日本の業界関係者たちは、2022年にどんな課題を感じ、2023年にどんな可能性を見出しているのか? この年末年始企画「IN/OUT 2023」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブ、次世代リーダーたちに伺った。
明るい未来、という表現はやや陳腐だが、2022年はコロナ禍を踏まえて次のフェーズに進む「新たな1年」になると、誰もが考えていたのではないだろうか。
しかし、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界的な景気低迷とそれに伴う広告・メディア支出の混乱など、波乱に満ちた1年となった。DIGIDAY[日本版]恒例の年末年始企画「IN/OUT 2023」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブや次世代リーダーに、2022年をどのように受け止め、2023年にどのような可能性を見出し、新たな一年を切り開いていこうとしているのか伺った。
株式会社コメ兵ホールディングスにて、IR・広報部長 兼 サステナビリティ推進室長を務める吉田浩之氏の回答は以下のとおりだ。
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――2022年を象徴するトピック、キーワードを教えてください。
2022年はコメ兵HDにとって創業75周年という節目の年でした。また、さまざまなステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、「サステナビリティ」や「ESG」「SDGs」といった言葉で表現される「持続可能な社会に向けた取り組み」への関心が一層高まった年だったと感じています。
我々コメ兵 HDが取り組むビジネス「良質なモノを、価値を高めてつなぐリユース=リレーユース」においても、買取りを利用される新規のお客様が前年対比1.5倍になるなど、「使わないモノを無駄にせず、有効活用しよう」という生活者の意識の変化を感じます。
一方で、リユースの広がりとともに買取事業者が増えるなか、決して誠実とは言えない対応をする事業者もあり、モノを売ることにネガティブな印象を持ってしまう方々もいるのが現状です。リユースが文化として根付くためには、リアル・デジタルを問わず「信頼」や「誠実さ」がこれまで以上に重要になると感じた1年でした。
――2022年にもっとも大きなハードルとなった事象は何でしたか?
生活者の「サステナビリティ」への関心が高まり、リユース市場が成長していくなか、同時に競争環境も激しくなっています。
KOMEHYOでは昨年からの3年間で買取専門店の100店舗出店を掲げ、積極的な出店を行っており、2022年は全店舗のおよそ30%にあたる30店を新規出店しました。それに伴い人員も大幅に増え、社員数の15%にあたる113名が入社してくれましたが、社員が増えたことで顧客体験やブランド価値にも大きく影響する「人材開発」や「組織開発」(企業文化、組織文化の浸透)が重要な課題となりました。
そのため、“KOMEHYOの取り組みはどのような価値があるのか”を改めて考える機会を設け、インナーコミュニケーションを積極的に行いました。これまでの歴史を象徴するキーワード『不易流行』を大切に、『好奇心製造業』という事業ドメインを設定し、「熱量」「信頼」「好奇心」という価値観につながる企画を続けています。
――2023年に必ず取り組むべきだと考えていることは何ですか?
コメ兵HDでは、お客様との接点のなかで「人の介在価値」を重視し、マーケティングのコンセプトにも設定しています。最近耳にすることが多くなった『人的資本』の考え方は、我々の価値を表現するうえでチャンスだと捉えています。
2023年では「人」を軸とした我々の価値を理解してもらうための情報発信や継続的な社内での取り組みを行うことが重要だと考えています。そのため、ひとりひとりの「知識・スキル・経験」や「強み」、教育体制を含めた「価値創造プロセス」の見える化に取り組んでいきたいです。
また、「人的資本経営」の推進に向けて、「リーダーに求められるもの」を明確にすること、そしてデータを活用した人材マネジメントに積極的に取り組むことで、「公正な機会の創出と適切な評価」を実現し、チームとして最大のパフォーマンスが発揮できる環境づくりを整備したいと考えています。