創業7年のスーツ専門会社インドチーノ(Indochino)は、この数年間で9桁の年間売上高を達成している。この1年で100店舗以上をオープンし、レディーススーツとウェディングアパレル事業の拡大も予定しているという。「世界最大のカスタムアパレル企業」と述べる社長兼CEOのドリュー・グリーン氏に話をきいた。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
創立7年のスーツ専門会社インドチーノ(Indochino)は、社長兼CEOであるドリュー・グリーン氏によると、「世界最大のカスタムアパレル企業」であり、成長を続けているという。
最新の米Glossyポッドキャストで、グリーン氏は2月だけでも8店舗をオープンし、今年は100店舗以上になる予定だと語った。さらに、ほかの2022年の予定としては、レディーススーツとウェディングアパレル事業の拡大を挙げた。
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インドチーノはこの数年間の年間売上高ですでに9桁を達成している。成功の秘訣は、「ポッドキャストや、ヤンキース、ロサンゼルス・ラムズ、ボストン・レッドソックスとのチームスポンサーシップといったあらゆるマーケティングへの多様なアプローチを取っていること」だとグリーン氏は述べている。
最小限の投資で運営できる同社の「ショールーム」形式の店舗と顧客体験の重点化もうまく機能しているという。
「私は(ホテルの)フォーシーズンズ・モデルが気に入っている」とグリーン氏。「ポイントやキャッシュバックを実際に利用することのメリットやロイヤルティプログラムのなかのさまざまなメカニズムをすべて理解している。だが、我々が顧客の支持を得るために投資しているものは実際の経験だ。つまり、顧客の経験を楽しく、面白く、印象深いものにするということ。それこそがフォーシーズンズが実践していることだ。ポイントもキャッシュバックもないが、世界トップクラスのエクスペリエンスを提供しているのだ」。
以下は対談のハイライトである。なお、読みやすさのために若干編集を加えてある。
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ショールームの人材
「ほかとはかなり違う小売経験を提供していることを誇りに思っている。ショールームは予約制だし、顧客はカスタムの服を作るために店舗に来るが、店を出るときには製品は持っていない。すぐに製品をあつらえて客に発送する。小売に進出する際にこれは理解していたので、慎重だった。2015年に6〜7店舗を立ち上げた。だが、2016年にはそのモデルを一時中止して改善した。
今年は100を超える店舗数を達成する。日々ブランドを代表しているのは店舗の人材なので、彼らのトレーニングを重要視しており、それに多大な時間を費やしている。また、予約は1時間なので、従業員は本当に顧客の役に立つために何をすべきかを理解していなければならない。店舗にも、中国にも、ここカナダの本社にも素晴らしいチームがいる。これはとてもありがたいことだ。なぜなら、それこそが成功の鍵だから。人材と素晴らしいチームから成功は始まる」。
ショールームの設置場所について
「最初のローンチでは、ロサンゼルス、ニューヨーク、ボストン、シカゴなど大きな市場へ進出した。それが我々のフォーカスだったのだが、その最大の理由はそのような市場にはオンライン消費者が大勢いて、市場が大規模だという点だった。事業を続けるうちに驚くべきことに気づいた。コロナ以前はニューヨークが最大の市場であり、周辺地域を除いてショールームが6店舗あった。もちろんニューヨークは大きな市場なのだが、もはや我が社にとってはトップではない。
州内に3〜5軒のショールームをローンチした南部のいくつかの州がいまではトップ市場になりつつある。我が社が提供するユニークな経験でできるだけ多くの人たちにサービスを提供したいと思っている。私はアラバマが大好きで、あの地域やアラバマ大学のフットボールチームのファンだ。アラバマに進出するのが待ち遠しい。ある市場に進出するとき、我々はその土地の文化やコミュニティに溶け込もうと努めている。ロサンゼルスのメルローズに素晴らしいショールームをローンチしたとき、(ロサンゼルスのプロアメフトチームの)ラムズと提携するという目的のためにすぐに方法を探った。ラムズとのパートナーシップを誇りに思うし、我々はいまではコミュニティの一員だと感じている」。
戦略的な資金調達
「インドチーノでは、これまでに1億ドル(約115億円)以上を調達した。2015年に取締役会で、ある取締役とこんな話をしたのを覚えている。ベンチャーキャピタリストで、良き友人でもある人なのだが、彼にこう言ったのだ。『別の方法で資金を調達しようではないか。我々の運営を推進して、運用上のメリットを提供してくれ、かつ資本を提供してくれる戦略的な投資家を惹きつけて提携しよう』と。それについては素晴らしい成果が出せている。また、自社の中国のメーカーと3000万ドル(約34億円)の私募を行った。彼らは素晴らしいパートナーであり、いまでは家族同様だ。
先方ドも我々のサプライチェーンからメリットを受けている。株価が上がったので、恩恵がある。民間企業の観点から、我々はあるメディア企業と提携して投資を受けている。また、世界最大級の商社である三井物産と提携し投資を受けてもいる。ノードストロームは資本投資はしてはいないが、我が社を支援してくれている観点からはノードストロムの注力は同じだと考えている。これはまさしく成功への鍵になっている。起業家として、自分の資本戦略について様々な多くの選択をしなければならない。ベンチャーキャピタルも良いし、プライベートエクイティや自己資本でもOKだ。だが、私はずっと戦略面で多くの成功を収められてきて、事業パートナーにもメリットをもたらすことができている」。
[原文:Indochino’s Drew Green on opening 100 stores: ‘Southern states are becoming our top markets’]
JILL MANOFF(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)