「インフルエンサーの報酬は、リーチを基準にしない」:偽証行為と戦うケロッグの取り組み

ケロッグ(Kellogg’s)はインフルエンサーをリーチ数だけに基づいて報酬を与えることを止めた。数字が示しているエンゲージメントが本物であるか偽物であるか、確かめることができない、というのが理由だ。

エンゲージメントを買収するという偽証行為は広まっており、広告主企業のマーケターたちはインフルエンサーから得られる成果について懐疑的になっていると、英国とアイルランド・ケロッグのソーシャルメディア責任者であるジョセフ・ハーパー氏は、モナコで先日行われたDIGIDAYブランドサミットで語った。

ハーパー氏によると、こういった懐疑的な視点から、ケロッグはエージェンシーたちがインフルエンサーから受け取っているオーディエンスデータをどのように分析しているか、深く追求しているという。またインフルエンサーに報酬を払う前に、彼らの投稿がどのようなパフォーマンスを見せているかをより時間をかけて理解しようとしているようだ。このデータにはトーン、コンテンツのスタイル、そしてフォロワーの構成といったものが含まれており、これらはケロッグがインフルエンサーを採用する手法において、ますます重要になっている。

エージェンシーも被害に

ケロッグがインフルエンサー起用のために使うエージェンシーたちですら、偽証行為の被害にあってきたと、ハーパー氏は言う。その結果として、インフルエンサーたちからデータ、メトリックス、レポートをさらに厳しく強く求めるようになった。

「以前依頼したエージェンシーのひとつは、コメントの数が非常に多かったことを示して、キャンペーンが成功だったと述べた。しかし、我々がレポートを深く調べると、我々が雇ったインフルエンサーはただワッツアップ(WhatsApp)上のインフルエンサーグループに行き、コメントをするように頼んでいただけだと分かった」と、ハーパー氏は言った。

「インフルエンサー起用の面で我々を手助けしているエージェンシーたちのなかには、最初は小規模だったものの急成長したところもあり、大手のクライアントとの付き合い方を知らない。そのため、ケロッグ側からプレッシャーを与える必要があった」と、彼は付け加える。「これはエージェンシーと密接に協力することで解決しようと思っている」。

なにを指標とすべきか

ハーパー氏が得た、マイクロインフルエンサーたちのアクティビティに関するレポートでは、彼らが保有している2万人のフォロワーのうち12%は、ケロッグがターゲットとしていた英国在住のオーディエンスではなかったという。

これは明らかな偽証という例ではないが、リーチに対してお金を支払っている広告主が、実際はリーチを得ていないということを示してはいる。

「偽証が簡単なため、我々はソーシャルメディア広告をリーチに基づいて買わなくなった。(「虚栄の指標」と呼ばれる)バニティメトリックスだけに頼ることから離れ、異なる種類の会話や投稿の感情などを要素として考慮しようとしている」と、ハーパー氏は言う。

入り交じる期待と疑惑

ケロッグが現在フォーカスしているのはブランド、プロダクトの本当のユーザーであるインフルエンサーを見つけることだ。そのようなインフルエンサーのポテンシャルを見つける技術を持っているエージェンシーとともに取り組んでいるという。来年には画像認識テクノロジーを使ってソーシャルネットワーク上を検索し、ブランドを取り上げている投稿を見つけるエージェンシーたちと協働する計画がある。

手早くお金を得ることに飛びついたマイクロインフルエンサーが爆発的に増えたこと、そして偽造された「いいね!」やエンゲージメントを見抜く知識が十分でなかったことが結果として、偽証行為の蔓延につながったと業界関係者たちは語ってきた。全米広告主協会(ANA)が会員対象に今年行った調査では、75%がインフルエンサーを起用しており、そのうち43%が2019年にはインフルエンサー広告の予算を増やす予定だという。しかしそのうち、インフルエンサーマーケティングが効果的だと判断しているのはたった36%、さらに使われたお金は非効果的だったと認める広告主は19%も存在している。

ケロッグの取り組みは、まだ初期段階に過ぎない。ケロッグが課す厳しいガイドラインに、起用したインフルエンサーたちが苦労していることも分かってきている。消費者向けプロダクトの企業としては、彼らが資金を提供するコンテンツのなかで言えることと言えないことの規制がある分野も存在している。その結果として、インフルエンサーのなかにはケロッグとの仕事をしないと決断した者も出ている。

良いコストパフォーマンスも

インフルエンサーマーケティングは適切に行えば、良いコストパフォーマンスを見せることもある。エージェンシーに支払って広告を作ってもらうよりも、インフルエンサーにコンテンツを作ってもらった方が安上がりになる。特にインスタグラムストーリーズ(Instagram Stories)のようなフォーマットがより洗練されるにつれて、その傾向は顕著になっている。

「マスメディア向けのコンテンツと比べると、そのほんの一部の予算でインフルエンサーたちはコンテンツを作っている。そして、少しずつパフォーマンスもより良いものが見えてきている」と、ハーパー氏は語った。

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Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)