カーブサイド・ピックアップなどのローカライズされたフルフィルメントオプションは、小売業者がオフラインとオンラインの両方で顧客を獲得するための戦略として、ますます重要な部分を占めつつあり、 Google のような広告プラットフォームもこれに注目している。
こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります
カーブサイド・ピックアップなどのローカライズされたフルフィルメントオプションは、小売業者がオフラインとオンラインの両方で顧客を獲得するための戦略として、ますます重要な部分を占めつつあり、Googleのような広告プラットフォームもこれに注目している。
Googleは過去数年間にわたって、小売業者のローカライズされた広告キャンペーンにより的確に対応できるよう、検索とそれに伴う広告スイートを拡充させてきた。テック企業であるGoogleがローカル在庫広告を最初にはじめたのは2014年だが、この1年間でいくつかの新しい機能を追加した。このプログラムにより、ブランドは自社商品や、店舗在庫、フルフィルメント情報を表示し、Googleで検索している近くの買い物客にリーチすることができる。機能拡張の一環として、この夏にGoogleはGoogleマップ・ショッピング機能を展開した。クローガー(Kroger)などの小売業者は、近隣の商品が在庫状況を表示するためにこの機能を使用した。
Advertisement
ローカライズ検索の商機
現在Googleは、より多くの大手小売広告主を呼び込むため、これらのローカライズされた検索広告を調整している。その結果、多くの店舗を持つペトコ(Petco)、マイケルズ(Michaels)、コールズ(Kohl’s)などの小売業者は、このアップデートされた検索ツールを多用しはじめるようになった。これらの小売業者は、Google検索が買い物客に広く浸透していることから、Googleのローカライズされたショッピング形式に傾倒している。Googleのウェブエンジンは、米国の消費者の商品検索市場で46%のシェアを持っている。そして、Googleはいくつかの大手小売業者とのあいだで検索およびショッピング広告のパートナーシップを増やし続けている。
Googleの販売担当バイスプレジデントを務め、検索や広告の戦略について小売業者との共同作業に従事しているヨッヘン・ヘック氏は、同社の広告サービスにおける変更は、より多くの消費者が買いたい商品をオンラインで探しはじめるようになったという、消費者の変化に従ったものだと語る。「検索によって、オンラインでの体験がオフラインでの購入に影響を与えることがわかってきた」とヘック氏は述べる。Googleのデータによると、2021年のホリデーシーズンに、米国の消費者の52%が、店舗に向かう前に商品の在庫があるかどうかをチェックしていることがわかっている。「そこで我々は最近、近くの小売業者に商品の在庫があることを示す『在庫あり』フィルターをリリースした」。
Googleは11月、Google広告(Google Ads)のインサイト・ページをアップデートし、小売業者がより簡単に検索トレンドを参照し、スマートショッピング(Smart Shopping)やパフォーマンス最大化(Performance Max)などの自動化されたキャンペーンの告知に使用できるようにした。これらのツールは、特定の商品に対する需要増大を捕捉しようと考えている広告主を対象に、2021年のホリデーシーズンから開始された。
コールズは、これらのローカライズされた機能の多くを活用してきた小売業者のひとつだ。コールズが2020年3月に自社店舗を閉店したとき、同社はGoogleのパイロットプログラムに参加し、カーブサイド・ピックアップ・アノテーション(商品結果の横に表示される、どの商品がピックアップ可能かを示すタグ)を実装した。コールズはこの間、アスレジャーやビューティーなどのトレンドのカテゴリーに、ローカル広告やYouTubeキャンペーンなどのメディア支出を増やし、2020年3月の閉店から2週間後にカーブサイド・ピックアップを開始した。
同社のローカル在庫広告への投資と、徒歩でのトラフィックの増大や、コールズとセフォラ(Sephora)とのパートナーシップから、コールズの最新の売上高は増大した。同社の2021年第3四半期決算によれば、同社の既存店売上高は前年比で14.7%増加した。
小売業者はGoogleのローカライズされた在庫広告をどのように使用しているか
画材や工芸用品小売のマイケルズでマーケティングおよびeコマース担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるヘザー・ベネット氏は、オンラインとオフラインのプログラムをさらに結合することを試みていると、米モダンリテールに語った。「当社の顧客の多くは、ハイブリッドなショッピング体験を好んでおり、40%以上は店舗内でのショッピングの前にオンラインで当社を訪問している」とベネット氏は述べている。このため同社は、この1年間でGoogleの検索およびショッピングツールにさらに深く関与することになった。「これらのツールにより、マイケルズは動的なキャンペーンを通じて、顧客により良いサービスを提供し、顧客が希望する方法で商品を見つけてショッピングすることを支援できるようになった」。
ベネット氏は、マイケルズのもっとも成功した最近のキャンペーンのいくつかは、ローカライズされたハイブリッド・フルフィルメント・オプションに特化したものだと語っている。同氏は、マイケルズが2020年にGoogleでの商品リスト広告においてカーブサイド・ピックアップをプロモートした、米国で最初の小売業者のひとつだったと言及している。「当社のBOPIS(オンラインで購入して店舗で受け取り)キャンペーンは、現地で購入可能な在庫を表示したもので、当社のキャンペーンでもっとも高い成果をあげたひとつだ」と同氏は述べている。
ホリデーのショッピングシーズンが最高潮を迎え、マイケルズは、特に装飾品や家庭内エンターテイメントなどのカテゴリーで、顧客を好みのショッピングチャネルに誘導すべくキャンペーンを最適化している。クリスマス前の配送が締め切られた後、「ぎりぎりの時期に購入される商品について、現地店舗の在庫の販売に重点を移していく」とベネット氏は述べている。
在庫情報とショッピング機能の連携
ペトコでメディア転換担当バイスプレジデントを務めるジェイ・アルツシューラー氏は、同社もオムニチャネルビジネスで成長するためGoogleを使用してきたと語る。「当社はLIA(ローカライズされた在庫広告)を活用し、ペットのあらゆる健康とウェルネスに関するニーズについて、ペットの飼い主と、飼い主にもっとも近いペトコのペットケアセンターとをリアルタイムで結びつける」とアルツシューラー氏は述べている。「2021年を通して、LIAは当社が新しい顧客を獲得する取り組みにおいてもっとも成功した手段のひとつだった」。
ペトコは、自社のLIAによりGoogleのカーブサイドと即日受け取り機能を展開した最初の広告主だ。「この広告形式はペトコのeコマースビジネスに重要なものとなった。ペトコの顧客の90%は、利用可能であれば即日配送か、オンラインで購入し店舗で受け取ることを選択する」とアルツシューラー氏は述べている。
今年のホリデーシーズンでも同社はローカライズされた広告の戦略を維持したと、アルツシューラー氏は語っている。「多忙なホリデーシーズンが近づくにつれ需要が増大することを理解している。シーズン後半にLIAで当社のプレゼンスを増大させ、利用可能ならローカルプロモーションを最大化するのが、当社の計画だ」と同氏は述べる。
今後1年間に、Googleは小売業者の在庫データベースを自社の検索およびショッピングプログラムに統合する作業をさらに進める。たとえばウォルマートは、ウォルマートプラス(Walmart+)をGoogleのLIAに統合し、近くのウォルマート店舗で購入可能な品目を検索している顧客にプロモーションするための作業を進めている。「当社は、小売業者が自社のモバイルアプリを各種のGoogleプロパティ間でプロモーションすることへの支援にも取り組んでいる」とヘック氏は述べている。
[原文:How national retailers are working with Google on localized shopping ads]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Google