食肉のサブスクリプションサービス、ブッチャーボックス(ButcherBox)が2015年に創業されたとき、同社は比較的安価な方法でオンライン顧客を獲得する手段として、すぐにアフィリエイト・マーケティングを採用した。その多くは、ブッチャーボックスのカット肉についての評判を広めるため、デジタルクリエイターに直接働きかける形で行われた。同社は現在でも、パワーユーザーからインフルエンサーに転身した人々の力を借りてアフィリエイトマーケティング戦略を推進している。
フロリダのネープルズで10月16〜18日に開催された米モダンリテールのD2Cサミット(DTC Summit)で、ブッチャーボックスのCMOを務めるキラン・スミス氏は、同社がどのようにして顧客のあいだに長期的なロイヤルティを作り上げているかを語った。
ブッチャーボックスが創設されたのは、健康なたんぱく質を摂取することに重きを置くケトやパレオなどのダイエット法が脚光を浴びつつある時期だった。これによりブッチャーボックスは、最高級の肉、鶏肉、魚介類に関心のある家庭の調理人にとって便利なソリューションとして位置付けられるようになった。「適切な時に、適切な場所にいた、という感じだ」と、スミス氏は述べている。それ以降、Covidによって多くの人々が食料品の宅配を使用したことで、ブッチャーボックスの配送サービスへの関心はさらに高まった。同社はクラウドファンディングのキックスターター(Kickstarter)のキャンペーンで創設されたが、ブートストラップ企業として、2022年には6億ドル(約900億円)の収益を生み出した。続きを読む
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
食肉のサブスクリプションサービス、ブッチャーボックス(ButcherBox)が2015年に創業されたとき、同社は比較的安価な方法でオンライン顧客を獲得する手段として、すぐにアフィリエイト・マーケティングを採用した。その多くは、ブッチャーボックスのカット肉についての評判を広めるため、デジタルクリエイターに直接働きかける形で行われた。同社は現在でも、パワーユーザーからインフルエンサーに転身した人々の力を借りてアフィリエイトマーケティング戦略を推進している。
フロリダのネープルズで10月16〜18日に開催された米モダンリテールのD2Cサミット(DTC Summit)で、ブッチャーボックスのCMOを務めるキラン・スミス氏は、同社がどのようにして顧客のあいだに長期的なロイヤルティを作り上げているかを語った。
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ブッチャーボックスが創設されたのは、健康なたんぱく質を摂取することに重きを置くケトやパレオなどのダイエット法が脚光を浴びつつある時期だった。これによりブッチャーボックスは、最高級の肉、鶏肉、魚介類に関心のある家庭の調理人にとって便利なソリューションとして位置付けられるようになった。「適切な時に、適切な場所にいた、という感じだ」と、スミス氏は述べている。それ以降、Covidによって多くの人々が食料品の宅配を使用したことで、ブッチャーボックスの配送サービスへの関心はさらに高まった。同社はクラウドファンディングのキックスターター(Kickstarter)のキャンペーンで創設されたが、ブートストラップ企業として、2022年には6億ドル(約900億円)の収益を生み出した。
最初の3箱が肝心
同社が創設されたタイミングは、アフィリエイトマーケティングの戦略が多くのD2C戦略のスタンダードになる前の早い段階で強固なアフィリエイトマーケティングを構築するのにも役立った。ブッチャーボックスはデジタルクリエイターと協力し、クリエイターたちのレシピの中でデリバリーを紹介してもらい、コンテンツと引き換えに委託料を支払った。「今でも、最初のインフルエンサーの何人かと関係を続けており、小切手を渡し続けている。今ではビジネスとしての面が大きくなっただけのことだ」と、スミス氏は述べている。
ブッチャーボックスは、そのサブスクリプションモデルから、インフルエンサーやアフィリエイトマーケティングなどのチャネルで獲得した顧客の生涯価値(Life Time Value、LTV)を重視している。顧客維持のため重視している主な点のひとつは、最初の3箱の配達のあいだに新規顧客との関係を強化することで、これはだいたい最初の3カ月から6カ月にあたると、スミス氏は述べる。「顧客に3箱を届ければ、長期的な顧客を獲得したことになる。価値を示し、次に届く箱に期待してもらうために、顧客が当社に関与しつづけるよう心がけている」と、同氏は述べている。
8年前は、インフルエンサーがまだ黎明期だったことから、クリエイターを発掘し、維持するのは、はるかに容易だった。しかし今日では、ブッチャーボックスには、クリエイターやインフルエンサーとの連携と協力のための、より洗練されたモデルがある。創業当初、インフルエンサーにレシピカードを提供し、インフルエンサーが固有の紹介コードとともに各自のフォロワーに紹介できるようにしていた。インフルエンサーの数が増えてきた現在は、ブランドと話ができる本物のパートナーを見つけることが課題だとスミス氏は語る。
本物のパートナーを選ぶために
しかし、現在では協力するクリエイターを選ぶとき、従来よりもずっと慎重に検討するようになってきた。これらのインフルエンサーのアカウントは、ブッチャーボックスにとっての「スイートスポット」である中規模のことが多い。そのため、自社独自では契約までこぎつけられないかもしれない中規模のインフルエンサーを特定し、話を持ちかけるために外部の代理店と協力している。
同社はさまざまな有料マーケティングチャネルを利用しているが、コストと長期的な維持を考えた場合、アフィリエイトの紹介が効果的だ。
この戦略は、オンラインコミュニティを通じて顧客基盤を増やすというブッチャーボックスの手法の一部でもある。その一例として、ブッチャーボックスのFacebookグループは5000人のメンバーを抱えており、調理のヒントやレシピを常に共有しているという。この活動は、ブッチャーボックスの熱心なファンの一部がコンテンツを作成し、商品についての話を広めるための有機的な機会を作りだすという構想のもとで行われている。
そのため、ブッチャーボックスのインフルエンサーのフォロワー数は重要ではないと、スミス氏は述べる。その代わりに、食べ物への関心によって決まる、特定のタイプのクリエイターを探している。「料理をするのが好きで、皿の上のたんぱく質について語るだけではなく、食事を30分以内で調理する方法を紹介することに情熱を注いでいるような人が望ましい」。
[原文:How ButcherBox’s affiliate marketing strategy has evolved]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via ButcherBox