D2Cアパレルブランドのエバーレーン(Everlane)は、顧客からの改善要望のレビュー投稿をきっかけに、もっとも人気があるメンズシャツのひとつをデザインし直し再発売する。
エッセンシャルオーガニッククルー(Essential Organic Crew)は、2020年に発売されてから、同ブランドのベストセラー商品のひとつになった。毎年10万着以上が販売されていると、同社は米モダンリテールに語っている。エバーレーンが創設されたのは2010年で、2021年と2022年にはシャツにさまざまな刷新を行った。袖の長さや首周りのリブの変更が加えられたが、顧客は多くの場合について好意的な反応を示さなかった。
「顧客の共感を呼ばない変更を加えすぎたのかもしれない。そこで、今回の第3世代では元のデザインをより良い形で復活させる予定だ」とクリエイティブディレクターを務めるマシルド・マーダー氏は述べる。
エバーレーンのリーダーシップチームは、商品のレビューをすべて読んでおり、エッセンシャルオーガニッククルーについても、「顧客がこの商品に失望した点として真っ先に挙げられる項目のリストを作成した。これらの点についてただちに対処する必要があった。そしてその時、最初からやり直すために製図台に戻ったのだ」とマーダー氏は説明した。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
D2Cアパレルブランドのエバーレーン(Everlane)は、顧客からの改善要望のレビュー投稿をきっかけに、もっとも人気があるメンズシャツのひとつをデザインし直し再発売する。
エッセンシャルオーガニッククルー(Essential Organic Crew)は、2020年に発売されてから、同ブランドのベストセラー商品のひとつになった。毎年10万着以上が販売されていると、同社は米モダンリテールに語っている。エバーレーンが創設されたのは2010年で、2021年と2022年にはシャツにさまざまな刷新を行った。袖の長さや首周りのリブの変更が加えられたが、顧客は多くの場合について好意的な反応を示さなかった。
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「顧客の共感を呼ばない変更を加えすぎたのかもしれない。そこで、今回の第3世代では元のデザインをより良い形で復活させる予定だ」とクリエイティブディレクターを務めるマシルド・マーダー氏は述べる。
エバーレーンのリーダーシップチームは、商品のレビューをすべて読んでおり、エッセンシャルオーガニッククルーについても、「顧客がこの商品に失望した点として真っ先に挙げられる項目のリストを作成した。これらの点についてただちに対処する必要があった。そしてその時、最初からやり直すために製図台に戻ったのだ」とマーダー氏は説明した。
定番商品を「フォーエバーワードローブ」として浸透させる
このシャツの再デザインが行われたのは、同社が変化していく時期でもあった。創設者のマイケル・プレイスマン氏が2021年にCEOを退任し、1月には「2023年に収益性を改善する」必要があることを理由に、会社の従業員が17%削減された。新CEOのアンドレア・オドネル氏のもとで、自社を「クワイエットラグジュアリー」業者と位置づけ、会社にとって、そして地球にとって良いことをめざす取り組みが行われた。
「この業界全体がトレンド主導の欲求に基づくものなので、ファッションとサステナビリティは少し相反する組合わせだ。時代を超えた、何度でも着られるワードローブの定番アイテム、我々が『フォーエバーワードローブ』と呼ぶアイデアを顧客に浸透させたいと考えている」と、オドネル氏は8月にフォーブス(Forbes)に語った。
エバーレーンの新しいエッセンシャルオーガニッククルーは、同社が注力している「定番アイテム」のひとつで、オリジナルのシャツに5つの変更が加えられている。型崩れしにくい新しい襟のデザイン、よりソフトな100%オーガニックコットン、防縮加工、白の配色のためのより厚手の生地、そして、身頃と袖を長くした新しいフィット感だ。また、サステナビリティへの取り組みとして、「繊維を調達するためにより良い工場との提携を開始した」と、マーダー氏は述べている。
エバーレーンは、刷新された商品についてついて広く知ってもらうため、ソーシャルマーケティングキャンペーンにも着手した。9月半ばには、「みなさまからのフィードバックによって、ベストセラーのTシャツが魅力的にアップグレード。さらにフィットして、さらに洗いやすく。さらにあなたのワードローブに最適に」というメッセージをメールで送信した。また、メンズ用商品についてサイト全体で25%の割引を行い、このアイテムへの熱意を喚起している。
エッセンシャルオーガニッククルーのデザイン変更には6~8カ月を要した。同社は、社内の試着チームに加えて、アパレル業界に属していない社外のテスターを使って商品をテストした。マーダー氏の夫でさえもシャツを笑いながら語った。社外のネットワークを活用することで、「商品に対して完全に正直なレビューが得られる。これは会社にとって貴重なものだ。その商品が店頭で販売されたときの評価そのものだからだ」と同氏は述べる。「人々は、我々の商品を同じ金額で買える別の商品と比べる。そのため、我々の商品は、その金額で提供できるものの中で最高のものであることが重要だ」。
再デザインに伴う課題・成果
アパレルやフットウェアのブランドが、ベストセラー商品を定期的にデザインしなおすことはよくあることだが、それには課題もつきまとうと、エーラインパートナーズ(A Line Partners)の創設者であるガブリエラ・サンタニエロ氏は米モダンリテールに語った。特に、レビューに対応しているブランドにとって、「顧客からの声を聞いたことを伝える方法ではあるが、中核の顧客を遠ざけてしまうリスクもある」と同氏は述べている。
ルルレモン(Lululemon)はスカルプトタンクトップ(Sculpt Tank Top)を昨年刷新したが、レビューは賛否両論だった。たとえばあるRedditの投稿者は、新しいタンクトップが「肌にべったり付いて、すごくスパンデックスっぽく感じられた」と言及し、「薬品っぽい」臭いに不満を述べていた。ルルレモンはこの新しいスタイルを「1年くらい続けたかもしれないが、そのあとで旧来のスタイルに戻した」とサンタニエロ氏は述べている。
しかし、買い物客によって好意的に受け止められたものもある。たとえば、ロージーズ(Rothy’s)は主力商品のニットフラットであるザ・ポイント(The Point)を最近になって再デザインした。チームはオンライン調査と対面でのフィッティングを行い、顧客がオリジナルの靴のどこを気に入り、どこを気に入らなかったか聞き取りを行ったと、最高マーケティング責任者を務めるジェイミー・ガルシュ氏は米モダンリテールに語った。「我々は、顧客の声を反映させたこと、顧客が愛しているものを奪わなかったと感じてもらいながら、新しいアップグレードを発表しなければならなかった」。
エバーレーンは新しいエッセンシャルオーガニッククルーを9月7日に発売したが、顧客からの反応はすでに良好だと、マーチャンダイジングチームがメールで伝えてくれた。事前に行われたレビューで、以前のスタイルの星の数が平均3.6だったのに対して、新しいスタイルは平均4.5を獲得したという。
[原文: How Everlane used customer feedback to relaunch its best-selling men’s tee]
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Everlane