「誰も無関心だと思われたくない」:Facebook広告 ボイコットの本格化で、一部のインフルエンサーキャンペーンが中断

Facebook広告へのボイコットが勢いを増し、現在530社以上のマーケターが、少なくとも7月の1カ月間はFacebookから広告費を引き上げると表明している。また、この影響を受けて、一部ではインフルエンサーを活用したキャンペーンを中断する動きも生じているようだ。

あるエージェンシー幹部によれば、マーケターは計画されていたインフルエンサーキャンペーンを完全に延期するか、インフルエンサーのオーガニック投稿コンテンツの影響力を高めるため、Facebookとインスタグラムへの有料広告の使用を8月まで先送りする判断を下している。

動向が示しているのは、マーケターが広告の掲載場所や、その隣に表示されるコンテンツの内容を再検討しているということだけではなく、どうすれば黒人インフルエンサーや黒人を経営者に据える企業を、より効果的にサポートできるかにまで考えを巡らせていることを示している。このエージェンシー幹部によれば、一部のマーケターは6月に出したBlack Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)運動への支持表明のフォローアップとして、エージェンシーに対し、黒人インフルエンサーの起用を優先するよう求めている。

「無関心だと思われたくない」

「多くのインフルエンサーとの契約が中断、あるいは変更されている」と、アメリカのエージェンシー、メカニズム(Mekanism)で、パートナー兼最高ソーシャル責任者を務める、ブレンダン・ガーン氏は述べる。「いまは、誰も無関心だと思われたくないのだ。インフルエンサーとブランドは、互いの姿勢を見定めようと、『BLMについてどう思うか?』『BLM支援のために何をしているか?』『ボイコットに参加しているか、参加または不参加の理由は?』といった内容を質問しあっている」。

マーケターがこうした判断を下すことで、自分たちが再び経済的損失を被るのではないかと、インフルエンサーは憂慮している。すでに直近の数カ月、新型コロナウイルスが米国で猛威を振るいはじめたときも、BLMの抗議行動がはじまったときも、マーケターはインフルエンサーキャンペーンを一時停止しているからだ。

「7月にキャンペーンの契約を結ぶのはかなり難しいだろうと、ブロガーたちは大いに懸念している」と、ブログ『ママ・ノウズ・イット・オール(Mama Knows It All)』を運営するブロガーでインフルエンサーの、ブランディ・ライリー氏は語る。ライリー氏は6000人以上のインフルエンサーからなるFacebookグループ『カレッジ・トゥ・アーン(Courage to Earn)』を運営しているが、一部のインフルエンサーは、すでにキャンペーンの一時停止を余儀なくされているという。

「私はインフルエンサーに、ブランドの担当者、エージェンシー、そしてネットワークに連絡して、自分のコンテンツを見てもらえる方法は、(Facebook広告やインスタグラム広告の)ほかにもあることを、伝えるよう勧めている」とライリー氏。インフルエンサーは、ニュースレターやTwitter、YouTube、Pinterest(ピンタレスト)、LinkedIn(リンクトイン)、さらにはブログコンテンツのSEOを利用して、Facebookとインスタグラム広告のボイコット騒動中も、プロモーションキャンペーンを続けることができる。「広告主は、ROIを少し長期的に見る必要はあるかもしれないが、Facebook広告やインスタグラム広告以外にも、選択肢があるということを知って欲しい」。

インスタグラム広告のインパクト

インフルエンサーは個人ブログに加えて、多数のプラットフォームにコンテンツを投稿しているが、彼らのあいだでブランデッドコンテンツを投稿するのにもっとも重宝されているのは、Facebook傘下のインスタグラムだ。2019年12月のクリアー(Klear)のレポートによれば、2019年にインスタグラムでインフルエンサーが投稿したコンテンツのうち、ハッシュタグ「#ad」が含まれていたものは、300万件強で、前年の200万件強から48%増加。通常インフルエンサーは、ブランドと仕事をする際、まず自身のストーリーズやフィードへのオーガニック投稿を実施する。そのコンテンツに対し、マーケターが広告費を使ってコンテンツの露出を高め、インスタグラムのフォロー外のより多くの(しばしば特定のターゲット層の)目に触れるようにするのだという。

インフルエンサーキャンペーンの広告費の大部分は、直接インフルエンサーに支払われるが、一定の割合がコンテンツの有料広告サポートの経費として、Facebookやインスタグラムの取り分となる。インフルエンサーマーケティングエージェンシーのスウェイグループ(Sway Group)のクライアントの場合、広告費のおよそ80~90%がインフルエンサーに、残りの10~20%がコンテンツの有料広告サポートに支払われると、同社のCEOであるダニエル・ワイリー氏は述べている。

「アルゴリズムが大きく変化したため、インフルエンサーキャンペーンの指標やKPIを達成するために(有料広告の)ブーストに頼らざるを得ない」とワイリー氏はいう。同氏によると、複数のクライアントから一時停止に関する問い合わせが来ているものの、スウェイグループのクライアントのなかで、正式にその実行に踏み切ったのは、ある食品ブランド1社だけだという。「ブーストを止めれば、施策の評価指標にも大きな影響が出る。また、これはインフルエンサーの数を増やしたり、ほかのチャンネルにリソースを割いても、失われたリーチを補うことはできない」。

とはいえ、一部のインフルエンサーやマーケターは、Facebookやインスタグラム向けに準備していたコンテンツを、TikTokといったほかのプラットフォームでの活用に充てたり、制作し直したりしている。彼らはそうすることで、Facebook広告ボイコットに参加しつつ、コンテンツ制作を続けることができる。

黒人インフルエンサーとの連携が焦点

7月に予定されたままのキャンペーンで活用するコンテンツに関しては、黒人インフルエンサーとの連携が焦点であると、インフルエンサーマーケティングプラットフォームのインフルエンシャル(Influencial)のCEO、ライアン・デタート氏は話す。「我々は予算の再分配方法を検討しており、クライアントの要望に応じて、黒人インフルエンサーを増やしている」。

また、「マーケターは6月、BLMへの支援表明のフォローアップを熱心に行なっていた」と、360iのソーシャル・インフルエンサーマーケティング担当 バイスプレジデントを務めるクリスティン・マーベリック氏は述べる。「彼らは6月、黒人インフルエンサーにスポットライトを当て、インフルエンサーの再評価を実施していた。これは7月に向けて、世間の動向に余裕をもって対応できるよう備えていたのだろう」。

[原文:Influencer deals are being paused’: As Facebook boycott begins in earnest, influencer marketing feels a sting

KRISTINA MONLLOS(翻訳:ガリレオ、編集:Kan Murakami)