インスタグラムは、ストーリーズ内で使えるインタラクティブスタンプを導入した。そのなかにはオーディエンスに投票を促す機能も含まれていた。ファッションビューティのブランドは、この新しい機能をまだ使いこなしていないようだが、インフルエンサーたちはすぐに活用してオーディエンスのエンゲージメントを深めているようだ。
インスタグラムは10月3日、ストーリーズ内で使えるインタラクティブスタンプを導入した。そのなかにはオーディエンスに投票を促す機能も含まれていた。ファッションビューティのブランドは、この新しい機能をまだ使いこなしていないようだが、インフルエンサーたちはすぐに活用してオーディエンスのエンゲージメントを深めているようだ。
インフルエンサーネットワークのブログラビン(BlogLoving’)は、インスタグラムで8万4000人のフォロワーを抱えている。このフォロワーたちの大部分はインフルエンサーだ。ブログラビンによって行われたインスタグラム上の投票では、66%の回答者がすでに投票機能を使ったという。まだ使っていない者も87%は、将来的に活用する意図があると回答している。
ユーザーが質問を入力して回答者の選択を決めると、フォロワーたちは投稿されてからの24時間、ストーリーが視聴可能なあいだに投票できる。アカウントの持ち主はリアルタイムに回答をトラッキングできる。そのため質問への回答を素早く回収できるのだ。
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ブランドの対応は遅い
ライフスタイル関連のインフルエンサーであるヴィクトリア・ヴァン・ネス氏は、インスタグラム上で彼女がシェアする写真の種類やブログのコンテンツに関して投票機能を活用しているという。ヴァン氏がカバーするトピックは非常に広いため、何が一番オーディエンスに響いているのかを決定するのが難しいという。リアルタイムの投票結果を見ることで、毎月のコンテンツカレンダーをエンゲージメントに沿って最適化させる助けになるわけだ。
「自分のフォロワーたちが、次に何を見たいかを聞きたい。私のブログではいろいろな分野をカバーする。ひとつのニッチに対して需要があれば投票で明確になる。結果に驚くこともある。以前はブログで自分のスタイルについてカバーしていた。これは自分のオーディエンスがファッションにフォーカスしていると思っていたからだ。けれどもビューティやトラベルの投稿を、もっと欲しがっていることが分かった」と、彼女は語った。
カルティエ(Cartier)やセフォラ(Sephora)、レーデン(Raden)といったブランドパートナーを持っているものの、インスタグラムでの投票機能を使ったポストをスポンサーしたいという要請はまだ来ていないという。ファッションビューティブランドのアカウントでは、この機能を取り入れるスピードは遅い(アリス+オリビア[Alice + Olivia]は取り入れた数少ないブランドのひとつだ)。ブログラビンの戦略・ビジネス開発バイスプレジデントであるカミウ・リー氏によると、この遅さはソーシャルメディアに割り当てられたリソースが限られていることが原因だという。
もうひとつの手法
インスタグラムがこれまで提供していた、「いいね!」とコメントというレスポンス以外のデータを投票機能は提供してくれることになると、リー氏は見ている。これまではレスポンスを集める方法は限られていたし、エンゲージメントを高める手法もインスタグラムのアルゴリズムを通して失われていたものがあるはずだ(2016年、投稿を時系列に表示するというスタイルから、ユーザーごとに重要な投稿を優先して表示するという手法をインスタグラムは導入している。スタンダードな投稿やストーリーズにとってはこのスタイルは掴みどころのないものになってしまっている)。
「最終的には投票機能は、インフルエンサーがオーディエンスとエンゲージメントを持つ、もうひとつの手法だ。ブランドたちとエンゲージメントさせるためのより密なコミュニティを形成する方法をインフルエンサーたちは常に求めている」と、リー氏は言う。
インフルエンサーたちにとってこの機能は、大きな可能性を秘めている。連邦取引委員会の規制はスポンサーシップに関してより厳しい明示義務を求めており、そのためマーケターにはインスタグラムのアルゴリズムがスポンサード投稿を埋もれさせていると考える人も多い。
投票機能の大きな魅力
投票機能を通して、消費者たちは意思決定に関われている気分を味わえる。これが大きな魅力になっているとインフルエンサープラットフォームであるハイパー(HYPR)のCEO兼ファウンダーであるジル・アイアル氏は語る。しかし、会社たちが実際にデータを有益なものとして活用するのか、それともただ表向きに使っているだけなのかは別問題だ。
インスタグラムの新しい投票機能のおかげでブランドやインフルエンサーたちは、新しいソーシャルエンゲージメントを獲得した。これを使ってブランドたちはプロダクトのフィードバックを求めたり、メディアで扱われているトピックをフォーカスに据えてエンゲージメントを作り上げたり、マーケットリサーチを行っている」と、アイアル氏は言う。
まだ初期の段階ではあるが、ビデオ投稿の最後に投票を行うことでフィードバックを求めたり、今後のビデオコンテンツについての要望を集めるなど、ブランドたちはいろいろな方法で投票機能を試している。しかし、ブランド側でこれが根付くかどうかは未知である。「この機能が広く活用されている、というところまではいっていない。だが、クライアントには機能についてアドバイスしているし、素晴らしいコンテンツが出てくると予想される」というのが、アイアル氏の予測だ。
さらに進化していく
どちらにせよ、インスタグラムの共同ファウンダーであるケビン・シストロム氏によるとユーザー側では広く使われており、この機能はさらに進化させて行く予定だという。ヴォーグ(Vorgue)によるフォーシス・オブ・ファッション(Forces of Fashion)カンファレンスに参加したシストロム氏は、この投票機能スタンプのおかげでストーリーズ投稿は増えたという。この機能がどう成長していくのか期待しているとのことだ。
「いいね!がフィードバックの一種であるのと同じように、質問に回答するのもフィードバックの一種だということに気付いた。写真が良いかどうか判断する以上に、ファンや家族、顧客や友人からのフィードバックをさらに集めることを行っていく」と彼は言った。
Bethany Biron(原文 / 訳:塚本 紺)