いわゆる標準サイズだけにはとどまらず、さまざまな体型に合わせたブラジャーを販売するブランド、CUUPがここ数カ月で急成長している。共同創設者でCMOのアビー・モーガン氏によれば、このスタートアップの成長戦略のなかでも特に重要な役割を果たしてきたのがコンテンツで、特にユーザー生成の投稿が効果を発揮しているという。
いわゆる標準サイズだけにはとどまらず、さまざまな体型に合わせたブラジャーを販売するブランド、CUUPがここ数カ月で急成長している。
多くのD2Cブランド同様、CUUPも新型コロナウイルス感染症が拡大しはじめた当初の数カ月で急激に売上を伸ばしており、3月と4月の売上高はそれぞれ前年同期比322%、700%と絶好調だ。
また同社のカスタマーサービスチームは3月以来、1100件を超えるカスタマーフィッティングをオンライン上で実施してきている。
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共同創設者でCMOのアビー・モーガン氏によれば、このスタートアップの成長戦略のなかでも特に重要な役割を果たしてきたのがコンテンツで、特にユーザー生成の投稿が効果を発揮しているという。2019年8月から2020年8月のあいだに、同社はユーザー生成コンテンツを4200件以上公開し、520%の増加となった。そして1年間を通じて、このメディアをさまざまなチャネルで宣伝してきた。
米DIGIDAYの姉妹サイトであるモダンリテール(Modern Retail)は、CUUPのオーガニックな成長や今後の道筋について、モーガン氏に話を聞いた。読みやすさを重視し、インタビューの内容には若干の編集を加えている。
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──CUUPのスタイルは、今年流行したアスレジャーなテイストには当てはまっていない。急成長の裏には、大きな戦略の変更があったのか?
私たちも驚いてはいるが、この急成長にはいくつかの理由がある。CUUPはもともと、フィット感、機能性、スタイルに妥協しないことにフォーカスして立ち上げたブランドだ。それゆえ、特定のサイズを求めているが、なかなか思うように商品が手に入らないと感じていた人たちのかなりの部分には、すでにリーチできていた。なので(アスレジャーのように)「くつろいだ」テイストのブランドではないとはいえ、家にいるあいだはやはり快適さが求められているということは見えていた。もうひとつの大きな理由としては、比較的年配の顧客、特に普段であればデパートでブラジャーのフィッティングをしてもらっているような層が大幅に増えたという点が挙げられる。
──ユーザー生成コンテンツを使ったキャンペーンは、どのように実現したのか?
目指したのは常にブランドの一部である、肉体とは何か、セクシーさとは何かという、一人ひとり違った感覚に焦点を当てることだが、今回は家にいること、そしてより深く考える時間を持つようになった点に特に注目した。「今、女性は何を考えているのか」というのが私たちの立てた問いだ。CUUPとしては、在宅勤務をしている人が多いといったことだけでなく、こうした特異な時期にいかに快適さや安心感を感じてもらえるかを大事にしたかった。そのためにはコミュニティにリーチし、メンバーがCUUPの製品をどのように使っているかを紹介して、彼女たちの声を広めていく必要があった。クリエイティブを常に社内で制作していることも役立った。消費者をうまくごまかすのではなく、刺激を感じてもらって購入につなげるにはどうすればいいのかを考えている。特にカルチャーの変化を反映したこうしたキャンペーンで打ち出していきたい。
──ハイエンドで、よりフォーマルな下着が求められていると気付いたときに、広告費の使い方は変わったか?
ブランド関連の検索ワードにはある程度支出したが、売上が伸びた一番大きな要因はダイレクト検索と、プレスを含むオーガニックマーケティングだ。第1四半期から第3四半期までは、売上高の49%をオーガニックな取引が占めており、リピーターは3カ月以内に2~3回購入している。また、YouTuberやマイクロインフルエンサーが、こちらから無料のサンプルを送ったりしていないのに商品をレビューしてくれているケースもあった。
──ロックダウンの解除も進み、外出する人も増えた今、売上はどう変化しそうか?
打ち出すイメージを、ソーシャルディスタンス(社会的距離)は維持しつつプールサイドで読書したり、公園で過ごしたりなど、家の外での設定に修正しはじめている、ということもひとつの方向性としてある。だが、これまでも下着姿の女性たちの集団ショットをキャンペーンに使ったりしたことはないので、それほど大きな変化とは言えないだろう。秋冬に向けては、例年通りの季節の変化を想起させるキャンペーンを検討している。
戦術としては、消費者が何に時間を費やしているのかを掴むことが大事になってくる。そこに関しては、OTT広告とダイレクトメールの試験運用を始める予定だ。リテンションについては、第4四半期に向けて、ブランドパートナーシップやパーソナライズしたパッケージの導入を検討している。また2021年の第1四半期にある中国の旧正月に関しても今から予測を立て、在庫確保にも多額の投資をしてきている。ほかのブランド同様、配送の遅れを想定はしているが、フルフィルメントセンターと配送パートナーを最近切り替えたため、うまくいけば遅れは最小限に抑えられるだろう。
[原文:How CUUP changed its content strategy to hit record sales]
Gabriela Barkho(翻訳:半井明里/ガリレオ、編集:長田真)