ティトズ・ハンドメイド・ウォッカ(Tito’s Handmade Vodka)は、15万人以上存在する各ソーシャルのフォロワーからの反応を、「スプラウト・ソーシャル(Sprout Social)」というプラットフォームで一元対応している。それぞれの投稿に対する処理時間を22%短縮し、フォロワー数も45%増えた。
テキサス州オースティンで製造されている「ティトズ・ハンドメイド・ウォッカ(Tito’s Handmade Vodka)」は、おしゃれなバーの棚に並んでいるだけでなく、ソーシャルメディアのフィードの至るところに存在している。
ソーシャルマーケティングやブランデッドコンテンツに注力してきた同ブランドだが、TwitterやFacebookで実践していることの多くは、顧客サービスとエンゲージメントに根ざしたものだ。そうした姿勢は、最初から変わらない。
「我々の取り組みは、昔からほぼ同じままだ」と、チトーズ・ウォッカのブランドマーケティング担当バイスプレジデント、ニコール・ポートウッド氏は語る。「ソーシャルを使いはじめたのは、顧客サービスのツールと見なしたから。パブリッシングツールとして使いはじめたのは、ごく最近のことだ」。
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同ブランドにとって、ソーシャルメディアは顧客サービスツールとして特に重要だ。顧客からの質問の80%をソーシャルメディアで対応しているだけでなく、米国各地のバーテンダーやミクソロジスト(創作カクテルを追究するバーテンダー)、卸業者とつながる手段としてもソーシャルメディアを活用している。たとえば、ボストンに拠点を置くレストラン「ヘンリエッタズ・テーブル(Henrietta’s Table)」がティトズ・ウォッカを含むカクテルレシピをツイートしたとき、ソーシャルチームがそれをリツイートした。
「投稿者全員と個人的に話しているということだ」と、ティトズ・ウォッカでウェブソーシャルメディアコーディネイター、ケイティ・ゲルハウゼン氏は語る。「現在は、顧客がブランドをソーシャル上で友達のように扱うことが習慣になっているので、それをうまく利用することが重要だ」。
Two Sodas: 祖父はウォッカ通で、いまはティトズを飲んでいる。
Titosvodka:素晴らしい選択ですね!
Two Sodas:クーポンかサンプルは使える?
Titosvodka:「ティトズ・テイスター(Tito’s Taster)」にサインアップすると、特別割引を1年間利用できます。
フォロワー15万人に2人で対応
だが、Twitterは5万人、Facebookは6万5000人、インスタグラムは4万5000人近くのフォロワーを擁するティトズ・ウォッカ。すべてのクエリーに対応するのは至難の業だ。おまけにブランドのソーシャルチームは、メンバーがたったの2人。TwitterやFacebook、インスタグラムに毎日ざっと目を通してファンに対応するだけでなく、コンテンツも監督している。
とはいえ、少人数のチームであっても、ソーシャルメディアでの顧客サービスプロセスを合理化する方法を見つけた。現在、「スプラウト・ソーシャル(Sprout Social)」というプラットフォームを活用して、トレンドの監視や、発言の一貫性の維持、オーディエンスとの対話を実行しているという。
たとえば、スプラウト・ソーシャルの「スマート受信箱(Smart Inbox)」機能を使い、寄せられたコメントすべてをまとめて一元管理。また、「会話履歴(Conversation History)」機能により、顧客との過去のやり取りを迅速に呼び出し、対話の続きをはじめることもできる。さらに、ハッシュタグ、感想、カクテルやウォッカといった関連トピックスなど、複数のパラメーターを適用し、ブランドに関連する会話を絞り込んで追跡することも可能だ。

「スプラウト・ソーシャル」に設置されたティトズ・ウォッカのダッシュボード
「1時間に10件以上の質問が寄せられ、1日では数百件にもなる」と、ゲルハウゼン氏。「これらの機能は本当に役立っている。おかげで我々は、返答するペースを早めて、当ブランドに関する会話を確実に拾い上げられるようになった。たとえ我々が直接タグ付けされていない場合でも、見落とすことはない」。
さらにティトズ・ウォッカは、ソーシャルのキーワードや顧客とのやりとりを利用して、ほかのマーケティング活動にも情報提供。スプラウト・ソーシャルの「ブランドキーワード(brand keywords)」を使い、業界のトレンドやカクテルの味に関する特徴をモニターし、四半期ごとにカクテルレシピを考案して、さまざまなマーケティングチャネルで配信したりしている。たとえば、最新のカクテルレシピは、秋についてソーシャル投稿するフォロワーにヒントを得て、秋のフルーツやスパイスを加えて独自にアレンジしたモスコミュールだ。
対応時間の短縮で好循環
ティトズ・ウォッカがこれらの施策を実施したことで、フォロワーへの返答に要する時間がこの1年間で22%短縮されたと、ポートウッド氏は語る。ソーシャル分析企業アンメトリック(Unmetric)がまとめたデータによると、ティトズ・ウォッカは、全ツイートの55%超に1時間以内に対応し、その日のうちに大多数のツイートに返信しているという。
これは「グレイグース(Grey Goose)」「アブソルート(Absolut)」「ベルヴェデール(Belvedere)」など、より大きな競合よりも素早い対応だ。Twitterでの機敏な対応は、オーガニックなフォロワー獲得にも貢献し、この4カ月間でフォロワー数は46%増加している。
多くのブランドは、顧客サービスへのニーズに応えるため、自動化されたチャットボットを導入している。だが、ティトズ・ウォッカは当面、チャットボットに頼る気はない。ソーシャルメディアが登場する前は、創業者のバート・ティト・ベバリッジ氏が自ら先頭に立ち、昔ながらの口コミでブランドを広めてきた。ゲルハウゼン氏によると、ボットに頼ってしまうと、ブランドとファンとの親近感が損なわれるという。
「人間らしく、親しみやすいことこそ、我々の本分だ」と、ゲルハウゼン氏。「それに、絵文字を使いたくても、ボットだとかなり不自然になるだろう」。
Tanya Dua(原文 / 訳:ガリレオ)