DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
2021年にも、新しいトレンドは生まれ、役目を終えたトレンドは忘れ去られていく――。
DIGIDAY[日本版]がお届けする、2020年・2021年の年末年始企画「IN/OUT 2021」。この企画では、我々が開催してきたさまざまなイベントでお世話になった、日本のブランドおよびパブリッシャーのエグゼクティブたちへ、新しい1年にトレンドイン・トレンドアウトするであろう事象について考えを伺った。
ミツカンホールディングスの執行役員/CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を務める渡邉英右氏の回答は、次のとおりだ。
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――2020年を総括すると、どんな1年でしたか?
年初のクルーズ船クラスターの頃は、どこか他人事だったコロナが、段々と自分ごとになってきて、その後の緊急事態宣言。映画『コンテイジョン』で描かれたような世界が現実となってしまった。
緊急事態宣言が明けても毎日感染者数のニュースが目に飛び込んでくる一方で、我々もその生活に徐々になれて年末を迎えた。2020年前半はコロナに慣れるフェーズで、後半はWith コロナの社会ができあがったフェーズだったと思う。
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏が言うように、コロナによってさまざまなデジタルトランスフォーメーションが急加速したと言っていい。
業界によっては売上自体が発生しなくなり、新しいビジネスモデルを検討、実行せざるを得なくなった。生き残った業界でも生活者の行動変化をいかに捉えるか、リモートワークをしながら従業員をいかにエンゲージするかを考えないといけない。
ミツカンにおいても、コロナによって、経営と現場でDX(デジタルトランスフォーメーション)について考える機会は増えていると考える。特にリモートワークは、全員でそもそもの仕事のあり方や働き方を見つめ直すよい機会だった。
この勢いをうまく活用して、2021年はさらに変革を推進していきたい。
――2021年、必ず押さえておきたいと思う、新しいトレンドは?
デジタルトランスフォーメーションの議論に、組織や人材などの「ヒト」が更に関与してくると考える。
企業にとって、デジタルトランスフォーメーションは、本来はデジタルを手段として活用して経営変革を行うこと。そこにつきまとうのは組織や人の変革だ。これまでは、キーワードが先行し、目的化し、「ヒト」の要素を軽視して失敗したプロジェクトが多かった。弊社のデジタルトランスフォーメーションでも、正直なところ、まだまだそういう側面もある。
ほかのCDOの方との議論を聞いていると、昨今は本質的な経営変革の議論が増えているように感じる。マーケティングでいうと、いかに生活者の視点に立つか。それができる組織にするにはどうしたらいいか? チェンジマネジメント、組織体制、人材教育などの「ヒト」に関するテーマを経営はさらに考えていくことになる。
また、コミュニケーションフォーマットとしてのショートムービーにも注目したい。TikTokが、来年はグローバルMAU10億人を超えるとも言われている。私個人としても、そのエンターテイメント性、エンゲージメント性に驚きながら使っている。企業が簡単に自社でショートムービーを制作できるツールも充実してきている。Twitter、TikTokなど異なるメディアにおいて、どのような動画コミュニケーションをしていくかは企業にとって大きなテーマになると考えている。
――2021年、もはや時代遅れと思える、既存のトレンドは?
目的やバズワードとしての「デジタルマーケティング」という言葉が、そろそろ消えていくのではないかと考える。
キーワードとして世に示されることで、興味関心が湧いて、議論が活発化する作用については否定はしないが、これが企業に与えた功罪は大きい。経営がそれを真に受けて、マーケティングから切り離して組織化、実行しているケースが今でも散見される。
目にする書籍、Web記事、イベントでの講演内容、そして他社との意見交換から、「デジタルマーケティング」が誤用されているケースは減ってきており、この兆しを感じられるようになったと思う。
今後、この言葉を乱発するサプライヤーは、淘汰されていくのではないか。
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Brands の回答一覧
– 年末年始企画 [IN/OUT 2021] Publishers の回答一覧
Edited by DIGIDAY[日本版]編集部