eコマースで成長をとげる、ウォルマートの舞台裏

ウォルマート(Walmart)が、これまでeコマースに行ってきた投資が実りつつある。

8月16日に行われた同社の業績報告によると、第2四半期における同社のアメリカ国内でのeコマースの収益は40%の伸びを記録し、前期で記録した33%の伸びを上回った。実店舗における改良以上に、同社のeコマースの成長を支えているのがウェブサイトとアプリ、そしてオンラインマーケットプレイスの改良だ。ウォルマートは、eコマースの収益は通年で40%の伸びを予測している。同社の今期の総収益は1280億3000万ドル(約14兆833億円)だった。

一線を画した戦略

だが、eコマースの重要性が増してもなお、ウォルマートは、オンラインのみの小売企業とは一線を引いている(Walmart eCommerce U.S. のCEO、マーク・ロア氏によると、Walmart.comで販売するブランドは増えつつある)。同社は実店舗のメリットを増やし、オンラインで商品を購入したカスタマーが実店舗で商品を受け取れるようにするほか、商品を自宅に届けるサービスも行っている。

ウォルマートは今年の終わりまでに「タワー」と呼ばれる機械を700台配備することを目指している。この「タワー」は、あらかじめ購入した商品をカスタマーが実店舗で自動で受け取れる機械だ。同社は雑貨類の配達だけでなく実店舗での受け取りサービスも構築しており、現在アメリカの1800の店舗でこうしたサービスを提供している。

ほかにも同社が設立したスタートアップインキュベーターのストアナンバーエイト(Store No 8)と、同社が買収したスペイシャランド(Spatialand)を通じて仮想現実の実験を行っている。オンラインでの存在感が増すばかりのウォルマートだが、CEOのダグ・マクミロン氏は業績報告のなかで投資家らに対して店舗内でのデジタル機能も充実させていることを説明した。

ウォルマートの強み

「同社にとっての差別化は、間違いなくオムニチャネルと店舗内受け取りだろう」と指摘するのは、フォレスター・リサーチ(Forrester Research)の主席アナリスト、サチャリタ・コダリ氏だ。同氏は「ウォルマートは競合他社と、そして何をすべきかを明確に認識している。同社はカスタマーが(オンライン購入者の)自宅に届けるシステムや、社員による宅配システムなどの実験的な試みを早い段階から行ってきた。結果は良い部分も悪い部分もあったが、Amazonすらやってこなかったようなユニークな挑戦をしてきたことは確かだ」と語る。

さらにコダリ氏は、オンラインで注文して配達を受け取るのと比べて、実店舗での受け取りは、カスタマーが自分でいつ受け取るか決められるというメリットがあると指摘する。

ウォルマートは、一般家庭を対象とする大手他社と同様、デジタルインターフェイスにおいて大きな投資を行っており、その内容も引けをとらない。ホーム・デポ(Home Depot)やロウズ(Lowe’s)、ウェイフェア(Wayfair)らもウェブサイトやアプリで拡張現実を用いた機能を充実させてきたなか、ウォルマートも第2四半期で三次元のバーチャルツアーの実装を発表した。マクミロン氏は、同サービスではカスタマーが好みに合わせて「部屋を購入」することもできるという。

新たなカスタマー層

ウォルマートはオンラインで商品を扱うマーケットプレイスを充実させており、Walmart.comには新たに1100のブランドが参入した。たとえばカトラリーや食器ブランドのツヴィリング J.A.ヘンケルス(Zwilling J. A. Henckels)、アウトドアブランドのサーマレスト(Therm-a-Rest)、サーフウェアなどを扱うアパレルのオニール(O’Neill)が参入している。

さらに2月に設立されたばかりのミレニアル世代を対象にしたホームブランドのオールズウェル(Allswell)をはじめ、オンライン販売専門ブランドからも参入が相次いでおり、新たなカスタマーの獲得につながっている。

「ボノボス(Bonobos)やジェットドットコム(Jet.com)等のブランドを獲得したことで、新たなカスタマー層が加わった。ウォルマートの従来のカスタマーとは異なる視点を持ったカスタマーだ」と語るのは、eコマースブランドのためのデータ分析企業ヤグアラ(Yaguara)のCEO、ジョナサン・スモーリー氏だ。

ブランドとの提携も

コダリ氏は、さまざまな商品を扱うマーケットプレイスの構築はAmazonによって業界標準となり、いまや必須だと指摘する。ウォルマートは、オンラインのマーケットプレイスを拡大させるために、ブランドとの提携を試みている。

マクミロン氏は、次のように語る。「当社が求めるレベルのeコマースのアソートメントに到達するためにはまだやるべきことがある。そのためにも、重要なブランドを当社のサイトに呼び込むための話し合いを進めているところだ」。

Suman Bhattacharyya(原文 / 訳:SI Japan)