SNSでの新製品発表、ケロッグが見つけた「黄金の方程式」

新製品の発売は、どの消費財ブランドにとってもハイリスクだ。とりわけソーシャルメディアにおける新製品発表では、数カ月にわたる研究開発が、たったひとつの宣伝投稿の失敗で台無しになることもある。しかし、それが不可能というわけではない。

ケロッグ(Kellogg’s)は、ソーシャルプラットフォームにおける消費者のフィードバックを製品のロードマップとマーケティングに活用するための「黄金の方程式」を見つけたようだ。7年前、Twitterにおけるの消費者フィードバックは、新商品発売にあたっての口コミマーケティングだけに使われていた。いまでは、この時期のツイートはプロモーテッドポストとして利用されている。

今年6月上旬、ココポップス(Coco Pops)のホワイトチョコ味のリリースにあたり、ケロッグはある決断を下した。ターゲット層に商品を届けるのに、何千人ものウェブサイトビジターや、全国新聞の記者とのコネやメールアドレスのリストは必要ない。必要なのはただひとつ、2016年のとあるツイートだ。

過去投稿を掘り起こし宣伝

人気のシリアルのホワイトチョコ味を希望する、いち消費者のツイートに再び注目を集めるため、ケロッグはソーシャル予算の一部を割いて、Twitterフィード上に頻繁に再登場するようにした。

これは新発売を匂わせる最初の一手だった。この日以降、ケロッグはより一般的なマーケティング手法で新製品のローンチに注目を集めた。インフルエンサー、広告、そしてPRだ。「我々は消費者にこんな風に噂話をしてほしかった。『どうしてケロッグが2016年のツイートを掘り起こして、宣伝してるんだろう? ココポップスのホワイトチョコ味が本当に出るってこと?』」と、ケロッグのデジタルモデレーターを務める、アマンジット・ヒーア氏はいう。

先述のプロモーテッドツイートと同じ日に、ヒーア氏はTwitter上でココポップスのホワイトチョコ味を話題にしているほかのツイートもいくつかリツイートした。古いものでは2012年のツイートまであった。大規模なリツイート作戦のおかげで、本当に発売するのか質問する人も出てきたと、ヒーア氏は話す。

リーチが唯一の目的ではない

6月14日にプロモーテッドツイートが投稿されて以来、Twitter上でのリツイート、いいね、リプライといったリアクションの数は1万6000を超えたと、ヒーア氏はいう。インスタグラムでも同様の投稿が行われ、メディアのサポートはなかったにもかかわらず、シェア、いいね、コメントの合計は2900を超えた。通常、ケロッグのインスタグラム投稿へのインタラクション数は200前後だ。このポストは投稿後の5日間でDMでも3300回以上共有されたと、ヒーア氏は語る。

新製品が話題をさらったことで、ケロッグの他の製品にも予期せぬ波及効果が及んだ。対象はライスクリスピーズ(Rice Krispies)だ。ココポップスのホワイトチョコ味は、実は見た目のよく似たライスクリスピーズを詰め替えたものではないかと、人々が話題にしたのだ。この論争は、一時はライスクリスピーズがTwitterトレンドに上がるほどヒートアップしたと、ヒーア氏はいう。

多くの広告主の例に漏れず、ケロッグも提携するインフルエンサーのタイプを再検討している最中だ。いまでは、同社のインフルエンサーキャンペーンは必ずしもSNSのトップスターからはじまるわけではない。リーチが唯一の目的ではなくなったからだ。「今回の発売を予告するにあたって、我々はタイプの違うインフルエンサーを起用した。典型的なインスタグラマーや、何万人もフォロワーのいる人物ではない」と、ヒーア氏は話す。

カールスバーグやKFCも実践

ユーザーのツイートをプロモーテッドツイートとして利用しているのはケロッグだけではない。カールスバーグ(Carlsberg)は今年、自社のビールを酷評する投稿をプロモーテッドツイートにした。狙いは従来のブランドの認識を破壊することだ。これに影響を与えたのが、昨年11月のケンタッキーフライドチキンのキャンペーンで、同社もKFCのポテトをこき下ろす投稿をプロモーテッドツイートにすることで、リニューアルを宣伝した。

「ソーシャルメディアの情報は、ブランドの商品開発にはまだ十分に活用されていない」と、ソーシャルエージェンシーのウィー・アー・ソーシャル(We Are Social)で戦略ディレクターを務める、ジェニー・バース氏はいう。「もっとも効果的な新製品ローンチは、商品開発の初期段階からインフルエンサーやその周辺コミュニティを引き込んでいる」。

ソーシャルメディアで新製品の発売を発表するのは、6年前の方がずっと簡単だった。現在のソーシャルメディアは以前よりはるかに雑然としていて、オーガニック主体のキャンペーンを展開することは、もはや考えられない。実際、消費財ブランドでこうした取り組みを行っている企業はごくわずかだ。

SNSからインサイトを引き出す

ケロッグの今後の新製品ローンチは、ソーシャルメディア上で同様のテンプレートに沿って行われるかもしれない。今回のキャンペーンは、同社が英国とアイルランドでこれまで行ってきたソーシャルメディアでの新製品ローンチとしては最大規模であり、同社がPRチームとソーシャルチームの協働を進め、ソーシャルメディアからインサイトを引き出す指針となった。ケロッグのマーケターは、何年も前のものも含めた多くの人々の数百のツイートを掘り起こし、新発売にあたってのコミュニケーション計画を練りあげたのだ。

キャンペーンのオーガニックリーチとプロモーテッドリーチの大半はTwitterとインスタグラムが占め、Facebookの割合は小さかった。Facebookでは、アルゴリズムの改変によりブランデッドコンテンツの表示量が減少して以降、ブランドがオーガニックリーチを稼ぐのが難しくなっている。そのため、ケロッグは理にかなった方法として、Facebookではココポップスのファンページの特定層にターゲット広告を提示した。「消費者のツイートのプロモーションを我々のチャンネル上で実施したかったので、Twitterのペイドメディアにもいくらか投資を行った。最初の試みとしては、反応はかなりよかった」と、ヒーア氏は述べた。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)