米・家庭用洗剤メーカー、 YouTube 広告に大鉈を振るう: インフルエンサー との協働を強化

クロロックスカンパニー(Clorox Company)がインフルエンサーを集めたアドバイザリー会議の設置を進めている。

クロロックスの狙いは、何百人ものインフルエンサーから成るこのアドバイザリー会議を活用して、インフルエンサー本人およびそのオーディエンスにとって、共感できるコンテンツを把握することだ。同時に、この消費財メーカーは、インフルエンサーたちとクロロックスのあいだに、もっとコラボラティブなコンテンツクリエーションの仕組みを作りたいと考えている。

一部のインフルエンサーたちは、すでにクロロックスからエージェンシーに準ずる扱いを受けており、YouTube向けの広告を「共同プロデュース」している。ソーシャルメディアのインフルエンサーたちが集うこの新しいアドバイザリー会議の役割について、米国の清掃用品部門を担当するバイスプレジデントのマグナス・ヨンソン氏は、YouTube向けのコンテンツを、さらにはそのほかのコンテンツ一般も含め、「人情味があって、本格的で、しかも需要喚起を狙う露骨さのないもの」にすることだと説明している。

広告っぽくない広告を

たとえば、最近のクロロックスのYouTube広告は、マット&レベッカ・ザモロ(チャンネル登録者数368万人)や、ラブラント一家(チャンネル登録者数1080万人)のような人気ユーチューバーを起用して、洗練されたブランド広告ではなく、いかにもユーチューバーらしいコンテンツに仕立てられている。具体的には、人気ユーチューバーたちが(おそらくはTikTokチャレンジの人気にあやかったのであろう)「ワンワイプ(ひと拭き)チャレンジ」に参戦して、クロロックスのウェットペーパー1枚で拭き清められる面積を競うという趣向だ。

「ミレニアム世代の消費者は、基本的に、広告を見せられることを好まない。言うなれば、我々は広告っぽくない広告を作る必要に迫られている」と、ヨンソン氏は言う。

調査会社のカンター(Kantar)によると、2019年2月から9月のあいだに、クロロックスブランドに投じられた媒体費は960万ドル(約10億円)で、前年同期の1520万ドル(約16.5億円)から大きく後退した(ただし、カンターはソーシャルメディアチャネルに対する媒体費を測定していない)。

ヨンソン氏によると、クロロックスブランドの製品をミレニアム世代の消費者に訴求する際は、ことさらYouTubeに重点を置き、広告っぽくない広告を提供するという。「消費者はこれが通常の広告だとは思わないかもしれない」。

業界ではいまだ例外的

インフルエンサーと連携してYouTube向けのデジタル広告を作成することは、多くのマーケターにとっていまどき珍しいことではないが、家庭用洗剤の業界ではいまだ例外的な手法のようだ。「家庭用洗剤部門の広告は、驚くほど形式的でつまらない」と、メタフォース(Metaforce)の共同創業者で、ブランドコンサルタントのアレン・アダムソン氏は言う。「[広告界の]破壊的創造にはうってつけのカテゴリーだ。消費者との関連性を構築し、製品を見せる手法としては、小気味の良い、いかにもミレニアム的なやり方と言えるだろう」。

メトリックデジタル(Metric Digital)のケビン・シモンソン最高経営責任者(CEO)は、クロロックスによるYouTubeの活用は注目に値すると考える。「クロロックスのような大きなブランドは、純粋なeコマースではなく、ブランディングに注力するほうが正解だ」と、シモンソン氏は編集部に宛てた電子メールで述べている。「口コミを意図的に作り出すのは難しい。また売上増の計測は、クロロックスのようなケースでは、その大部分が第三者からもたらされることから、不可能とは言わないまでも、やはり容易でない」と、シモンソン氏は指摘する。

クロロックスブランドのコンテンツをもっと増やせという圧力は、YouTubeの文脈に限ったことではない。以前、米DIGIDAYが報じたように、昨秋、クロロックスは、同社が運用するデジタル広告と従来広告のチャネルを埋めるには、作成するブランドコンテンツの量を現在の5倍に増やす必要があると発表した。クロロックスはコンテンツの作成に拍車をかけるべく、同ブランドのクリエイティブを担当するFCBのような外部のエージェンシーと、エレクトロ・クリエイティブ・ワークショップ(Electro Creative Workshop)のようなインハウスのエージェンシーを総動員している。

若い世代に訴求するには

現在、クロロックスのブランドをすべて考慮に入れると、同社の媒体費のおよそ60%から65%がデジタルチャネルに充てられている。だがヨンソン氏の説明するところでは、テレビ広告の投資利益がいまだ堅調であるため、クロロックスブランドに限って言えば、デジタル広告の比率はそれほど高くない(ヨンソン氏は、クロロックスブランドのデジタル予算について詳細なコメントは差し控えた)。同社は、チャネル別のデジタル予算は明かさなかったが、Facebook、インスタグラム(Instagram)、ピンタレスト(Pinterest)、Amazon、およびウォルマート(Walmart)のサイトへの出稿は認めた。

「ユーザーでない人々や若い世代の消費者に訴求する場合、彼らがいる場所、彼らが生活する場所で、[クロロックス]ブランドを見せる必要がある」と、ヨンソン氏は言う。「それには、年間ベースで、より多くの投資をデジタルメディア領域にシフトさせる必要がある」。

Kristina Monllos(原文 / 訳:英じゅんこ)