IBMで最高マーケティング責任者を務めるミッチェル・ペルーソ氏は、人工知能とブロックチェーンの技術において同社は初期段階にあることを認めつつも、両技術の将来性にかけるだけの理由があると語る。同氏が米DIGIDAYのポッドキャストシリーズに出演した際の概要をまとめた。
人工知能とブロックチェーンがそれほど普及することはないだろうという予想もある一方で、業界の未来を担うと考える人は多い。IBMは、人工知能とブロックチェーンが業界を変えると予測し、技術におけるリーディングカンパニーとしての復権を目指している。同社はIBMブロックチェーンプラットフォームをはじめとする複数の技術を展開しており、同社が開発したワトソン(Watson)で人工知能の導入を積極的に進めている。IBMで最高マーケティング責任者を務めるミッチェル・ペルーソ氏は、こうした技術において同社は初期段階にあることを認めつつも、両技術の将来性にかけるだけの理由があると語る。
同氏は米DIGIDAYのポッドキャストシリーズ「メイキング・マーケティング(Making Marketing)」に出演し、次のように語った。「かつては投資1ドルあたりで85セントが効果的に使われていたが、いまでは35セント程度にとどまることもある。投資効果が下がりつつあり、ブランドがどのように表示されるか分かりづらくなっている状態だ。まだ技術自体は初期段階だが、ブロックチェーン技術を用いることでこうした問題を調整できるようになるだろう。これによりブランドセーフティを向上し、仲介者が不要となるため、投資を行おうとしているパブリッシャーやクライアントに渡る金額の割合が増える」。
11月第3週のメイキング・マーケティングでは、米DIGIDAYの編集マネージングディレクター、シャリーン・パサックがペルーソ氏に対し、IBMのマーケティングチームの再編成や、ブランドとの目的に沿った協調などについて訊ねた。以下にインタビューのハイライトとなる部分を記載する。
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ブランドには目標と、さらなる努力が必要だ
「ブランドの目標と価値について語る企業は多い。現代ほど目標と価値が必要とされる時代はないだろう。それはクライアントや消費者が求めているからではなく、我々の決定が社会に影響を及ぼすからだ。人工知能をどのような人間が訓練しているのか、さまざまなデータセットをどのような人間が保有し、どのように管理しているのかといった要素がおよぼす影響は大きい。こうした要素がクライアントや消費者にとって重要なことに疑いの余地はない。政府や宗教、さらにはNPOなどの組織の信頼が取りざたされる時代にあって、ブランドは目標を定め、それを遵守するためにさらなる努力が求められる」。
マーケティングにおいて縦割りは通用しない
「マーケティングに関して、当社は以前、縦割りのシステムを作り上げていた。検索連動型広告やeメールマーケティング、その他の広告展開などだ。これはチャネルをベースとしていたが、カスタマーの人生はチャネルに縛り付けられているわけではない。IBMにせよテレビにせよ、カスタマーは単一の体験を求めているということはないし、IBMによる検索連動型広告が良いということもない。だから当社は2年前にマーケティング全般において速度を重視する方向に舵を切り、その道のプロや業界、オファーごとに迅速に対応できるチームを作り上げた。このチームはコンテンツのマーケター、ソーシャルメディアのマーケター、ペイドメディアの専門家、イベントの専門家、商品のマーケターから構成されている。彼らは毎日同じ職場で、当社のセキュリティ製品を最適な売り方ができるようにマーケターに協力したり、IBMのポートフォリオ内における最適な財務サービスを導き出したりしている。検索連動型広告の担当者が孤立して仕事をするといった状況は発生せず、チームは当社が求める結果のために結束している。以前はひとりの社員が『9万のクリックスルーを達成した』、別の社員が『eメールの開封率50%を達成した』と、まったく異なる指標をかかげていた状態だった。私たちのチームは効率性を追い求めている。迅速に対応できるチームと専門家たちが存在している。そして必ず自分自身ではなく、当社の財務システムが承認した投資に帰結するようになっている」。
IBMのような企業は人工知能と、そのための備えが必要だ
「人工知能によって、カスタマーのことがより良く理解できるようになる。ソーシャルメディアでのプロフィールについて把握が進むし、チャットボットや音声認識によってカスタマーの意図が汲み取りやすくなる。マーケターの前に広がるデータの海はあまりにも広大で、その業務は困難になる一方だ。だから人工知能の手助けが必要となる。もちろん、いまは取り組みの初期段階だが、当社の業務はこれから人工知能をとり入れたものとなり、そして人工知能によってさらにその形態は変わっていくだろう。この職務のこれからの行く末を知りたいと願う情熱あるマーケターは、学びはじめる必要があるだろう。いまは学び続けなければならない時代だ。業務のありかたは変わっていく。だから再学習が必要なのだ。IBMは、すべてのマーケターのために必要な集中学習コースを用意している。私たちは常に向上し続けなければならないのだから」。
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Aditi Sangal(原文 / 訳:SI Japan)