この数年間で、eコマースショッピングは飛躍的に成長し、小売企業は当然のことながらデジタルマーケティングやオンラインフルフィルメントに多額の投資を行ってきた。しかし、配送コストが上昇し続ける現状において、小売企業はより多くの人々に対して、ホリデーシーズン直前のショッピングを店舗で行うように働きかけている。
小売企業はこれまで、ホリデーシーズンには、配送の締め切りを設定し、注文した商品をクリスマスまでに受け取るには、いつまでにオンラインで注文する必要があるかについて、顧客に通告するのが常だった。この期限が過ぎると、注文し損ねた人々に実店舗での購入を勧めていた。しかし今年は、多くの人々に実店舗でショッピングをしてもらうことが、これまでになく重要になってきた。多くの人々がホリデー直前に実店舗でショッピングすれば、小売企業は配送コストを節約できるだけでなく、人々がギフトを期限までに入手できることを保証できる。そのために小売企業は、ソーシャルメディアの投稿と広告を併用して、店舗で商品を引き取ることによりお金を節約できるとアピールしている。
実際のところ、宅配便の需要は、パンデミック以前の水準よりも高まっている。そのため今年は、たとえ送料を値上げしたとしても、小売企業が注文を期限までに配達することが、より困難で高価になっている。USPS(アメリカ合衆国郵便公社)は1月に平均一般料金を5.5%値上げし、なかでもUSPSリテールグラウンド(USPS Retail Ground)の価格は6.4%値上げした。一方、UPS(United Parcel Service)とFedExも今年に入って平均料金を6.9%値上げした。このように、小売企業がコスト削減と利益率改善を図るなかで、オンライン注文での送料無料は困難になりつつある。ウォールストリートジャーナル(Wall Street Journal)が最近報じたように、小売業者は送料無料にするための最低購入金額の基準を引き上げている。小売業界のインサイトを提供するナーバー(Narvar)によると、この金額は2019年には52ドル(約7700円)だったが、今年は64ドル(約9470円)に引き上げられた。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
この数年間で、eコマースショッピングは飛躍的に成長し、小売企業は当然のことながらデジタルマーケティングやオンラインフルフィルメントに多額の投資を行ってきた。しかし、配送コストが上昇し続ける現状において、小売企業はより多くの人々に対して、ホリデーシーズン直前のショッピングを店舗で行うように働きかけている。
小売企業はこれまで、ホリデーシーズンには、配送の締め切りを設定し、注文した商品をクリスマスまでに受け取るには、いつまでにオンラインで注文する必要があるかについて、顧客に通告するのが常だった。この期限が過ぎると、注文し損ねた人々に実店舗での購入を勧めていた。しかし今年は、多くの人々に実店舗でショッピングをしてもらうことが、これまでになく重要になってきた。多くの人々がホリデー直前に実店舗でショッピングすれば、小売企業は配送コストを節約できるだけでなく、人々がギフトを期限までに入手できることを保証できる。そのために小売企業は、ソーシャルメディアの投稿と広告を併用して、店舗で商品を引き取ることによりお金を節約できるとアピールしている。
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実際のところ、宅配便の需要は、パンデミック以前の水準よりも高まっている。そのため今年は、たとえ送料を値上げしたとしても、小売企業が注文を期限までに配達することが、より困難で高価になっている。USPS(アメリカ合衆国郵便公社)は1月に平均一般料金を5.5%値上げし、なかでもUSPSリテールグラウンド(USPS Retail Ground)の価格は6.4%値上げした。一方、UPS(United Parcel Service)とFedExも今年に入って平均料金を6.9%値上げした。このように、小売企業がコスト削減と利益率改善を図るなかで、オンライン注文での送料無料は困難になりつつある。ウォールストリートジャーナル(Wall Street Journal)が最近報じたように、小売業者は送料無料にするための最低購入金額の基準を引き上げている。小売業界のインサイトを提供するナーバー(Narvar)によると、この金額は2019年には52ドル(約7700円)だったが、今年は64ドル(約9470円)に引き上げられた。
店頭での購入者に対するリワード戦略
ファッション小売チェーンのフランチェスカズ(Francesca’s)はこの数年間、ホリデーギフトを購入できる最後の期間まで、ウェブサイトの訪問者に対して、12月25日までに商品を受け取るにはいつまでに注文する必要があるかを通告してきた。この期限が過ぎると、オーガニックマーケティングとペイドマーケティングを併用して、買い物客をブティックに誘導する方法に切り替える。この数年間は、SMS、eメール、ソーシャルメディアキャンペーン(有料広告を含む)を通じて、店頭での購入を勧めてきた。
同社は今年、直前での実店舗への訪問をうながすため、店頭で購入する顧客向けに、高率の割引を行うことを計画しているが、正確な割引率は明らかにしていない。この戦術はアンバサダープログラムと連動していて、シーズン後半には、アンバサダーがギフトガイドを宣伝するクリエイター主導のキャンペーンを実施する予定だ。
CEOのアンドリュー・クラーク氏は、このリワード戦略は、同社の顧客層がお買い得品を探している現在、実店舗での買い物を促すのに役立っていると語る。「我々のコア顧客にとって、現在の経済状況は厳しく、このホリデーシーズンも自由裁量の支出に対して慎重なことは明らかだ」と同氏は述べる。独自のプロモーションによって顧客の目を引くためには、ロイヤルティプログラムが有益だと同氏は付け加えた。「我々は顧客との長期的な関係構築に力を入れている。ロイヤルティと大規模なプロモーションの実験的なイベントによって、ギフトシーズンに顧客にとっての価値を生み出し、売上を促進できるだろう」。
店舗ネットワークをフルフィルメントに活用
一方で、クレートアンドバレルホールディング(Crate & Barrel Holding)は店頭でのフルフィルメントプログラムを構築し、発送の遅延によって注文を受け取れなくなる可能性を避けるため、地元の店舗に向かうよう推奨している。
COOを務めるマイク・ブルーワー氏は、商品を迅速に顧客に届けるため、同社の数多くの店舗をさらに活用したいと説明する。「店舗のネットワークは、当社で買い物をすることを望んでいる顧客の大多数にリーチできる」と、同氏は述べている。同社は米国内で78店舗、カナダで9店舗を運営している。オンラインで注文し、店頭で受け取る方法も採用しており、この数年間はすべてのブランドでローカルフルフィルメントを推進している。「すでに、店舗での受け取りや、店舗からの発送を行い、その地域の顧客に商品を届けている」。
ロジスティクスへの投資によって、配送の締め切り時期の改善を試みてはいるものの、ホリデーシーズンなどの繁忙期にそのギャップを埋めるためには、店舗でのフルフィルメントが役立つと、同氏は述べる。今年のホリデーシーズンにはマーケティング資料によって、商品を早く、送料なしで受け取りたい買い物客向けに、店頭で受け取るオプションについてメッセージで告知する。
卸売パートナーシップを駆使
その一方、若い小売ブランドもまた、新しい卸売パートナーシップを活用して、配送コストを削減するとともに、小売企業からの対面での購入を促進しようとしている。
eコマースのブランドのオーレート(Aurate)がこれまで1年でもっとも忙しい期間は、10月と11月という、顧客がホリデー前に注文をはじめる時期だった。しかし今年は、メイシーズ(Macy’s)や宝石類小売のヘルツバーグ(Helzberg)と最近締結した卸売契約のおかげで、より幅広い販売拠点を持つことになった。
創業者兼CEOのソフィー・カーン氏は、初めて全国をこれほど広くカバーしたことで、直前にギフトを買い求めることで生じる配送のボトルネックによるプレッシャーから解放されたと説明する。
「12月半ばになると、期限までに届かないのではないかという懸念から、人々はオンラインでの買い物を止める傾向がある」と同氏は述べる。そのため、注文が期限までに届くよう、直前での買い物は、たとえば地元のヘルツバーグ店舗に行くよう勧める。また、顧客がオンラインで注文したとき、ヘルツバーグが顧客の近くにある店舗に注文品を配送すれば、配達時間を短縮できる。
このオプションは、ブランドと顧客が、速達便に高額な料金を支払うのを避けることにも繋がる。オーレートがさらに多くの店舗で販売されれば、「オンライン配送を待つことなく、店舗で商品を買い求めるよう、メッセージで推奨できるようになるだろう」と、カーン氏は述べている。
利便性と価値の提供
インフレが多くの人々の予算にいまだ影響を及ぼしている状況で、小売は競争が激しい今年のショッピングシーズン全体にわたって、利便性と価値を提供しようとしている。そして、問題を解決するための重要な要素になるのが店舗だ。クラーク氏によれば、フランチェスカズのような小売企業は、実店舗を「このホリデーシーズンのギフトをすべて買えるショップ」として宣伝している。
[原文:How retailers plan to promote their stores for last-minute holiday orders]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Ivy Liu