コペンハーゲンは、ファッションウィークの開催都市の間ではサステイナビリティのリーダーであり、主催者はそれを行動として示した。現在はイソ・ポエティズムのようなサステナブルな若いブランドへの投資にフォーカスしているが、パンデミックにもかかわらずその勢いは低下していないようだ。
この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、ビューティ、ファッション業界の未来を探るメディア「Glossy+」の記事です。
コペンハーゲンは、ファッションウィークの開催都市の間ではサステイナビリティのリーダーであり、主催者はそれを行動として示した。
コペンハーゲンファッションウィークのサステイナビリティへのアクション
ロンドンはイノベーション、ニューヨークはグラマー、そしてコペンハーゲンはサステイナビリティの推進力として台頭し、ガニー(Ganni)やスティーヌ・ゴヤ(Stine Goya)、マレーネ・ビルガー(Malene Birger)といったブランドを育ててきた。
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現在はイソ・ポエティズム(Iso.Poetism)のようなサステナブルな若いブランドへの投資にフォーカスしているが、パンデミックにもかかわらずその勢いは低下していないようだ。
また、2月初旬の2022年秋冬コペンハーゲンファッションウィークに合わせて、主催者は2020年に発表されたサステイナビリティへの行動計画をアップデートした。そこには最低限の基準が組み込まれ、コペンハーゲンファッションウィークでショーを開催するすべてのブランドは2023年以降に適応していかなければならないとした。
また、この計画は拡大され、コペンハーゲン国際ファッションフェア(Copenhagen International Fashion Fair)、ノーウィジアンファッションハブ(Norwegian Fashion Hub)、オスロランウェイ(Oslo Runway)、アイスランドファッション評議会(Icelandic Fashion Council)に関与するブランドをも含むようになった。
したがって、2023年の時点で、約1600のブランドが売れ残りの衣服を破棄しないこと、全コレクションにおいて認定オーガニック、アップサイクル、またはリサイクルテキスタイルを少なくとも50%使用すること、サステイナブルな包装のみを使用すること、ショーでは廃棄物ゼロのセットデザインを使うことを誓約することになる。
「現状維持はあり得ない」とファッションウィークCEO
コペンハーゲンファッションウィークのCEOであるセシリー・ソースマーク氏は、この計画発表の記者会見において次のように語っている。
「ファッションウィークを含めすべての業界関係者は、行動に責任を持ってビジネスの方法を積極的に変えていかなければならない。気候変動による地球と人々への壊滅的な影響を回避するために残された時間は10年もなく、その悲惨な影響を目の当たりにしつつある。はっきり言って、現状維持はあり得ないということだ」。
この計画では、ブランドとその招待者のカーボンオフセットも義務付けられている。コペンハーゲンは「アジェンダ設定」のファッションウィークであるためブランドはゲストを招待する必要があるのだが、招待には鉄道のようなサステイナビリティの高い移動手段を推奨していると述べている。
公式スケジュールに含まれるブランドの場合、2023年以降ファッションウィークの参加にはカーボンオフセットが義務となる。また、アップデートされた同計画によると、期限を2025年に設定した目標が多く追加される予定だという。
ドイツのeコマース大手、ザランドの関与と影響
次世代のデザイナーらがデザインに服の再利用とリサイクルを優先して取り入れることにより、サステイナビリティのハブであるコペンハーゲンは北欧とヨーロッパのファッションブランドが信用を高めるための重要な場所となっている。eコマース大手でサステイナブルなコレクションを支援するザランド(Zalando)もこれに関与している。
ベルリンを拠点とするザランドはこれまで循環型ファッションを追求しており、ビジネス目標においてサステイナビリティイニシアチブを優先してきた。
ザランドは、2020年以降、コペンハーゲンファッションウィークで毎年表彰されているサステナビリティアワードを主催している。ファッションブランドがサステイナブルな代替品を追求するのを奨励し、業界のサステイナビリティを高める戦略を評価することが目的である。
2月第1週に発表された最新の受賞者は、トビアス・ビーク・ニールセン氏によるストリートウェアブランド、イソ・ポエティズム。同ブランドは、気候変動の影響を発表した認定リサイクル素材を使ったコレクションを発表して、可能な限りリサイクルを取り入れているイニシアチブを取っているという理由で選ばれた。イソ・ポエティズムは、2021年に50万ユーロ(約6550万円)の収益を上げ、世界中に多くの顧客を抱えている。
イソ・ポエティズムのクリエイティブディレクター、トビアス・ビーク・ニールセン氏は次のように述べている。
「これまで、我々は自然で論理的なプロセスの一環としてよりサステイナブルな意思決定を行い、デザインプロセスからロジスティクスの軌跡まですべてを社内で実践する方法にフォーカスしてきた。だが、この計画に参加することによって、我々はサステイナブルなアプローチのプログラムを開始し、そのアイデアを、社内だけではなく、日々の自分の仕事という小さなバブルの外でも広めて伝えていくことが促進されている」。
若く行動力のあるブランドは、コペンハーゲンファッションウィークによって育まれたサステイナビリティにフォーカスしたブランドの成功を認知しており、成果を出す持続可能なブランドを築くためのモチベーションはとても大きいと言える。ザランドのような賞は責任ある製造を実現するために必要な投資を促進しているのである。
[原文:How Copenhagen Fashion Week became the industry’s sustainability incubator]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:黒田千聖)