- コード・アンド・セオリーはDE&I推進に取り組み、インクルージョンライティングガイドとトレーニングプログラムを導入。全消費者のアイデンティティについて考えるためだという。
- DE&Iはブランドとコミュニケーションにおける重要な要素。そのため、アイデンティティを尊重し、インクルージョンを実現する未来を目指す。
- 残念ながら、歴史的に除外されてきたコミュニティ出身の消費者の多くは、マーケティングコミュニケーションに自分たちが認識/含有されていないと感じる状態に慣れてしまっている。
言語、そして認識(パーセプション)は、文化、多様性、包摂性(インクルージョン)の形成において重要な役を担う。
クライアントとの仕事においても、内的変化の促進においても、DE&I(多様性、平等、包摂性)はエージェンシー組織文化の大きな部分を占めるようになった。スタッグウェル(Stagwell)のエージェンシーであるコード・アンド・セオリー(Code and Theory)のインクルーシブデザイン&マーケティングストラテジー部門ディレクターを務めるクリスティン・ニモ氏は、同部門のクリエイティブディレクターとコピーライティングチームとともに、エージェンシーの従業員およびクライアントベースにおける包摂性の実践とトレーニングの拡大努力を牽引している。
2023年9月、コード・アンド・セオリーは社内人員に向けた最新のインクルージョンライティングガイドおよび認証プログラムであるビヨンド・ワーズ(Beyond Words)を導入した。同プログラムは2022年10月に開始されたもので、今回の最新版では宗教、依存症(アディクション)、性自認(セクシャリティ)といったトピックに関する調査および最適行動(ベストプラクティス)の部分が拡大されている。
たとえば、「ジャンキー」や「中毒」といった言葉を使うことで物質関連障害を矮小化してしまう慣行の回避法や、ラティーネクス(Latinx:米国の中南米系住民を指す、従来の男性名詞ラティーノに代わる言葉)の英語とスペイン語における使い分けなどが議論されている。同プログラムはこれをスタグウェルのネットワーク全体に供するとともに、最終的には業界全体が将来、これにアクセスできる環境作りを目指している。
「ブランドと仕事をし、彼らがよりインクルージョンに向かう手助けをすること(そして、その目安となる基準を示すこと)は、我々にとって世界中の非常に多くの人々にリーチし、彼ら全員にこの展望(ビジョン)を見てもらうことにも繋がる」と、ニモ氏はDIGIDAYに話した。以下のインタビューで、ニモ氏はインクルージョン実践の促進に至る過程、インクルージョン文化の様相、ブランドが典型的マーケティングを越える必要性について語っている。読みやすさを考慮し、発言は編集を加え、簡約してある。[続きを読む]
- コード・アンド・セオリーはDE&I推進に取り組み、インクルージョンライティングガイドとトレーニングプログラムを導入。全消費者のアイデンティティについて考えるためだという。
- DE&Iはブランドとコミュニケーションにおける重要な要素。そのため、アイデンティティを尊重し、インクルージョンを実現する未来を目指す。
- 残念ながら、歴史的に除外されてきたコミュニティ出身の消費者の多くは、マーケティングコミュニケーションに自分たちが認識/含有されていないと感じる状態に慣れてしまっている。
言語、そして認識(パーセプション)は、文化、多様性、包摂性(インクルージョン)の形成において重要な役を担う。
クライアントとの仕事においても、内的変化の促進においても、DE&I(多様性、平等、包摂性)はエージェンシー組織文化の大きな部分を占めるようになった。スタッグウェル(Stagwell)のエージェンシーであるコード・アンド・セオリー(Code and Theory)のインクルーシブデザイン&マーケティングストラテジー部門ディレクターを務めるクリスティン・ニモ氏は、同部門のクリエイティブディレクターとコピーライティングチームとともに、エージェンシーの従業員およびクライアントベースにおける包摂性の実践とトレーニングの拡大努力を牽引している。
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2023年9月、コード・アンド・セオリーは社内人員に向けた最新のインクルージョンライティングガイドおよび認証プログラムであるビヨンド・ワーズ(Beyond Words)を導入した。同プログラムは2022年10月に開始されたもので、今回の最新版では宗教、依存症(アディクション)、性自認(セクシャリティ)といったトピックに関する調査および最適行動(ベストプラクティス)の部分が拡大されている。
たとえば、「ジャンキー」や「中毒」といった言葉を使うことで物質関連障害を矮小化してしまう慣行の回避法や、ラティーネクス(Latinx:米国の中南米系住民を指す、従来の男性名詞ラティーノに代わる言葉)の英語とスペイン語における使い分けなどが議論されている。同プログラムはこれをスタグウェルのネットワーク全体に供するとともに、最終的には業界全体が将来、これにアクセスできる環境作りを目指している。
「ブランドと仕事をし、彼らがよりインクルージョンに向かう手助けをすること(そして、その目安となる基準を示すこと)は、我々にとって世界中の非常に多くの人々にリーチし、彼ら全員にこの展望(ビジョン)を見てもらうことにも繋がる」と、ニモ氏はDIGIDAYに話した。以下のインタビューで、ニモ氏はインクルージョン実践の促進に至る過程、インクルージョン文化の様相、ブランドが典型的マーケティングを越える必要性について語っている。読みやすさを考慮し、発言は編集を加え、簡約してある。
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――インクルージョン実践の促進に至った動機は?
このプロジェクトは実際、2つの異なる流れが起源となっている。ひとつはコード・アンド・セオリーが完全なるリモート組織に移行したことで、それにより同社の文化的外観が一変したことだ。私が思うに現在、社内には40の異なる米州の人員がおり、広告業界においてそれは、よい意味で極めて異例だと思う。この国を代弁/代表することは、我々がともに仕事をするブランドが奉仕/対応するさまざまに異なる経験や背景、全消費者について我々がしっかりと考えるために非常に重要だ。
――インクルージョンライティングガイドおよびトレーニングプログラムの目指すものとは?
このガイドには、一般に使われがちだが差別に起源があり、その事実を人々が知ることに重要な意味を持つ言葉のほか、捉え方が最近変わった事柄に関する推奨、辞書に入ったばかりの新語も含まれている(後略)。私の考えでは、これはHR(人事部)だけの話ではない。インクルージョンは我々の全戦略の、仕事に対する全姿勢の一部にするべきことだ。これは我々のタイムラインに、物事の評価の仕方に組み入れる必要がある。というのも、我々は日常的に自身が好むものばかり評価してしまうからだ。
――多様性とインクルージョンについて、あなたが耳にするなかで顧客からのもっとも一般的な質問またはフィードバックは?
特定のアイデンティティへの敬意の払い方に関する質問が多い。また、社会的性別(ジェンダー)および性自認(セクシャリティ)に関することも多く、社会経済状況に関する事柄もある。ブランドができるだけ多くの消費者へのリーチを目標としている以上、コミュニケーションの創造にはさまざまなことが付随して起きる。だからこそ、このガイドは極めて重要になる。
ブランドがアイデンティティを捉えるさまざまなレンズについて真剣に考え、一般の典型的市場にだけ語りかけようとする姿勢を改めれば、より多くの人々にリーチする機会を得られるからだ(中略)。残念ながら、歴史的に除外されてきたコミュニティ出身の消費者の多くは、自分たちの姿が視覚的に反映されていない状態に慣れてしまっている。自分たちとブランドとのコミュニケーションがない状態に、マーケティングコミュニケーションに自分たちが認識/含有されていないと感じる状態に慣れてしまっているのだ。
――認証プログラムでは何を行う?
アイデンティティを捉えるさまざまなレンズについて、7時間相当の教育を提供する。我々のチームの全メンバーを集めてひとつのテーマについて協議し、協働し、それに関する経験を共有させる。そして、教育の部分が終了したら、参加者は各々の習熟度と学びを示すクイズを受けられる。同じ人々が毎年参加し、最新のことを学び、プログラムに関わり続けてくれることを期待している。インクルージョンな言語という生きものの拍動(はくどう)を、肌で感じていてもらいたい。
――業界におけるインクルージョンの未来に関するあなたの展望は?
インクルージョンに関する私の理想は、誰もがしっかりキュレート(情報を選択、整理、再構成)できていると感じられる状態だ。つまり、各々が経験するすべてを通じて、インクルージョンを常に意識できている状態とも言う。
さらには、各々のアイデンティティのどの側面についても、それを理由にして閉じられた扉のない状態でもある。そして、各々の全側面が前向きな自身の繁栄の一助になる形でのみ現れる状態だ。というのも、我々が支援し協力するブランドは多くの人々にリーチする、つまり、この社会における巨大な文化的原動力となるからだ。
Antoinette Siu (翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)