創業10年を迎えたD2CブランドのMiss A(ミスエー)は、1ドル(約146円)の美容品をより多くの実店舗で販売する準備が整った。
化粧品、ネイル用品、つけまつげなどを低価格で販売しているMiss Aは現在、南西部に26の実店舗を保有している。2025年までには店舗数を100店舗に増やす計画だ。また、2025年までの毎年、ジョージア州やフロリダ州などの市場に20〜30店舗をオープンすることも計画している。
自己資本による運営
同社は2013年の創設以来、完全に自己資本で運営してきたため、経営陣は、実店舗に大量の投資を行うことに当初は慎重だった。しかし、2016年に最初の実店舗を開設したとき、その結果は期待を上回った。現在では実店舗が総売上の50%強を占め、残りの半分をeコマースが占めている。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
創業10年を迎えたD2CブランドのMiss A(ミスエー)は、1ドル(約146円)の美容品をより多くの実店舗で販売する準備が整った。
化粧品、ネイル用品、つけまつげなどを低価格で販売しているMiss Aは現在、南西部に26の実店舗を保有している。2025年までには店舗数を100店舗に増やす計画だ。また、2025年までの毎年、ジョージア州やフロリダ州などの市場に20〜30店舗をオープンすることも計画している。
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同社は2013年の創設以来、完全に自己資本で運営してきたため、経営陣は、実店舗に大量の投資を行うことに当初は慎重だった。しかし、2016年に最初の実店舗を開設したとき、その結果は期待を上回った。現在では実店舗が総売上の50%強を占め、残りの半分をeコマースが占めている。
自己資本による運営
Miss Aの親会社バイクブランズインコーポレーテッド(Baik Brands, Inc.)の創業者兼CMOのジーン・バイク氏は、「もちろん、外部からの投資がないため、ゆっくりと進めなければならない。事業で生み出した資金はすべて新店舗の開設やマーケティングに再投資している」と語る。
Miss Aの商品の多くは、1ドル(約146円)から1.88ドル(約274円)だ。ブラシの10本セットや、6本パックのつけまつげなど、価格が高めの商品は、それぞれ10.55ドル(約1540円)と7.18ドル(約1050円)だ。合計1万SKU(在庫管理単位)を持ち、そのほとんどは同社のAOA(エーオーエー)が保有するブランドのものだ。
実店舗の拡大計画
Miss Aは2017年、毎年3店舗程度の出店を目標とした小売拡大計画の設定を開始した。最初は、ダラス、ヒューストン、サンアントニオ、オースティンなどテキサス州の各都市に実店舗を開設した。パンデミックによりシャットダウンが起きたため、店舗の拡大は中断を余儀なくされたが、2021年には売上が急速にCovid以前の水準に回復した。実店舗の売上は平均して前年比で10%から20%増加し、eコマースはCovid前で約5%増加した。
現在は、テキサス州を囲む4つの州に店舗を持ち、ネバダ州やアリゾナ州などの物流面で有益な市場に参入することを検討している。バイク氏によると、大量の商品を販売するため、多数の商品を各店舗まで輸送する必要がある。同社はトラック輸送ルートに近い都市に進出する機会をうかがっている。
Miss Aは現在、価格の低さから店舗を通りかかった人々が衝動買いをする可能性に期待して、ショッピングモールにも出店している。将来的には、ターゲット(Target)やホームグッズ(Homegoods)などの店舗が置かれているようなパワーセンターへの出店をめざしている。Miss Aの店舗の平均面積は約3000平方フィート(約279平方メートル)だ。
実店舗がオンラインストアにも好影響
実店舗を保有することで、eコマースサイトへのトラフィックも促進している。「店舗を開設して以来、eコマースとオフラインとのあいだにとても強い相乗効果が見られるようになった。オクラホマ州の顧客はそれほどMiss Aの商品を買い求めていなかった。しかし、オクラホマに店舗を開設してから、オクラホマ州からウェブサイトにアクセスする人が増えてきた」と、バイク氏は述べている。
コンサルティング会社レコンリテール(Rekon Retail)の創設者であるレベッカ・コンドラット氏は、バリュー重視型の小売業者は実店舗で利益を上げるためには、より多くの数量を売る必要があると語る。オンラインの商品が高価格であることから、実店舗をオープンすることは、売上を伸ばすのにより効果的な方法だと同氏は述べる。
しかし、実店舗のプレゼンスの拡大を試みて失敗したブランドも多いため、注意が必要だとも同氏は述べる。たとえば、キャスパー(Casper)は200店舗を開設する計画を2018年に発表したが、その結果として事業の収益性は得られなかった。スコッチアンドソーダ(Scotch & Soda)は今年、業績不振を理由に米国の多くの店舗を閉店した。その中には、開店して1年未満の店舗もあった。
「ブランドが100店舗を出店しても、その100店舗すべてが最初の5店舗と同じ業績をあげられるわけではない。これはよく見られる勘違いだ」と、同氏は述べている。
「うまく機能していると確信している」
Miss Aのバイク氏は、自社の戦略的な方向性について楽観的だ。Miss Aは店舗に加えて、スキンケアやライフスタイル商品など新しいカテゴリーにも進出してきた。
「10年間続けてきて、Miss Aの事業モデルがうまく機能していると確信している。Miss Aはみんなにとって親しみやすく、商品は人々に愛されている。そのことが売上に表れている」と、バイク氏は述べている。
[原文:Inside Miss A’s plan to expand its retail footprint]
Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Miss A