インスタグラム、新しい「ショップ」タブを追加:ECプラットフォーム化が進む

インスタグラムは商品売買のプラットフォームとしての存在感を強めようとしている。そんななか、彼らはユーザーにショッピング目的でアプリを利用してもらおうと本腰を入れてきた。

先日、インスタグラムの「発見(explore)」に追加された新しい「ショップ(Shop)」タブからも、それは見て取れる(※「ショップ」タブは、日本でも本日[7月31日]から実装された)。ユーザーたちは、ビューティ、ホーム、トラベルなどのいくつかのカテゴリーから、ブランドやリテーラーが投稿した購入可能なプロダクト画像を見つけられる。インスタグラムチェックアウト(Instagram Checkout)機能(※日本では未実装)を使うと、ユーザーはインスタグラムアプリを離脱することなくプロダクトを購入ができるが、この機能が使えるプロダクトの場合は矢印で強調される。

小さな機能追加に思えるかもしれないが、ショッピングのためのプラットフォームとして進化しようとするインスタグラムにとっては重要な一歩だ。これまでは偶然プロダクトの投稿を見たユーザーによる衝動的な購入をするのが主な流れであった。企業による投稿や広告を通して、それまで知らなかったプロダクトやブランドを発見する、といった具合だ。

新機能追加の狙い

しかし、インスタグラム上での買い物を増やすためには、できる限り多くのユーザーたちにショッピング目的で使うアプリになる必要がある。そのための方策として、新機能の「ショップ」タブのように、インスタグラム上で新プロダクトやブランドを能動的にフォローできる機能を増やそうとしているのだ。チェックアウト機能を使える有名リテーラーを増やすことでショッピング体験も向上させようとしている。

これにはリスクも伴う。プラットフォーム上でのショッピングのプロモーションをやり過ぎたり、商品購入を容易にしなければ、これまで存在していたような衝動買いのユーザーたちを失う可能性がある。「ユーザーが自覚的にすでに持っているニーズを満たすためのプラットフォームというよりは、自分ですら必要だと気づいていなかったプロダクトを見つけるプラットフォームがインスタグラムだ」とピュブリシス(Publicis)の最高コマース責任者であるジェイソン・ゴールドバーグ氏は言った。

これまでのところ、インスタグラムはインスタグラムライブ(Instagram Live)、IGTV、チェックアウトといった最近の新機能に加えて、アプリ上のリテーラーやブランドによる広告を増やすことでショッピング要素を高めようとしてきた。チェックアウト機能がローンチされたときに導入したナイキ(Nike)、アディダス(Adidas)、ザラ(Zara)といったブランドに加えて、ここ数カ月だけでもターゲット(Target)セフォラ(Sephora)といった企業がチェックアウトを導入している。

Facebookは5月に、Facebookとインスタグラムでブランデッドストアをローンチする機能を企業向けに今後数カ月以内に展開すると発表した。これらのプラットフォーム上のストアではFacebookにおける典型的なビジネスページと比較してよりコマースに特化した機能が含まれる予定となっている。興味があるプロダクトを保存する機能やリテーラーやブランドによってキュレーションされたコレクションを閲覧する機能、といった具合だ。

今後の可能性

ソーシャルメディア上で行われる商品購入の数はパンデミックによって加速していることは特筆すべきだろう。買い物客は以前よりもスマートフォン上で費やす時間を増やしているからだ。コマースクラウド(Commerce Cloud)プラットフォームを使う企業からの購買データを集計するセールスフォース(Salesforce)の四半期ショッピング指数(Shopping Index)によると、第2四半期のソーシャルメディアアプリ経由での購買数は前年の同時期と比較して99%も増えている。

「店舗は再オープンしている。そして、レストランやショッピングセンターも再オープンしたところが増えてきた。それでも(ソーシャルメディア上で)費やされる時間と購買行為は高止まりしている」とセールスフォースのリテール部門、戦略・インサイト・シニアマネージャーであるミシェル・グラント氏は言う。

そのため、どのようにユーザーたちに購入するプロダクトを発見してもらうか、多くのオンラインプラットフォームたちが改善しようと躍起になっている。かっこいい新しいブランドを偶然見つける、というプロセスと比べるとインスタグラム上で購入するプロダクトを検索する方法としては、今回のショップタブはもっとも明確な手法のひとつだ。しかし、Amazonのような検索機能に重きを置いているコマースプラットフォームと比較すると、インスタグラムの検索機能はまだ、基礎的なものに留まっている。

先日の声明では今年中にショッピングをより可視化させる、ほかの方法を施行するとも述べた。最終的に「ショップ」タブを「発見」タブから独立させ、ナビゲーションへと追加する、といった内容だ。

「まだまだ十分ではない」

しかし「ショップ」タブがそれほどショッピングを促すかどうかについては、ゴールドバーグ氏は懐疑的だ。「良いスニーカーが欲しい、ターゲットが売っているキャンドルが欲しいといった場合に、インスタグラムがベストな場所ではないことは直感的に分かる」と述べる。

コマースに関してインスタグラムが取り組むポイントは、ほかにもあると彼は言う。チェックアウトのプロセスをよりスムーズにすることがその一例だ。プロモーションコードを入力できる場所を追加する、リテーラーと協力してプロダクトの出荷予定を正確にする、などだ。さらに、チェックアウトを活用するブランドを増やし、ショッピング経験を可能な限り簡単にすることで、ユーザーによる衝動的買いを増やすことができるだろう、とゴールドバーグ氏は言う。

「衝動買いをするとき、イライラを感じて購入自体を取りやめてしまうようなことはよくある。(それを防ぐための)機能改善はいくつか行われているが、まだまだ十分ではない」とゴールドバーグ氏は語った。

[原文:How Instagram is trying to make shopping more visible

Anna Hensel(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)