最近では、毎日のようにセレブが新しいブランドを立ち上げているように感じられる。インフルエンサーによるブランドとなると、その数は倍になる。これは、特にビューティやライフスタイルの分野で著しい現象だ。それでも、新しいものはロ […]
最近では、毎日のようにセレブが新しいブランドを立ち上げているように感じられる。インフルエンサーによるブランドとなると、その数は倍になる。これは、特にビューティやライフスタイルの分野で著しい現象だ。それでも、新しいものはローンチされ続け、成功を収めている。これは、タウン・アンド・カントリー(Town&Country)の元デジタル・副エディターで、インフルエンサー兼起業家のリンジー・シルバーマン氏がよく知っている事実だ。そんな彼女も10月に、自身のブランド「ホテルロビー・キャンドル(Hotel Lobby Candle)」を立ち上げ、ウェブサイトでデビューした。
シルバーマン氏は米DIGIDAYの姉妹サイト、グロッシー(Glossy)との電話インタビューで、「(すでにたくさん存在しているため)世界はキャンドル・ブランドをこれ以上必要としてない、それでも私はキャンドル・ブランドを立ち上げたが、それは非常にうまくいっている」と述べた。インスタグラムのバイオ欄によると、このブランドは「5つ星のホテル体験を家庭で」提供することを意図しているという。同氏は、自身の過去の旅行から、このブランドのインスピレーションを得たという。
シルバーマン氏はインスタグラムに17万8000人のフォロワーを抱えており、そのなかには彼女のブログをフォローしたり、ニュースレターを受け取ったりする人もいる。そうした、フォロワーの総数は100万人をはるかに下回っていると、彼女は語る。「私たちが、このブランドを最初にローンチしたとき、どのような数字を予測すべきか、まったく分からなかった。『何人がストーリーを見てくれて、画像を投稿したら何人がプロダクトを買ってくれるかは知っていたけど』と、そのときは考えていた程度だ」。「カテゴリー、価格、その日のアルゴリズム」といった多くの要因によるが、彼女が何らかのプロダクトの購入リンクを貼ると「数十から数百の個数のプロダクトが売れる」とのことだ。
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しかし、HotelLobbyCandle.com のローンチは24分での完売という、シルバーマン氏がまったく予想していなかった形になった。在庫は、少なくとも3カ月、ホリデーシーズンのあいだはなくならないだろうと予想されていた。「私たちはメーカーに電話して、『追加はいつ届くのか』と尋ねた」。追加在庫は数週間後に再入荷され、2時間以内にまた売り切れた。
5月後半、ホテルロビー・キャンドルはニーマン・マーカス(Neiman Marcus)のオンラインでもローンチし、加えてフィラデルフィアの2店舗、ダラス、アトランタ、シカゴ、ビバリーヒルズ、バル・ハーバー、ニューポート・ビーチの合計8店舗のニーマン・マーカスでもデビューする予定だ。このきっかけはソーシャルメディアだったことは、驚きではない。「ニーマンのバイヤーが(インスタグラムを)フォローし、ほかの人たちから(キャンドルの)ことを聞いていたようで、私に話しかけてきて、そこで会話が始まった」と、彼女は言った。
自分とは別個の存在として
自分の名前や顔を製品に表示しないという選択は、シルバーマン氏にとって意図的なものであった。同氏はブランドが自分とは別に存在することを望んでいたのだ。このブランドの成功は、優良なフォロワーたちと慎重に考え抜かれたブランディングのおかげだと考えているという。重要な「アンボクシング(梱包を開く行為)」を含め、 体験のあらゆる要素にそのことは浸透している。
「私は編集の経歴を持っているが、(編集をしていたときは)有料スポンサーシップをしなかった。(インスタグラムでの)有料スポンサーシップはフォロワーが10万人を超えるまでは始めなかった。だから、金銭的なインセンティブもなく、何かを勧めることに慣れていたと思う。私はいつも、消費者として好きなもの、嫌いなものについて話していた」と、彼女は述べた。オンラインではキャンドルの匂いを嗅ぐことができないため、信頼が鍵となる、と語る。
彼女は、おそらくブランディング体験の方がさらに重要だと考えている。なぜなら、長くビジネスを続けるためには「フォローしてくれている人に何か買うように言う」ことは、賢くないからだ。「プロダクト自体が素晴らしくなければならない。パッケージ、ブランド、すべてが最高のものでなければならない。人々はプロダクト購入時に、体験をすべて得られることを求めている。特に、コンテンツクリエイターやインフルエンサーによって、すべてがキュレーションされ、美しく、見た目が魅力的に作られている場合はそうだ。人々はインフルエンサーが作るブランドからはそういったことを期待している」。
つまり、インフルエンサーが何かの製品を作った場合、その製品は彼らの投稿のどれかに含まれていても、おかしくないように見える必要がある。
フォロワーの範囲を超えて
ホテルロビー・キャンドルはそのままプレゼントとして贈呈しても大丈夫な包装がされている。それぞれの箱はリボンで包まれている。シングル・キャンドルは3種類の香りがあって各54ドル(約5900円)、小型で3種類がセットになったものは74ドル(約8100円)で販売している。
シルバーマン氏は雑誌で働いていたときに旅行業界にも触れており、彼女のブランドを作るにあたっても、その際にホテルにインスピレーションを得た工夫を加えている。各キャンドルにはホテルの部屋の鍵のようなカードと使い方の説明が付いている。同ブランドのカスタマーサービスは「キャンドル・コンシェルジュ」と呼ばれ、DMは「(ホテルの)フロントデスクからのメッセージ」のように演出されている。最新のリリースであるビーチリゾート風のアイランド(Island)キャンドルには、ホテルの部屋の机にあるような小さなメモ帳が付いてくる。シルバーマン氏によると、ロウソクのことをインスタグラムで投稿する人のほとんど全員がカードキーをそこに含めるという。
「インスタグラムで誰かが(ブランド)を投稿したり、タグ付けしたりしているのを見るたびに、私はそのアカウントに行って私(シルバーマン氏自身)をフォローしているかどうかを確認する。もし彼らが私をフォローしていなければ、最高に嬉しい」と彼女は言った。「ブランドが私のフォロワーの範囲を超えていることを示している。どんどん大きくなっていて、知っている人が増えている」。
[原文:Influencer Lindsay Silberman’s Hotel Lobby Candle just launched at Neiman Marcus]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)