個人向けオンラインショッピングサービスを提供するStitch Fix(スティッチフィックス)が画像共有SNSのPinterest(ピンタレスト)とタッグを組んだ。
同社のCEO、カトリナ・レイク氏によって2011年に設立されたStitch Fixは、アルゴリズムとユーザーが登録したファッションの好みや服のサイズの情報などを組み合わせ、その組み合わせた情報をもとにプロのパーソナルスタイリストが顧客が好みそうな衣類やアクセサリーの新商品を配送してくれる。そして、ユーザーは購入したい衣類やアクセサリーだけを購入し、不要な衣類は無料で返送することができるのだ。Stitch Fixによると、同社はすでに数百万個ものパッケージ(Stitch Fixでは『Fixes』と呼んでいる)を発送していて、最近ではベータ版としてメンズウェアでの試験も始めているという。
セフォラ(Sephora)の元CMOであり、現在はStitch Fixの最高執行責任者(COO)であるジュリー・ボーンスタイン氏は、Stitch Fixは顧客の心をがっちりつかんだと話している。これは、本人が言葉でスタイリストに好みのファッションを伝えるよりも、画像などの視覚的要素を使ってデジタルに伝える方が簡単であるからだという。
パーソナライズされた通販サービスを提供しているStitch Fix(スティッチフィックス)は、画像共有SNSのPinterest(ピンタレスト)と連携した。
現CEOであるカトリナ・レイク氏によって2011年に設立されたStitch Fixは、ユーザーが登録したファッションの好みや服のサイズなどの基礎情報とアルゴリズムを組み合わせ、そこから抽出された情報をもとに、スタイリストがユーザーの好みそうな衣類やアクセサリーを配送してくれるサービスだ。そのなかからユーザーは、気に入ったアイテムだけを購入し、不要なものは無料で返送できる。Stitch Fixによると、すでに数百万個ものパッケージ(同社では「Fixes(フィクシーズ)」と呼んでいる)を発送しているだけでなく、ウイメンズオンリーのサービスだったが、最近はベータ版としてメンズ向けの試験もはじめているという。
セフォラ(Sephora)の元CMOであり、現在はStitch Fixの最高執行責任者(COO)であるジュリー・ボーンスタイン氏は、同社は顧客の心をがっちりつかんだと語る。これは、本人が言葉でスタイリストに好みのファッションを伝えるよりも、画像などの視覚的要素を使ってデジタルに伝える方が簡単であるからだという。
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ファッションアイデアを提供
「スタイルやファッションには、それぞれの微妙な差異やニュアンスがある。言葉で伝えようとしても、人によっては意味が異なる場合もある」と、ボーンスタイン氏。「今後は、顧客が店舗でスタイリストに自分の好みについて説明することもなくなり、すべてデジタル上で行われるようになる」。
ここでPinterestが登場する。新たなユーザーがStitch Fixに登録すると、体型、好きな色、嫌いな色、好きな模様、いつものファッションスタイル、職場の服装規定や、ファッションへの意欲など、まずは長い質問に答えなくてはならない。そして、BOHO(ボヘミアンとニューヨークのソーホー地区を掛け合わせた造語)、クラシック、プレッピー、グラマラスなど、それぞれのテーマに沿った写真を見て、どう感じたかを回答する。最後に、ユーザーが好むファッションスタイルの写真をリンク付けするのだ。ちなみに、写真のリンクは後で行っても良い。
「我々のPinterestボードへの写真投稿はとても多い」と、ボーンスタイン氏は語る。「インスピレーションを共有するための最適な方法だ。すでに人々はPinterestの投稿写真からファションアイデアを得ていて、Stitch Fixでも同様にファッションアイデアを得ている」。
Pinterestで「Stitch Fix」と検索すると、膨大な検索結果が表示される。検索結果のトップページには700枚以上の写真が投稿されていて、多くの投稿写真には「Stich Fix! お願いだからこれを入れて! とても気に入っているの!」などのコメントが書かれているのだ。Stitch FixのPinterestアカウントには、約51万1000人のフォロワーが存在する。
Pinterestとの関係性
ボーンスタイン氏によれば、Stitch FixはインスタグラムやLinkedInなど、Pinterest以外のソーシャルプラットフォームとの共有も受け入れているが、本命のプラットフォームはPinterestだ。また、同社とPinterestの関係性が「無料」で成り立っているため、お互いに有益な関係性を築けているとも話している。これは、Stitch Fixがユーザーに「ボード」の作成を促すことで、Pinterestがエンゲージメントを獲得できるからだ。そしてStitch Fixのスタイリストは、Pinterestからユーザーのファッションインサイトというデータを得ることができる。
ファッションスタイルのような制限や決まりのない何かを明確に分類分けできるPinterestの能力を利用することで、Stitch Fixがユーザーの生活を楽にすることができると、ボーンスタイン氏は信じている。
「現在、顧客には多すぎるほどの、さまざまな選択肢が提供されている」と、ボーンスタイン氏。「オンラインでの買い物は時間がかかり、インスピレーションもいろいろな場所から得られるため、圧倒されて参ってしまう。これらを少しでも解決したいと我々は考えている」。
通常のECサイトとは異なる狙い
ほかの小売企業とは異なり、Stitch FixがPinterestで成功したのは、ユーザーがピンした商品を売ろうとしていないからだ。米コンサルティング企業、ヴィヴァルディ・パートナーズ・グループ(Vivaldi Partners Group)のシニアコンサルタント、クリスタル・スペンス氏はStitch Fixが成功している理由を、ユーザーがPinterestで魅了されたものを現実世界に届けているからだという。
「Pinterestにはユーザーの活発なエンゲージメントがあるため、Stitch Fixは本質的にはファッションスタイルを販売していることになる。ユーザーが良いと思った洋服やアイテムのパッケージが彼らの手元に届いた際、自らが求めたファッションコーディネートやアイデアが箱に詰まっているため、受け取ったときの嬉しい体験を提供することができている」。
しかし現在、Stitch Fixはメンズウェア部門を2016年の秋に発足させようと計画しており、Pinterestから離れる動きを見せている。男性は女性のようにPinterestを多用しないからだ。2015年8月にリリースされたピュー・リサーチ・センターの調査によると、インターネットを利用する女性の44%がPinterestを使用しているが、男性は16%ほどしかPinterestを使用していないという。Stitch Fixはメンズウェア部門も発足させようとしているが、Pinterestに頼ったソーシャル戦略は使えないようだ。
「男性はPinterestを使用しない。男性向けに、何か新しい方法を考えなくてはならない。さまざまな層に幅広く対応していくため、男性がファッションに興味をもっていると憶測してはならない」と、ボーンスタイン氏はコメントした。
Hilary Milnes(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Stitch Fix Pinterest