TikTok(ティックトック)にリテーラーが大挙して押し寄せている。米人気カジュアルブランド、オールド・ネイビー(Old Navy)からウォルマート(Walmart)、スーパー大手のクローガー(Kroger)のショッパブルキャンペーンに至るまで、大小リテーラーがこぞってTikTokの流行に飛び乗っているのだ。
ソーシャルメディアの次なる目玉と騒がれたTikTok(ティックトック)。そこにリテーラーが大挙して押し寄せるには、長くはかからなかった。
米人気カジュアルブランド、オールド・ネイビー(Old Navy)からウォルマート(Walmart)、スーパー大手のクローガー(Kroger)のショッパブルキャンペーンに至るまで、大小リテーラーがこぞってTikTokの流行に飛び乗っている。
各社のTikTok活用事例
戦略はさまざまだ。いくつかはクリエイターを擁するTikTokチャレンジを活用。たとえば、ウォルマートはショッパーに#SavingsShuffleへの参加を促した。これはインフルエンサーが牽引するキャンペーンで、その結果、ルーファースポンジなど、同社が扱う低価格商品の素晴らしさを讃えるダンスの数々がプラットフォームに投稿されている。
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販促意図をより明白に打ち出しているところもある。たとえば、オールド・ネイビーは公式TikTokページを設け、3万人のフォロワーを獲得しており、2019年秋の新学期シーズンに実施したバック・トゥ・スクール(back to school:学校へ戻ろう)キャンペーン以来、ハッシュタグチャレンジと並んで動画広告も載せている。
これらがいずれもTikTokインフルエンサーのコミュニティに依存している一方、クローガーは2019年8月、#TransformUrDormキャンペーンで独自のeコマース戦略を立て、ユーザーがクリックひとつでクローガーのサイトに飛び、学用品を購入できるようにした。
TikTok施策はまだ幼年期
最近の報告によれば、こうした成功事例を模倣した小売戦略を策定する企業がほかにも複数現れている。ただし、TikTokマーケティングという流行への便乗が長期的なフットトラフィック増に繋がるか否かは、現段階では何ともいえない。ベンチャーキャピタル、クラフト・ヴェンチャーズ(Craft Ventures)を率いるブライアン・ゴールデンブラット氏は、目下のところ、TikTokはあくまで、デジタル広告の拡大を目指すリテーラーにとっての最新プラットフォームに過ぎないという。
「TikTokに限らず、新たなプラットフォームが登場すれば必ず、リテーラーはいち早く活用したいと考える。迅速な行動が良い結果に繋がることは、歴史的に証明されている」と、ゴールデンブラット氏は語り、例としてレディット(Reddit)とTwitterの活用を挙げる。
実際、TikTok上でのマーケティングはまだ幼年期であり――同社はようやくアドプロダクトをいくつか備えたところで、専任チームはいまだ成長過程にある――ブランドもリテーラーも依然、いわゆる「オーガニック」マーケティングにフォーカスし、コンテンツとコンバージョンの相関関係を重視している。これはつまり、即時販売の必要性に囚われないブランドアウェアネスの創造を意味する。
米・百貨店メイシーズの考え方
「ユーザーのエクスペリエンスを邪魔することなくトレンドに乗ること。それが、こうしたマーケティングに対する我々の姿勢だ」と、米大手百貨店メイシーズ(Macy’s)のソーシャルパブリッシング部門シニアディレクター、ランディ・ローゼンフェルド氏は語る。2019年秋のバック・トゥ・スクール・キャンペーンが上々の成果を挙げたことを受け、2020年度はこのアプローチをさらに推し進めていくという。
「メイシーズのブランデッドページを作るよりもむしろ、ハッシュタグを使ったミュージックチャレンジに参加するほうが得策と考えた」と、ローゼンフェルド氏はふり返り、その一番の理由として、オーガニック感を挙げる。同キャンペーンではクリエイティブエージェンシー、メジャー・ビヘイビア(Major Behavior)の力を借り、TikToker(ティックトッカー)に3つのカテゴリー――ファッションアイテム、美容グッズ、学生寮の部屋を彩るインテリア小物――に属するメイシーズでの最近の購入品を自慢するよう促した。同氏によれば、メトリクスは明かせないが、#AllBrandNewハッシュタグに対するTikTokユーザーの反応が総じて良かったため、今後数カ月にわたり、TikTokをさらに活用していくという。
TikTokは「小売業界にとって、旬の場のひとつ」と、ローゼンフェルド氏は評する一方、メイシーズは依然、同プラットフォームでのマーケティングを試行用予算の範囲内に留めている、とも語っている。
Gabriela Barkho(原文 / 訳:SI Japan)