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ホリデーの「駆け込み」需要、小売業者はいかに対応したか?

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2020年のホリデーシーズンには、例年以上にeコマースが盛り上がりをみせた。そんななか小売業者たちは、顧客へさらに買い物を促すための努力を行うと同時に、顧客からの注文によって商品配送の滞りを悪化させないようにできる限りのことを行った。

このことは、ほとんどの小売業者にとって、「オンライン購入・店舗受け取り」やギフトカードの購入といった当日処理のオプションを利用してもらうために、クリスマス直前の買い物客に対して特別なインセンティブを提供することを意味する。たとえば、ベッド・バス・アンド・ビヨンド(Bed Bath&Beyond)とJCペニー(JC Penney)はそれぞれ「オンライン購入・店頭受け取り」注文に20%と10%の値引きを提供していた。一方、ノードストローム(Nordstrom)は、300ドル(約3万1150円)分のデジタルギフトカードを12月26日までに購入すると50ドル(約5190円)分のクーポンがもらえるキャンペーンを宣伝。アディダス(Adidas)のウェブサイトは「50ドルのeギフトカードを40ドル(約4150円)で即日配信する注文はまだ受付中」との宣伝を載せていた。

直前であってもクリスマスに間に合うように商品を発送したいと思っている場合は、費用がかかることになる。ギャップ(Gap)は、同社のウェブサイトで、顧客が12月24日までに商品を受け取るためには、太平洋標準時間の12月22日午後12時までに優先配送を利用して注文を行う必要があり、22ドル(約2284円)の配送料を支払う必要があると宣伝していた(ギャップの広報担当者が米DIGIDAYの姉妹サイト、モダンリテール[Modern Retail]に語ったところによると、ギャップは年間を通じて優先配送には配送料22ドルを請求しており、多くの店舗ではカーブサイド・ピックアップ、「オンライン購入・店頭受け取り」を提供しているという)。ウィリアムズソノマ(Williams-Sonoma)は、翌日配達を希望するクリスマス前日までの2日間の注文について、26ドル(約2700円)とギャップと類似の金額の配送料を宣伝している。

何カ月も準備を進めてきた

小売業者はこの時期に向けて何カ月も準備を進めてきた。毎年企業は、クリスマスに間に合わないタイミングで注文をしたがる人がいるという事実に対処しなければならない。しかし今年は、ホリデーシーズンにオンラインで買い物をする人が例年より多く、それが理由で出荷が記録的に遅れているという点で独特だ。フェデックス(FedEx)やUPSのような運送業者は、特定の小売業者から1日に受け取る荷物の数を制限するなど、配送遅延を抑制するための前例のない対策を講じてきた。

クリスマス直前まで買い物を遅らせていた顧客たちに対して、小売業者はできるだけ多くの注文・配送オプションを提供しようとしているが、配送遅延を生み出す難局は増大している。

ここ数カ月、小売業者はブラックフライデーのセール期間を延長し、11月中にさらに多くのセールを提供することで、クリスマスに向けた買い物を早く済ませてもらおうとしてきた。それでも、クリスマス前の最後の数日間に多くの買い物客が土壇場でオンライン・ショッピングをしようとし、小売業者と配送業者の両方を圧倒してしまうことを多くが恐れていた。「十分な数の消費者が早めに買い物をしてくれることで、ホリデーの終わりに(注文処理の)キャパを残せるかどうか、それが大きな問題だ」とリーバイス・アメリカ(Levi’s America)プレジデントであるマーク・ローゼン氏は12月モダンリテールに語った。

ギャップの最高執行責任者であるショーン・カラン氏は「このホリデーシーズンのピーク時には、出荷能力が重要な要素になることは何カ月も前からわかっていた」とモダンリテールに対しeメールで声明を出した。ギャップが出荷期限をどのように計算しているかについては具体的には語らなかったが、「当社の(時間に)正確な配送パフォーマンスは引き続き堅調であり、当社の複数の部門がこのホリデーシーズンに顧客に素晴らしい体験を提供することに尽力している」と述べた。

代替オプションにフォーカス

現在、こうした懸念が現実のものとなりつつあり、店舗は配送遅延を回避する最善の選択肢を見つけようとしている。小売業者がこの種の顧客に注文を届けるもっとも手っ取り早い方法は、「オンライン購入・店頭受け取り」を活用するか、インスタカート(Instacart)、シップト(Shipt)、ポストメイツ(Postmates)などの即日配送サービスを利用することだ。

オンライン購入・店頭受け取りを配送処理オプションとして追加する作業は、クリスマス前から始まっていた。eマーケター(eMarketer)のeコマース・アナリストであるアンドリュー・リップスマン氏はモダンリテールに対し、2020年春にパンデミックにおいて必要不可欠でないとみなされた小売業者たちの多くは、店頭での商品受け渡しを開始せざるを得なかったと述べた。それが商品を購入してもらうことができる数少ない手法のひとつだったからだ。

ターゲット(Target)、ウォルマート(Walmart)、ベストバイ(Best Buy)のような大規模小売店のほとんどは、何年も前からこの種のフルフィルメントサービスを提供していたが、ほかの小売店は慌てて対応しなければならなかった。ベッド・バス・アンド・ビヨンド、ウルトラ・ビューティ(Ulta Beauty)、リーバイス(Levi’s)などは、パンデミックのあいだに初めてオンライン購入の店舗受け取りや路上でのピックアップサービスを展開した。

小売業者はクリスマス商戦に向けて準備を進めるなか、さらに多くの商品受け渡し・配送オプションを提供しようと競い合った。ディックス・スポーティング・グッズ(Dick’s Sporting Goods)やベッド・バス・アンド・ビヨンドのように、インスタカートと即日配達契約を結んでいる店もある。ディックス・スポーティング・グッズのeコマース部門シニア・バイスプレジデントであるジョー・ピエトロポラ氏はCNBCに対し、同社はいずれもっと多くの店舗でインスタカートを使って即日配達を提供する計画だと語った(現在、同社が730カ所以上抱える店舗のうち、150カ所でインスタカートを使ったサービスを提供しているが、ホリデーシーズンに向けてローンチは早められた)。

「20ドル以上の追加は、可能性を失う」

現在では、小売業者が新しい配送処理オプションを追加するには遅すぎるため、配送が必要な商品の代わりにギフトカードを購入してもらったり、即日での受け取りが可能なオンライン購入・店頭受け取りにしてもらったりするためのインセンティブを提供しようとしている。これらのオプションを持っていない業者たちは、顧客が急ぎの配送のためにより多くのお金を支払ってくれることを願うしかない。

「何人の消費者が20ドル(約2075円)の送料を払っても良いと考えるか」とリップスマン氏は問いかけた。「平均して30ドル(約3113円)から50ドルのギフトを受け取るのに、20ドル以上の送料をそれに上乗せして払わなければならない場合、その買い物をする可能性は低くなる」。

[原文:How retailers are dealing with procrastinating shoppers

Anna Hensel(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)