小売のレガシーブランドは、顧客ロイヤリティを高めるため、マーケティング活動の近代化を常に試みている。
95年の歴史を持つパッケージ食品の複合企業であるゼネラルミルズ(General Mills)は、もっとも人気のある販促プログラムをいくつか近代化するため尽力してきた。たとえば、4年前に、ボックストップ(Box Top)プログラムをデジタル化し、生徒や教師が箱のラベルを提出するためのアプリを発表した。
最近では、主にポイントアプリのフェッチ(Fetch)との取り組みによって、ロイヤルティ向上のための活動を強化している。ユーザーが任意のオンラインまたはオフラインの小売企業で受け取ったレシートをアップロードすると、フェッチはゼネラルミルズの商品の購入をスキャンして、ユーザーにクレジットを与える。フェッチのユーザーは購入金額の1%をポイントで還元されるほか、グッドリワード(Good Rewards)の会員だけが利用できる限定特典も受けられる。このプログラムを昨年ローンチして以来、CPG(消費者向けパッケージ商品)大手である同社によると、このパートナーシップは、ユーザーの購買パターンに基づいて割引や特典をパーソナライズするのに役立っているという。このリワードプログラムは、変化していく購買層に関するインサイトを得るためにも役立っている。これは通常、店頭での売上からは困難なことだ。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
小売のレガシーブランドは、顧客ロイヤリティを高めるため、マーケティング活動の近代化を常に試みている。
95年の歴史を持つパッケージ食品の複合企業であるゼネラルミルズ(General Mills)は、もっとも人気のある販促プログラムをいくつか近代化するため尽力してきた。たとえば、4年前に、ボックストップ(Box Top)プログラムをデジタル化し、生徒や教師が箱のラベルを提出するためのアプリを発表した。
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最近では、主にポイントアプリのフェッチ(Fetch)との取り組みによって、ロイヤルティ向上のための活動を強化している。ユーザーが任意のオンラインまたはオフラインの小売企業で受け取ったレシートをアップロードすると、フェッチはゼネラルミルズの商品の購入をスキャンして、ユーザーにクレジットを与える。フェッチのユーザーは購入金額の1%をポイントで還元されるほか、グッドリワード(Good Rewards)の会員だけが利用できる限定特典も受けられる。このプログラムを昨年ローンチして以来、CPG(消費者向けパッケージ商品)大手である同社によると、このパートナーシップは、ユーザーの購買パターンに基づいて割引や特典をパーソナライズするのに役立っているという。このリワードプログラムは、変化していく購買層に関するインサイトを得るためにも役立っている。これは通常、店頭での売上からは困難なことだ。
フェッチとの協業
ゼネラルミルズのロイヤルティ&リワード担当のシニアマネージャー、ケイシー・グレーザー氏は、同社がこの数年間、さまざまな形でフェッチと協力してきたと語った。「我々は転換の過程にあり、紙のクーポンのような従来型のマーケティングツールから移行してきた」と同氏は述べた。
グッドリワードがローンチされたのは1年前で、ゼネラルミルズのもっとも熱心な顧客と、もっとも価値意識の高い顧客を1カ所にまとめ、継続的に割引を得られるように設計されたものだと、グレーザー氏は述べる。フェッチの会員だけが利用できる割引もあるため、すでにこのアプリを使用し、同社ブランドの商品を購入している人々にも魅力あるものにしている。
商品を主に実店舗で販売している企業であるゼネラルミルズは、自社の顧客がどのような人々なのか、顧客がいつブランドを見ているかについて、多くのデータを保有していない。「消費者は、新聞のクーポンを超える、デジタルファーストの体験を期待している。同時に、サードパーティーのクッキーが廃止されていくため、当社にはファーストパーティーデータも必要だ」とグレーザー氏は述べた。
特に、パンデミックにより、多くの人々が割引を求めたり、プライベートブランドに切り替えたりするのに伴い、大手コングロマリット企業が顧客のロイヤルティを育成することを迫られている現在、フェッチはゼネラルミルズのデジタル化のために大きな役割を果たしているとグレーザー氏は語る。「このプログラムは当社の期待を完全に超えた。どのグループや層が指標を上回り、当社のどの商品に魅かれているかを見ることができるのは面白い」。同氏は明確な数値を明らかにしなかったが、このパートナーシップが3つの主なKPI(ユーザーの獲得、バイヤーエンゲージメント、ゼネラルミルズブランドの総購入数)において、「期待を上回った」と述べた。
プログラムの成功要因と戦略
グレーザー氏とそのチームにとっての収穫のひとつは、このプログラムのユーザーのうち、かなりの割合がヒスパニック系の世帯だと判明したことだ。これは同社にとって重要な成長中の層であり、フェッチを使用しなければ見つからなかったかもしれないものだ。もうひとつの目標は、顧客がどの割引を活用しているか、その割引を使用するときにどの小売企業で買い物をするのかを測定することだ。
フェッチの食品部門ジェネラルマネージャー、アン・ヒル氏は、同プラットフォームのユーザーは、ゼネラルミルズが使用しているようなプログラムに強く反応すると語る。「ロイヤルティを得るため、顧客ベースに資金を与える必要はない。ゼネラルミルズのような企業はすでに顧客のロイヤルティが強いため、特定のユーザーに対してごく明確な割引を用意するのが得策だ」と同氏は述べた。
ゼネラルミルズがどのようなキャンペーンを実施しているかに関わらず、ユーザーは常に、デフォルトで1%のポイントバックを受けることができる。その上、季節やホリデーシーズンに応じて、特定の商品の収益を促進するためにの特別割引を行っている。「当社はさらに、グッドリワードの会員だけが利用できるほかのキャンペーンも重ねて実施している」とグレイザー氏は言う。
スキャンしたレシートから見えてきたもの
レシートをフルスキャンするを利点のひとつは、顧客がほかにどのような商品や材料を購入しているかを把握できることだとグレーザー氏は言う。たとえば、「誰かが常にコリアンダーやアボカドなどを購入しているなら、その顧客に、メキシコ料理の食材ブランドであるオールドエルパソ(Old El Paso)の得点を送る」という。この新しいデータを同社が活用するほかの方法は、メディアバイイングや小売店の棚売りなど、ほかのマーケティング部門に情報を提供することである。
「価格を気にするグループの人々のなかで、SNAP(補充的栄養支援プログラム)の給付金で支払いをする人の割合が、最初に考えていたよりも高いことがわかった」とグレーザー氏は説明した。同時に、割引にはあまり関心を持たず、リワードをゲーム感覚で楽しんでいる人々もいる。同社はフェッチのユーザーのうち、このような特定の層をターゲットにした特別キャンペーンを行うことも計画している。
CPGブランドがロイヤルティプログラムに進出する難しさ
グッドリワードのプログラムのもうひとつの目標は、同社の45ブランドにわたるゼネラルミルズの大規模なポートフォリオについて、顧客によく知ってもらうことだ。「ゼネラルミルズの名前を聞いて、誰もが「シリアル」を思い浮かべるが、ピルズベリー(Pillsbury)やトリノズ(Totino’s)、ネーチャーバレー(Nature Valley)について考える人は少ないだろう」と同氏は言う。このプログラムは、より多くのポイントを貯めるために、これらのブランドすべてで買い物をすることを奨励している。ゼネラルミルズのブランドは新しい食品・飲料のカテゴリーに進出するにつれ、このプログラムは特に重要になっている。
フォレスター(Forrester)でロイヤルティマーケティングを担当するアナリストのメアリー・ピレッキー氏は、CPGのレガシー企業がデジタルリワードを行うのは時として困難だと語る。同氏は、ケロッグ(Kellogg)が数年間にわたり、社内でファミリーリワード(Family Rewards)プログラムを育成しようとしたが、打ち切りになったことを例として挙げた。
「米国では、ほとんどの顧客が、食料品店のロイヤルティプログラムに登録している」とピレッキー氏は述べており、その次に多いのはクレジットカードやドラッグストアのプログラムだという。これに対して、フォレスターのデータによれば、米国のオンライン買い物客のうち、CPGのロイヤルティプログラムの会員となっているのは約7%にすぎないという。
2年目の進化
それでも、レシートの項目は、おそらくゼネラルミルズがフェッチのポイントプログラムから得られるもっとも価値のあるデータだろうとピレッキー氏は述べた。「このようなプログラムは、CPG用のプログラムと同じくらい良いものだ」。
プログラムの2年目には、D2Cでの注文の送料無料や、限定商品ドロップへのアクセスのような限定割引も追加される予定だ。グッドリワードの1周年を祝うため、ゼネラルミルズとフェッチは7月、MacBook Airなどの賞品が当たる新学期商戦用の懸賞を開始した。
「プログラムのユーザー数が増えるのに伴い、コストが増大するため、ユーザーに応じてさまざまな方法で割引を配布し、さらに効率化を測りたい」とグレーザー氏は述べた。
[原文:How General Mills is using rewards to generate loyalty across its brand portfolio]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via General Mills