアによる2021年の調査では、ミレニアル世代の52%とZ世代の48%が、eコマースで買い物をするときよりもソーシャルコマースで買い物をするときのほうが、他のユーザーやインフルエンサーからインスピレーションを得ていると回答している。
インスタグラムには多くの潜在的な消費者が存在する
インスタグラムはショッピングを促進する上でとくに便利な存在になりそうだ。
「(このアフィリエイト機能を使った)私の最初の投稿では、ほとんど小売業者をZARAにフォーカスしてさまざまな外出用アイテムをいくつもタグ付けした。そしてわりとすぐに多くの売り上げを確認している。すばらしい」とイーディ氏は話す。いちばん人気のあったアイテムはZARAのキラキラしたトップスだった。彼女が紹介したほかのアイテムには、シャーロット・ティルベリーのマジッククリーム(Magic Cream)、ZARAやジ・イエス(The Yes)、リボルブのホリデーパーティや寒いシーズンのファッションアイテムコレクションなどがある。彼女は自分のウェブサイトでアフィリエイトリンクを共有するよりも、インスタグラムのほうが断然早く売れることに気づいた。
一方、ブレイク・ギフォード氏はビューティギフトガイドの作成からスタートした。彼女のショップは、ローラ・メルシエやベアミネラルといったブランドのほか、アーバンディケイ(Urban Decay)、トゥーフェイスド(Too Faced)、ドランクエレファント(Drunk Elephant)、フェンティスキン(Fenty Skin)などのアイテムを含む複数のセフォラのリストを中心に紹介している。
インフルエンサーたちはこの機能に大きな可能性を見出している。
「結局のところ、インスタグラムを見ている人はかなり多いし、とても多くの潜在的な消費者がいる」とイーディ氏は言う。「インスタグラムはインフルエンサー側の(そのプラットフォームの)活用の仕方や将来的な面を考慮し、持続的なプラットフォームを本当に構築しようとしている」。
[原文:Instagram influencers test out new in-app affiliate shops]
LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)