本記事は、DIGIDAY[日本版]の兄弟サイト、日本最大のテクノロジー情報サイト「ギズモード・ジャパン」からの転載となります。 ◆ ◆ ◆ 初体験が1年遅れてバイトも運転もしないでスマホ漬け、しかもスマホ長時間する子ほど […]
本記事は、DIGIDAY[日本版]の兄弟サイト、日本最大のテクノロジー情報サイト「ギズモード・ジャパン」からの転載となります。
初体験が1年遅れてバイトも運転もしないでスマホ漬け、しかもスマホ長時間する子ほど孤独で自殺リスクが高い…と。なむぅ…。
Advertisement
8月下旬アメリカでスマホ世代のメンタルに地殻変動が起きているという実態に迫る本『iGen』が出版されました。著者のサンディエゴ州立大学のJean Twenge心理学教授は25年間ずっと毎年ティーン1100万人の意識調査を行なってきた専門家なのですが、2012年ごろを境に、それまでのなだらかな曲線から折れ線グラフのような劇変が現れ、1930年代まで遡ってもこれだけの変化はいまだかつてないのだそうですよ?
iPhoneが登場したのは2007年で、2012年といえばアメリカでスマートフォン人口が半数超えした年にあたります。Piper Jaffrayの2年前の統計ではティーンの4人に3人がiPhoneユーザーでした。そのため教授は1995~2012年生まれを「iGen」と呼んでいます。Z世代と呼ぶよりはわかりやすいか…。
書籍では、高校生を対象に1975年から質問1,000以上のアンケートを実施している国立薬物乱用研究所(NIDA)のデータをもとに分析を進めています。日本でも「スマホ時間が長い子ほど学力が低下する」なんて言われていますよね。参考になるかもしれないので、The AtlanticとThe Conversationの概要からポイントを拾っておきます。
1) セックスする子が減った
のっけから参考になりそうもないデータですが、アメリカのスマホ世代はデートも外出も初体験も妊娠も減っています。高校最終学年にデートに漕ぎ着ける子の割合はベビーブーマーやX世代(1960年代から1970年代に生まれた世代)が85%だったのに対し、今は56%。プロム誰と行くんや!な状況らしいです。
9年生(日本の中3)でセックスしている子の割合も1991年から40%近く減っており、初体験の平均年齢はX世代より丸1年遅れて11年生(日本の高2)の春に。2016年にはティーンで妊娠する子の割合が1991年のピークから67%減って史上最低を記録しました。
2) 運転する子が減った
スマホ世代は、映画「理由なき反抗」のように車を崖までフルスピードで走らせて距離を競うチキンランなんてのもやりません。そもそも免許がない子が増えているんです。ベビーブーマーは高3春までにほぼ全員運転免許を取っていたものですが、今は4分の1以上が免許なしのまま高校を卒業しているんだそうな。家の外に出なくてもスマホがあるので免許をがむしゃらにとろうという意欲がそもそも薄く、送り迎えに疲れ切った親にせっつかれてとるという、昔では考えられないような逆転現象が起きています。
3) バイトする子が減った
1970年代には高3の77%はバイトしていましたけど、2010年代半ばには55%まで落ち込みました。中2のバイト率も半減。不景気でバイトが見つからなくなった時期もありますが、景気が回復してからも就業率は一向に回復していません。
あんまり早くバイトしても損で、実社会では結局マスターやドクターの方が得をするんだから就業をできれば先延ばししたい、という意識が親、社会、子どもに浸透しているのもその一因です。大人になるのが全般的に遅れており、今の18歳は昔の15歳、今の15歳は昔の13歳のような意識なのだといいます。
4) 学力が落ちている
パーティーもデートもせず日夜勉学に打ち込んでるものと思いきや、4大進学の高3を除き、2010年代のティーンは1990年代初頭のティーンより軒並み宿題時間が減っています。必修でない書籍&雑誌を読む率も激減しており、大学入学共通試験のSATでは読解力テストのスコアが落ちています。
これは日本も同じなのかも…と思って検索したら、TOKYO FMの番組予告「子どもの学力、スマホ使用時間が長いほど低下の傾向」が目に飛び込んできました。なんでも仙台市教育委員会が東北大川島隆太教授と共同で行った研究では、「2時間以上勉強してスマホを4時間以上使用する子どもたちは勉強をほとんどしないでスマホを使っていない子どもたちよりも平均点が下がってしまっていた」のだそうですよ? 一体どういうこと!!!??? せっかく勉強してもスマホで全部消えちゃうんでしょうか…。スマホ恐るべし。
5) 友達に会う時間が減った
毎日友達に会う子の割合は2000年から2015年にかけて40%以上減っています。
6) SNS滞留時間が長い子ほどアンハッピー
画面を眺める時間が長い子ほど孤独感を感じることもわかってきました。週10時間以上SNSする8年生は10時間未満の子より「幸せでない」と答える確率が56%高く、6~9時間SNSする子はそれ未満の子より47%高く、逆に友達に会う時間が平均以上の子は平均未満の子より「幸せでない」と答える確率が20%低いんです。
幸せでないからSNSに走るんじゃ…と見る向きもありますが、ある調査で大学生を2週間調査し、スマホで1日5回そのときの気分とFacebook利用時間を質問してみたところ、FBを長く使った後に「幸せでない」と感じることはあるけれど、「幸せでない」と感じた後にFBを長く使うという行動パターンは観測できなかったのだそう。
SNSもオフも活発な子はそうでもないんですが、SNSが長くて人に会う時間が短い子は、リア充の友達ばかり眺めて暮らすため、「よく孤独を感じる」、「よく疎外感を抱く」、「よく友達が欲しいと思う」と答える確率が最大でした。「疎外感」を感じる学生の割合は2010年から5年間で女子は48%、男子は27%も増えており、SNS漬けの8年生のうつ発症リスクは28%高く、全学年でも電子端末を1日3時間以上使うティーンは自殺リスクが35%高いという結果です。
7) 自殺率が殺人率を抜く
それやこれやで2011年にはついに過去24年間で初めてティーンの自殺率が殺人率を抜きました。そんなに殺しが多かったんか!と別の意味で衝撃ですが、それほどまでに自殺はいま深刻な問題です。
今月頭には米疾病予防管理センター(CDC)が、2007年から2015年にかけてティーンの自殺率が女子で2倍、男子で3割増え、「過去40年で最悪レベル」と発表しました。7月末発表のサンディエゴ大学の最新調査では、Netflix春のメガヒットドラマ「13 Reasons Why(13の理由)」放映後、アメリカで自殺検索数が19%の増加を記録したことがわかっています。こんなことなどを受け8月24日にはGoogleがメンタル疾患の家族の会「NAMI」と共同で、「depression(うつ病)」とスマホで検索すると自殺予防の9つの質問がポップアップする新機能を導入しています。
昔は外をほっつき歩いて事故やドラッグやけんかに巻き込まれないかハラハラするのが親の役目でしたけど、今は人に会う時間をつくってやらないとメンタルが大変なんて…時代が変われば…ですね…。
Source: The Atlantic, Monitoring The Future, The Conversation, The Atlantic, CBS, FM TOKYO
(satomi)