ウォルマートは、いかに新会員プログラムを広めているか?:利便性訴求で、価格重視のAmazonと差別化

ウォルマート(Walmart)による待望のメンバーシッププログラム、ウォルマートプラス(Walmart+)のデジタル広告は、買物の頻度によって、その内容を最適化させているようだ。

9月第2週、米リテール最大手の1社、ウォルマートは新プログラムの宣伝を開始した。9月15日から導入されるこのプログラムは、Amazonが長らく展開するメンバーシッププログラム、Amazon Prime(プライム)に対するウォルマートからの回答だ。広告は地上波、HGTVやFood Network(フードネットワーク)などのケーブルTVチャンネル、そしてHulu(フールー)といったOTTで流れることになる。

「各オーディエンスセグメントに対して、ウォルマートへの関心度に最適化されたメッセージを発信していく」と、CMOウィリアム・ホワイト氏は語る。「ごくたまの買い物しかしない顧客なのか、それとも複数のチャネルで買物をし、すでにBOPIS(ボピス:店頭受取サービス)も利用している熱心な顧客なのかなど、それぞれのタイプを考慮し、我々が提供できることを余すところなく伝えていく」。

ウォルマートの狙い

顧客のタイプに合わせて広告内容を変えるこの戦略は、既存の顧客データを活用して、ウォルマートプラスの潜在顧客の引き上げと、サブスクライバー増に貢献するだろう。

同社はFacebookやインスタグラム、Pinterest(ピンタレスト)といったプラットフォームに広告を配信する、パフォーマンスマーケティングプログラムをはじめ、さまざまなチャンネルを利用して新規サブスクライバー獲得を目指していくという。ウォルマートプラスの目標サブスクライバー数、今回の立ち上げに投入する広告費、そしてこの新規プログラムに割くメディア費の割合の具体的な数字は明かされていない。

マーケティングリサーチ会社のカンター(Kantar)によれば、2019年、ウォルマートのメディア支出は6億3000万ドル(約660億円)だった。ただし、ソーシャルメディア費はカンター(Kantar)の調査対象外であるため、この数字に含まれていない。

テレビCMはAmazonとの差別化を意識

また今回、広告コミュニケーションの選択肢を広げるため、ウォルマートはウォルマートプラスの導入前に22の家族にこれを試験的に利用させ、その様子をモニタリングした。「我々は、クリエイティブを豊富に取り揃えることにも注力した」とホワイト氏。「それぞれのオーディエンスに最適な広告メッセージを絞り込めている」。

ウォルマートは多種多様なメッセージでサブスクライバー増を狙っている。だが一方、テレビCMでは価格面でのお得感ではなく、当日配送といった利便性を前面に押し出していくという。そこがAmazon Primeの広告に対するAmazonの姿勢との「重要な違い」だと、eコマースコンサルティング会社ワンダーマン・トンプソン・コマース(Wunderman Thompson Commerce)のマーケットプレイスサービス部門エグゼクティブVP、エリック・ヘラー氏は指摘する。「Amazon Primeは間違いなく、価格で押す販促プログラム。差別化を行う必要がある」 。

強力なCRM戦略

また、顧客がウォルマートプラスに加入したら、きわめて強力な顧客関係管理(CRM)戦略を用い、それら新規サブスクライバーの維持に努めていくと、ホワイト氏は語る。今回の広告は「人々をトライアル状態から正式にウォルマートプラスに迎え入れる」ためだけでなく、トライアル中の「解約防止」に繋がる、適切なメッセージとしても機能させたいという。

「予測モデルを利用し、キャンセルするかもしれない人々のエンゲージメント率を再び高め、キャンセルした場合には再加入を促せるよう、万全を期している。このプログラムを成功させるために、全体に目を配り、細部にまで気を配っている」。

米DIGIDAYの姉妹メディア、モダン・リテール(MODERN RETAIL)が以前報じたとおり、ウォルマートは現在、顧客保持にフォーカスしており、今回のメンバーシッププログラムは顧客増に繋がるはずだと、専門家らは見ている。

とはいえウォルマートは、この新メンバーシッププログラムの導入および宣伝をはじめたばかりだ。AmazonのPrimeプログラムが長らく独占状態にあるなか、ウォルマートの挑戦は「人々にとって、より良いプログラムの創造につながるだろう」とヘラー氏は強調する。「現在Amazonには、この分野にライバルといえる存在がいないが、市場競争が激しくなれば、Amazon Primeのプログラムの品質もさらに向上するだろう」。

[原文:How Walmart is advertising its new loyalty program, Walmart+

KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:村上莞)