「 TikTok 騒動は、米政府の茶番。もう振り回されない 」: TikTok へ投資している D2C 幹部の本音

オラクル(Oracle)とウォルマート(Walmart)による買収契約がいまだ合意を見ないなか、米国におけるTikTokの未来は依然、不透明のままだ。米政府が口ばかりで、一向に話を進められていないなか、一部のマーケターはすでに、一連の報道の無視を決め込んでいる。トランプ大統領がTikTokの配信禁止を命じたあとはさすがに、多くのマーケター/メディアバイヤーが事態を深刻視した。だが、連邦地裁がそれを暫定的に差し止めて以降、米国でのTikTok禁止の可能性は縮小の一途を辿っている、と見る向きもある。

TikTokへすでに投資しているマーケターにしてみれば、要するに、これまでと何も変わらないに等しい。匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらうDIGIDAYの告白シリーズ。今回は、以前からTikTokを積極的に活用しており、同アプリを巡る政治的思惑には振り回されないと決めたD2Cブランドのマーケティング幹部に話をうかがった。

なお、読みやすさを考慮し、発言には多少編集を加えてある。

――議論はまさに堂々巡りだが、それでもTikTokはフォーカスすべき存在だと?

当初は、我々の誰もが「これは困ったことになった。潰されるかもしれない。そうなったらどうする? Bプランを考えなければ」と思っていた。しかし、政府は口ばかりで[行動が伴わないなか]、TikTokはこの先も残ると思うようになった。我々は粛々と事業を営むだけだ。くだらない政治的思惑はすべて無視するようにしている。

――TikTokが御社のメディア支出に占める割合は?

インフルエンサー予算の約40%をTikTokに費やしている、かなりの額だ。露出はかなり大きい。ただ、くり返しになるが、TikTokはあまりにも巨大であるため、簡単には締め出せないだろう。我々は今後も支出を続けていく。とはいえ、万が一潰された場合に備えて、Bプラン用のチームを用意していたことは認める。その場合、移行先はインスタグラムとYouTubeであり、さらなる実験を試みるつもりだった。

――買収が合意に至らない場合、TikTokは潰れることになるとトランプ政権は発言した。にもかかわらず、御社はいまも支出を続け、TikTokの未来を楽観視している。TikTokは絶対に残るというその自信の根拠は?

数週間前、TikTokの配信は確かに禁止されるところだったが、連邦地裁は政府の命令を違法と判断し、大統領の越権行為に当たるとした。大統領や政府高官が何度も脅しているのは知っているが、そこにどれほどの現実味があるのかは、何とも言えない。ご存知のとおり、司法が介入し、政府に冷静な再考を求めている。つまり、政治的思惑が大いに絡んでいるわけだ。それに、今度の大統領選でどうなるのかもわからない。

つまるところ、現政権はこれを利用して、中国に強硬姿勢を取っていると国民に見せたいだけのような気がする。茶番だよ。脅すばかりで、何もしていない。はったりは何度もかましているが、いまだ実行できていないわけで、この先もそうなるとは思えない。

――ほかのD2C幹部とTikTokについて話すことは?

もちろん。多くのブランド創業者は、いまはとりあえずTikTokの優先順位を下げていて、事態が落ち着いてから、本気で投資を始めるつもりでいる。我々はすでに多くを投資しているが、もしそうでなかったら[私もいまほどは費やしていないと思う]、彼らの見方は理解できるからね。消え去るかもしれないものに、わざわざ投資を始めたいと思う人はいない。多くのD2C創業者にしてみれば、TikTokはいまだ未知の領域なんだ。

――最後に、自身がかなりの投資をしているプラットフォームがいつ潰されるかわからない現況については?

イライラはしている。ただ、報道を耳にした当初はかなり動揺したが、いまはとにかく無視している。我々としては、普段どおりやっていくしかない。万が一禁止になったら、それはもちろん非常に残念だが、騒いでも仕方がない。黙々とやることをやるだけだ。

[原文:‘Ignore all of the politics’ Confessions of a DTC exec on the continued uncertainty of TikTok

KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)