卸売のみのビジネスとして開始したジュエリー企業のゴルジャーナ(Gorjana)が、実店舗におけるリテールに取り組みはじめて4年になる。実店舗リテールに大きく移行したいまでは、売り上げの80%がオンラインもしくは実店舗におけるD2Cとなっている。実店舗とオンラインの割合は明かさなかった。
卸売のみのビジネスとして開始したジュエリー企業のゴルジャーナ(Gorjana)が、実店舗におけるリテールに取り組みはじめて4年になる。
卸売ビジネスが結ぶパートナー関係は一般的には、歴史の浅い企業がブランド認知を獲得し、売り上げを伸ばす助けとなるが、顧客がプロダクトとどう関わるかの体験をブランドが保持できないのが通常だ。往々にして、デジタルネイティブの企業たちは、顧客と直接繋がり、自分たちのブランドのストーリーのコントロールを保つために、eコマースサイトや実店舗ロケーションを自社で保有する。3年前、ゴルジャーナの売り上げの90%は卸売チャンネル、そして10%のみがD2C(Direct to Consumer)からだった。実店舗リテールに大きく移行したいまでは、売り上げの80%がオンラインもしくは実店舗におけるD2Cとなっている。実店舗とオンラインの割合は明かさなかった。
「顧客体験はブランドにとって差別化の大きな要素だ。プロダクトのみで差別化はできない。実店舗リテールとデジタル上の存在の組み合わせを有することで、消費者はパーソナライズされた複数チャンネルでの体験を得ることができる」と、ソフトウェア企業レッドポイント・グローバル(RedPoint Global)の最高マーケティング戦略責任者であるジョン・ナッシュ氏は語った。
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資金調達せずに黒字化へ
2004年に創立され、ゴルジャーナは小さなブティックやリテーラーに卸すことからビジネスを開始し、2014年にロサンゼルス地域の一部のノードストローム(Nordstrom)店舗におけるパートナー契約を獲得し、急成長をした。翌年にはノードルストロームの全店舗に展開された。2016年は卸売ビジネスの成長という点ではゴルジャーナにとって、もっとも良い年であった。ノードストロームとそこでの顧客から良いフィードバックを得て、ファウンダーのゴルジャーナ・ライデル氏と彼女の夫であるジェイソン・グリフィン・ライデル氏は、顧客体験のコントロールをより握るときが来たと確信した。その年の2月、カリフォルニア州ラグナビーチで、最初のゴルジャーナ店舗をオープンした。
第1店舗をオープンしたあと、次々に大量に店舗を急いでオープンさせる必要性はなかったと、ジェイソン・グリフィン・ライデル氏は言う。ファウンダーたちは、実店舗リテールの経験が少なく、スタッフふたりだけの店舗ということで、初年度は試行錯誤を繰り返し、実店舗をゴルジャーナにとっての成功に導くには、どうしたら良いかを見極めようとした
「リテールをはじめた最初の2年間は、店舗が上手くいかなかったときのために、自宅近くに3つの店舗を持ち、そのどれも短期の賃貸であった。もう1つ我々が注意したのは、(デコレーションやデザインに)凝り過ぎずに、店舗の見た目を良くすることだ。企業のなかには資金調達をして利益を生むことを心配せず、こういった細かいところを心配しないところもあるが、我々は心配した」と、ライデル氏は言う。
ライデル氏によると、ゴルジャーナは、ローンチ以来資金調達を一度もしたことがなく、現在黒字だ。
ロケーション選びの戦略
その後にニューヨーク市のウェスト・ビレッジに2017年秋にオープンした第2店舗、そしてカリフォルニア州ベニスに続いてオープンした第3店舗がある。今年はすでに、ブルックリンのウィリアムズバーグ地区、そして北カリフォルニア地区にもう1つオープンさせている。ここ4年間、ゴルジャーナはカリフォルニア、ニューヨーク市、アリゾナにおいて合計15の店舗をオープンさせており、2020年にはさらに増やす予定だ。5月末までに彼らのロケーション数は18となる。
「我々は店舗の数を増やす必要はない。今年は3つのオープニングがあり、それで十分だ。我々が欲していないのであれば、店舗をもう1つオープンする必要はない」と、ライデル氏。
スペースの選び方におけるゴルジャーナの戦略の1つは「ホームに近いこと」だと、ライデル氏は言う。「店舗が近ければ問題が起きてもその解決はより容易になる。トラブルが起きて、従業員が2人しかいなかったときですら、問題があれば誰に頼れば良いか我々はわかっていた。ホームに近い場所ですべての学びを得た。顧客と交流し、彼らが好きなものが何か、嫌いなものが何かを知りはじめたのだ」と、彼は言う。
「スローダウンするべきサイン」
ロサンゼルスに住んでいるものの、ファウンダーの2人はニューヨークにアパートを持っており、ニューヨークを良く知っている。そのため、ニューヨークに(現時点では)3つの店舗をオープンすることは、ブランドにとってそう難しくない判断だった。しかし、次にどこにオープンするかの判断は、そう簡単ではないだろうと、ライデル氏は言う。
「直近で達成できる成功は達成してしまった。(これまでオープンしてきた)スペースを成功させるにあたり、とても入念に順序に従ったやり方をとった。いまでは少なくとも1週間に1回は新しい店舗をオープンするチャンスについての電話がかかってくる。私にとってはこれはスローダウンするべきサインだと持っている」と、彼は言った。
Katie Richards(原文 / 訳:塚本 紺)